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モップ...じゃなくて!デイダラと名乗った少年。
爆破するぞ! と物騒な脅し方をしてくるので、とりあえず落ち着いて、事情をちゃんと説明しなきゃ。
旦那のパシリをしていて、傀儡製作の見学に来たあと帰り方がわからなくて、迷った挙句、知らない人の部屋で寝ていたということにしておく。うん...かなり無理な言い訳だな。
あとでちゃんと説明した方が良さそうだ。 -
デイダラくんは旦那のお仕事仲間で、ツーマンセルを組んでいるらしい。見た目は12、3歳の少年だけど、自称旦那以上の天才芸術家らしく、とってもプライドが高い彼。年齢云々は触れない方がいいだろうな...
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はぁ...それにしても旦那ってば、よりによってこの子の部屋に放り込むなんて。
まぁ、当然の塩対応だよね...
旦那にちゃんと謝らなきゃ... -
デイダラ
おい、パシリ!
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凛
パシリって呼ばないでくださいよ!
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デイダラ
んー、
じゃあ、子分!! -
デイダラ
お前は今日からオイラの子分だ!うん!
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凛
なんでよ...
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凛
うーん。ここは大人しく言う通りにしておこうかな...
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凛
はーい。
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デイダラ
オイ子分、オイラは任務から帰ったところで、腹が減ったんだ。分かるだろ?うん
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凛
あ、そ、そうなんですか
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凛
もしかして何か作れとか言わないよね...
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デイダラ
めしだ、めし!
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デイダラ
そこで大人しく待ってろよ、うん!
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凛
あれ...?
もしかして、何か作ってくれるの...? -
何やら部屋の片隅でゴソゴソし始めたデイダラくん。
しばらくして、めし、と言って持って来たお皿の上にはゲンコツみたいなおにぎりと、こんがり焼けた謎の動物が乗っている... -
デイダラ
お前も食え!
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凛
え...
で、でも... -
顔とか足とか着いたままだし、ちょっと女子が食べるにはワイルドすぎるんですけど...
戸惑うわたしを他所に、その獣の丸焼きに塩胡椒して、ガツガツとかぶりついているデイダラくん。
そういえば、旦那との取引に向かうために急いでたから、夕飯まだだったんだよね...
どうしよう。確かに匂いは普通の焼き鳥みたいだし...お腹空いたし... -
デイダラ
あ? くわねぇならオイラがお前の分も食べちまうぞー? うん!
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凛
えーい!! ままよ!!
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凛
...(かぷ)
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凛
...
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凛
...うっま !!!
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デイダラ
へへーん。...だろぉ?
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凛
うっうっ...美味しいぃ...ほんとに美味しい...
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デイダラ
な、泣くこたねぇだろ!
変なヤツだな。
ホラ、オイラの分もやるからよ!うん! -
凛
わーい!
おやぶん、あざーす♡ -
謎の獣の丸焼き(ジビエってことにしておこう)が美味しすぎたうえに、デイダラくんの優しさが胸に沁みて泣けてきた。
決めた!旦那のパシリ、兼、デイダラくんの子分になっちゃおう。うん!
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