赤髪のお得意様 ②

  • 目の前に風呂敷を広げては仕入れた品物をリュックから取り出して並べていく。旦那に頼まれるのは傀儡や薬の調合に使うその筋では超レアな代物ばかり。旦那というお得意様とのお付き合いが深くなり、その要求に応えるために随分と狩猟と取引の腕前が上がったものだ。

  • イッカクの牙...瑠璃蝶の鱗粉、鴻蒙石...それから...

  • サソリ

    ...これだけの代物、お前一人で掻き集めてきたのか

  • え?そうですよ?
    そりゃ何回か死にそうになりましたけど

  • サソリ

    ...大した小娘だ

  • えへへ、もっと褒めてくださいよぅ、旦那ぁ。わたし、命賭けで頑張ったでしょ?

  • 調子に乗って怒られるかも、なんて思いながらも今夜は機嫌が良さそうな旦那を前に、ちょっとはにかんで甘えてみる。尾っぽのゲンコツが飛んでくるか!?と先に身構えていると、なんと旦那はヒルコを脱いでいるではないか。

  • おや...旦那?

  • サソリ

    ...

  • こうして本体の旦那にお会いするのはこれが2回目なのだが、お初の時はあまりの見た目のギャップに固まってマトモに会話できなかったっけ。
    ドキドキしていると、細くて長くて綺麗な手が頭の上にふわっと乗せられ、ぽふぽふ、と撫でてくる。

  • えっ...

  • サソリ

    ...どうした

  • どうしたって、旦那...

  • サソリ

    ...褒めてやってるんだ、有り難く思え

  • は、はいぃ...♡

  • あぁん。ずるい、これはずるいよ旦那ぁ

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