ポケモンセンターを襲撃した男たちは駆け付けた警察官に取り押さえられ、全員仲良くお縄に付いた。
表彰がどうとか賞金がどうとか言われたが、綺羅はそれを辞退しさっさと部屋に戻って再び眠ってしまった。
疲れが来たのか、パートナーたちも彼女と一緒に団子になって一つのベッドで眠っている。
蓋と鈴とを除いては。
ざわざわと騒がしいホールの隅っこに設置されたソファに埋もれながら、蓋は溜息を零した。
綺羅がさっさと寝てしまったので、先ほどまで代わりに警察から事情聴取を受け、やっとこさ解放されたのだ。
「……お前は寝なくていいのか」
『騒がしくて、眠れそうにないよ』
「それは同感だ」
ホール内は警察や関係者やらがあたふたと行き交っていて、もう夜中だというのに随分賑やかだ。
「助かった」
『え?』
「流石に俺でも鉄バットはキツかっただろう。助かった」
『ああ。そのことね。どういたしまして』
鈴はきゅ、と目元を細める。
『なんだかちょっと警戒されてたような気がしてたんだけど、杞憂だったみたいだね』
「いや、警戒はしてた」
『してたんだ……』
「綺羅にべたべた触るもんだからついな」
そういって蓋は小さく笑った。
釣られて、鈴も笑みを零しながら、やっぱり過保護だね、と呟く。
『まあでもこれで警戒は解けたと思っていいんだね。ついでに聞いちゃいたいことがあるんだけど』
「なんだ」
『君は、どうしたいの?』
蓋と視線がかち合い、鈴は真っ赤なそれを真っ直ぐ見据えた。
『会った時から気付いてたよ。他の子たちも何となく気付いてるみたいだし』
「……だから、どうした」
『気付いたうえでどうするのってこと』
「どうする、か」
鈴の問いに、蓋は頭を抱え、足元を見つめる。
「だが、信じられるわけないだろう。……ずっと、一緒に生きてきたんだ。ずっと、目を逸らしてきたんだ。だって、意味が分からないじゃないか。あいつが、」
やっと絞り出されたようなその声は、小さく震えていた。
「綺羅が、人間じゃないかもしれない、なんて」