千年血戦篇
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更木によって縦半分に斬られた巨体が倒れ込んでくる。下敷きになれば圧死待ったなしの質量だ。
斬った更木は鬼のような形相で真っ赤な肌から血を滴らせたまま、斬魄刀を持ってその場に立ち尽くしている。
「更、」
声を掛けようとした日番谷を白哉が制した。
「……やっぱり近付かない方がいいと思うか?」
「どう見ても平時に増して意思の疎通が図れぬ顔だ。」
平時に増してとはなかなか辛辣である。しかし普段から「叩っ斬るだけだ」や「戦いてぇ」ばかり言う男である。そんな男が意思の疎通、いや、理性を手放している今、己に近付くもの全てに斬りかかりそうである。
そんな更木が本能で何かに気付き、獣のような雄叫びをあげた。すると半分になったはずの巨体が、まるで時間を巻き戻したかのように繋がっていったのだ。倒れた巨体が勝手に起き上がり、骨や筋肉組織、皮膚の順で繋がっていく。
「「「!!!」」」
「嘘だろ!?」
流石に半分にされてなお生きているとは誰も思うまい。
「真子!! あれなに!?」
「どれや!?」
「頭の間にある光ってるやつ!!」
負傷者を戦いに巻き込まれない場所に避難させ、治療していた美桜がある一点を指差した。美桜は霊力で視界を補っているため肉眼では見えないが、だからこそ気付くこともある。
ジェラルドの巨体の中から特出した霊力を放つものが出てきたのだ。美桜の目には白く光り輝いて見える。それを中心に巨体が繋がっていくように見えたのだ。
「……なんやあれ、滅却師のエンブレムか?」
「多分あれがあいつの力の源だと思う!」
「ちゅーことは、あれを破壊せんと死なんのか!?」
「……多分、」
倒し方の予想は出来たものの、再びこの巨体を斬ることが出来るのか。先程斬ってみせた更木は既に肩で息をしている状態で、負荷のかかっている肉体が悲鳴をあげるように血を噴き出していた。日番谷の卍解も解けてしまいそうだ。後ろに咲く氷の花がほとんど残っていない。
復活したジェラルドは今までとは異なる意匠の仮面を付けていた。
「我、
「死してなお…?? ちゅーことは、やっぱさっきアイツ死んだちゅーことか!?」
「死んだのに生き返ったってこと?」
「敵さんの言葉を素直に受け取るんなら、せやな。」
「……、」
美桜は思わず黙り込んだ。もしそれが本当ならば、一体どうやって倒せばいいのだろうか。生き返るのは一回だけとは限らないため、「じゃあもう一度倒せばいい」という安易な考え方は出来ない。
その時、ジェラルドを再び斬るために向かっていった更木の腕が飛んだ。ジェラルドに斬られたわけではなく、自らの力に肉体が耐えられなかったのだ。
「……ざ、更木!」
ジェラルドによって更木が斬られ、戦闘不能に陥った。次はお前だと言わんばかりに狙われた日番谷は自力で動ける状態ではなく、白哉の千本桜によって救助された。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
「卍解を解け、日番谷隊長。
「いや、まだ…、だ。はぁ…はぁ…」
まっすぐ立っていることも出来ない日番谷に白哉が休むよう促すが、日番谷は聞く耳を持たない。日番谷は呟くように言った。
「……氷の花が散り尽くしたら終わりなんて……言った憶えはないぞ…」
「「「!?」」」
日番谷の身体が変化していく。小さな背丈が大人のそれへ、丸い目は切れ長に、輪郭も子どもの丸みを帯びたものから骨張った大人の男のものへと変化していく。
「氷の花が散り尽くして漸く……大紅蓮氷輪丸は完成する。」
「誰やねんお前!?」
「誰!? 日番谷隊長のお兄さん!?」
「オレが日番谷だ!!!」
「ウッソやろ、あのちんまい隊長どこ行ったん!?」
