-
猛烈な吐き気に襲われて体調を崩したわたしは地下室から逃げるように這い上がり、辿り着いた薄暗い部屋の中でパタリと倒れてしまった。
-
部屋が極寒であるせいか、雪山で遭難する夢を見ているみたい。わたしの頭の中って単純だな...
-
凛
寒いよー!
暗いよー!
怖いよー! -
凛
体力が尽きてきた...
ねむい...もうだめだ -
サソリ
...
やれやれ...
面倒だな... -
夢の中で、吹雪の中行き倒れたわたしを誰かが毛布でくるんで寝かせてくれる。背中が程よく沈み込んで、まるで雲の上にいるような、ふわふわとした心地良さだ。
-
凛
あれ...?
この感触...
そうだ!旦那の背中だ! -
きっと旦那が毛布でくるんでヒルコの上で寝かせてくれたんだ。
旦那、優しい!!
神!!まじ、神!!
人の部屋に上がり込んだ挙句爆睡してしまうなんて、あつかましいにも程があるんだけど...そっと介抱してくれるなんて、やっぱりわたしが見込んだお得意様だけのことはあるなぁ。 -
スリスリと旦那の背中に頬を擦り寄せて
うっとり。
旦那、好き〜♡ -
凛
すぴー♡
-
?
ん?
-
?
...なんかいま、イビキみてぇな声、聞こえなかったか?
-
凛
うふふふ...だんにゃあ♡
-
?
あ...?んだこいつ?
-
凛
...え?
-
耳元で声がして薄眼を開けると目の前で黄色い毛束が揺れている。なんだろう?形状からするとダ◯キンモップか?
不思議に思ってグシャ、と掴むと飛び跳ねて、こっちの心臓も飛び跳ねた。 -
?
いててて!!
なにしやがんだコラ! -
凛
うわ!!
モップが喋った!! -
?
うわ!!
傀儡が喋ったぞ!! -
凛
傀儡じゃないよ!
ていうか誰だよアンタ! -
?
あぁ!?勝手に人の布団で寝といてそりゃねーだろ!
そっちから名乗りやがれ!!餓鬼!! -
凛
なっっ!!
餓鬼はそっちでしょ!?
-
凛
ていうか、誰もアンタの布団で寝た覚えなんか...
-
と言いつつ辺りを見渡す。
......
やばい。
旦那の背中じゃない。 -
凛
し、失礼しました!!
-
デイダラ
ここはデイダラさまの部屋だっ!!
うん!!
タップで続きを読む