とは、言われたものの。
彼らのことが気になってしまい、少年二人が湖の畔を出ていった頃を見計らって、彼らの後を追いかけた。
『……お人好しだな、お前は』
「なんとでも言えよ。元はと言えばお前を手伝うためにボール使ってくれたんだぞ。後でお礼言っとけよ」
『わかってるさ』
湖を丁度出たところで、少年二人が何やら突っ立っているのが見えて声をかける。
ゆっくりと振り向いた彼らの顔はさっきよりも青ざめているような気がした。
「ど、どうした…?」
恐る恐る尋ねると、二人は青ざめたままぽつぽつと言葉を紡ぐ。
「今、博士と会って。研究所まで来なさいって。どうしよう…」
うう、とついに泣き出してしまいそうな赤い帽子の少年。
一方、黄色い髪の少年は何やら心を決めたのか、うがあ!と叫び、両拳を力強く空に掲げた。
「だーッ!コウキ!モタモタしてても何も始まらないぜ!俺は先に行く!」
自分を奮い立たせるかのようにそう言った彼は、宣言した通りその場を走り去ってしまった。
置き去りにされた少年も、相変わらず顔は真っ青だけれど黄色い少年の言葉に背を押されたのか、僕も、と小さくつぶやく。
「僕も行ってきます。怒られるのは怖いけど…ジュンの言っていた通り、モタモタしてたら何も始まらないから。…あの、お姉さん。お願いがあるんですけど……」
「大丈夫。ちゃんと一緒に行くさ」
「ありがとうございます」
少し恥ずかしそうに少年は頬を掻き、じゃあ行きましょうか、と綺羅の数歩先を歩くのだった。