「ちんまいって平子お前……、そう思ってたってことだな」
「な、なんのことやろか!!」
「ウォォォ!!!」
ふざけた雰囲気もジェラルドの叫び声で消え失せた。
美桜は白哉と日番谷を呼び寄せると、先程見えたものとその見解を共有した。
「力の源、か。確かにあの巨体を復活させるようなものがあるとすれば、涼森が見たものがそうだと思う。」
「朽木隊長と日番谷隊長で、防御されないように援護してほしい」
「了解した。」
「最後は美桜がやるんか?」
「ううん、私は半分にする係。滅却師の力の源だから、当然滅却師の特徴が強く出てると思うんだよね。だから真子に任せるよ」
「……なるほどなァ」
意味がわかった真子はニィ、と口角を上げた。
真子は隊長羽織を躊躇いなく脱ぎ捨てた。羽織を纏っている時はその力を使わないと、五番隊隊長に戻るときに決めたのだ。あくまでも死神としてであって、仮面の軍勢としてではないと。自分自身にケジメをつけるためでもあった。
「せや、俺よりも適任がおるやん。ちと連れてくるわ〜」
真子はそれだけ言うと、そう遠くない場所にいるその人の元に向かった。目元のラインと片頬に残る仮面が特徴的で、以前戦ったことがある相手だ。
「よぉ。ちと手伝ってくれへん?」
「あ"あ"??」
男は眉間に深い皺を作りながら振り向いた。
「氷輪丸の力を十二分に使い熟せていないからか、大紅蓮氷輪丸が完成すると俺は…………少し老ける。」
日番谷は悠然とした態度でジェラルドの前に立った。散っていく氷の花を見て卍解の残り時間を気にする日番谷はどこにもいない。
「ん? 貴様何者だ?」
「日番谷冬獅郎だ。」
「既に卍解をしていたはずだが……? まぁどうでもいいがな!!!」
ジェラルドは希望の剣を日番谷に振り下ろした。日番谷は斬魄刀で希望の剣の刃先を切断した。だが希望の剣を傷付けたら、その分自分が傷付くことになる。
そうジェラルドは笑ったが、日番谷の言葉で表情を変えた。
「氷結させれば、全ての機能は停止する。お前の剣の機能は氷結させたぜ。」
「……なるほど。ならば!! 人智を越えた力の奔流で叩き潰してやろう!!」
「滅却師の弓か。その判断が、少し遅かったな。」
日番谷が斬魄刀を空に掲げると、それを合図にジェラルドが凍った。滅却師の弓も、強靭な肉体も全て霜に覆われて凍てつく。
凍てついた頭部に卍解した白哉がたたみかけた。
「殲景 千本桜景義 奥義 一咬千刀花」
億を超える花弁が千を超える刀となってジェラルドの頭部に襲いかかる。凍っていた頭部は粉々に砕け散り、キラキラと光を反射させながら地面に降り注いだ。
これで終わりだとは誰も思っていない。
美桜はジェラルドの全身が見渡せる建物の屋上にいた。美桜の目にはジェラルドの巨体の中で渦巻く霊力が見えている。狙うは急所が集まっている正中線。
銀琉を抜刀し、左手で刀身を支えるように縦に構える。刀身全体に霊力を均等に流した。
「……絶界隔絶」
唱えた刹那、世界が割れた。
刀身から三百メートル先までに一本の線が入った。ふっと音を無くしてから数秒後、一斉に崩れていく。そこに存在する建物も人も等しくまるで包丁で豆腐を切ったように簡単に、そしてまっすぐな切り口で切れた。
ジェラルドも更木が真っ二つに斬ったときのように身体が縦半分に分かれた。胸の辺りから眩い光を放つ滅却師のエンブレムが出てきた。あれがジェラルドの力の源だ。
「真子!!!」
「わかっとる」
真子は白い仮面を着け、逆撫を片手に虚閃を溜めていた。その隣では
握り拳ほどのエンブレムに向かって虚閃を放った。二色の虚閃が一点に集中する。外殻である肉体が強靭である代わりに、エンブレムは脆弱なのだろう。繊細なガラス細工のようにパリンと軽い音をたてて砕け散った。
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