赤髪のお得意様 ③

  • そんなこんなで、旦那との取引の時間はあっという間に終わってしまう。物を確認すると、旦那は対価に値するよりも少し多いぐらいの札束を置いて、その場を後にしようとする。取引の時間なんてその程度のものなのに、何故か旦那とはもうちょっとだけ一緒に居たいような、もうちょっとだけ知りたいような...会う度にそんな気持ちになってしまう。

  • だから今夜はちょっと勇気を出して、去り際に食い下がってみるんだ。そう決めて来たんだ。

  • へい、毎度あり、旦那!今後ともどうかご贔屓にお願いします!

  • サソリ

    次は朔の夜だ...時間は追って伝える...

  • あ、あ、ちょっと待ってよ旦那...

  • サソリ

    ...何だ。まだ何かあるのか

  • え...と、前から気になっていたんですけどね、その、苦労して手に入れた物たちが、どうやって旦那の...傀儡に使われるのかな、って

  • サソリ

    ...

  • だって、ほら、傀儡を作るところなんて、見た事ないし、それに旦那は天才の傀儡師なんでしょ?

  • サソリ

    ...それがどうした

  • 旦那の綺麗な手から生み出される、天才的な芸術を...一度でいいから、この目に焼き付けておきたいんです!

  • うおー!頑張った、よく言ったわたし!!

  • サソリ

    ...

  • ドキドキ...

  • サソリ

    ...

  • ドキドキドキドキ...

  • サソリ

    フン...物好きな奴だな。

    ...着いてこい

  • キターっっっ!!

  • あ、ありがとうございます!!

  • かくして、作戦は大成功!旦那のお住まい兼傀儡工房へと連れて行って貰えることになった。わーい!

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