小ネタ(機)
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***を拾ってすぐの頃、ルチアーノはとあるデバイスを持って部屋を訪れた。
「僕の下につくなら、ある程度デュエルが強くないとね。お前の実力を見るついでに鍛えてやるよ」
そう言うと、持っていたそれを***に手渡す。
「これは?」
「最新式のデジタルデュエルシステムが入ってる。実物のカードを持ってなくても、これならどんなデッキも使えるし、色んな戦術を再現した相手と対戦できる」
「へぇ〜……こんなのがあるんだね」
それは青い筐体の、両手で持って使うものだった。真ん中に大きな液晶があり、その左右に操作するためのボタンがついている。
「起動してみて」
「どこ押せばいい……?」
「あーこれ、電源入れる場所わかりづらいんだよ」
側面にあるボタンをスライドさせると、無事に画面が灯った。
座ってやった方がいいだろう、そう思った***は、片手でデバイスを持ち椅子を引いて座る。すると、間髪入れず膝の上にルチアーノが座ってきた。
(………………!?)
「普段どんなデッキ使ってんの?」
「あ、アンデッド族の方を……」
「キヒヒヒ、機械族使えよ! 強いぜ!」
ルチアーノの太腿。ルチアーノのふくらはぎ。ルチアーノの髪。ルチアーノの尻。急激に襲い来る全身の感覚に脳が一瞬で沸き立つ。だというのにさらにこちらを振り返ったことで、愛しき瞳と柔らかな輪郭まで見える。誕生日と正月が一気に来たようだ。
***は震えながら、ルチアーノの頭を避けるようにしてデバイスの画面を見る。あまり彼に触れないようにすると、自然少々つらい体勢になる。
「色々モードあるね……どれやればいい?」
「とりあえず普通にデュエルだな。いつも使ってるデッキ再現してやってみろ」
「わかった」
デバイスのカード検索機能は優秀で、絞り込みと名前検索を用いればすぐにデッキを組み立てられる。デッキを再現している最中、何度かルチアーノの体が動き、時おり
「っ……」
と声を漏らしていた。構築に文句があるが、ひとまず我慢しているようだ。
そうしてデュエルが始まる。最初のCPUは通常モンスターばかりのデッキで、さらには低い攻撃力であるにもかかわらず攻撃表示で出し続けるため、難なく勝てた。
「流石にこのぐらいはね」
暇なのか、膝の上でルチアーノが胡座を組みだす。器用なものだが、***は気が気でない。
次は効果モンスターや簡単な魔法・罠を使ってきたが、これもすぐに倒すことができた。
問題は次のレベルからだった。きっちりとデッキのテーマが定まっており、コンボも意識して発動してくる。上級モンスターへの対処が遅れれば大ダメージは免れない。
別に***は弱いわけではない。ただこの辺りが平均的なデュエリストとそうでない者を分けるラインだった。こうなってくると、流石にルチアーノも我慢できずに口出ししてくる。
「お前その罠カード順番逆だろ!」
「えっ……あっ!」
これは緊張しているせいではなく、単純に***のデュエルがその程度ということだ。アカデミアに通うこともなく、なんとなくシティの下の方で暮らしている者の実力は、このぐらいだった。
(捨てられる……)
結局***は勝てなかった。こんな結果では、彼の期待には応えられなかっただろう。ならば、飼っていてもコストばかりかかる自分は捨てられるに違いない。膝の上の温もりも忘れて悲しみに染まる。
「ったく……」
だが、そうはならなかった。
「まずデッキ見直せよ。考え方から教えてやるから」
再びルチアーノが振り返り、厳しく眉は吊り上がりながらも、翠の瞳が***を見据える。
「…………? 僕捨てられるんじゃ……」
「は? 何言ってんだよ。ほらデッキ編集行って、このデッキの動き方から確認しようぜ」
そう言われて、***の目に熱いものがこみ上げてきた。だがこんなことで泣いているとバレてしまっては叱られるだろうと思った。ルチアーノはまた画面の方を向いたため、鼻をすすってぐっとこらえる。しかしその音でルチアーノがまた振り向く。
「お前泣いてんのかよ!? なんで!?」
「え、あ、ゴ、ゴミが入って……」
「絶対違うだろ。なんで泣いてんの?」
「……こんなに優しく教えてもらえるの、初めてかもしれない……」
正直に言っても、ルチアーノは笑いの種にしてくれるかもしれない。そう判断して***は答えたが、予想は半分外れた。
「……そ。ヒャハハハ! まさかデュエル教えられるだけで泣くなんてね! ……まあ、止まんないなら泣きながらでもいいよ」
「ありが、とう…………」
その言葉を聞いて***は余計泣けてくる。
ほんの少し涙を流したあとは、画面が見えるようにルチアーノの背中に体を寄せて、彼の中にあるデュエル論を享受した。
「僕の下につくなら、ある程度デュエルが強くないとね。お前の実力を見るついでに鍛えてやるよ」
そう言うと、持っていたそれを***に手渡す。
「これは?」
「最新式のデジタルデュエルシステムが入ってる。実物のカードを持ってなくても、これならどんなデッキも使えるし、色んな戦術を再現した相手と対戦できる」
「へぇ〜……こんなのがあるんだね」
それは青い筐体の、両手で持って使うものだった。真ん中に大きな液晶があり、その左右に操作するためのボタンがついている。
「起動してみて」
「どこ押せばいい……?」
「あーこれ、電源入れる場所わかりづらいんだよ」
側面にあるボタンをスライドさせると、無事に画面が灯った。
座ってやった方がいいだろう、そう思った***は、片手でデバイスを持ち椅子を引いて座る。すると、間髪入れず膝の上にルチアーノが座ってきた。
(………………!?)
「普段どんなデッキ使ってんの?」
「あ、アンデッド族の方を……」
「キヒヒヒ、機械族使えよ! 強いぜ!」
ルチアーノの太腿。ルチアーノのふくらはぎ。ルチアーノの髪。ルチアーノの尻。急激に襲い来る全身の感覚に脳が一瞬で沸き立つ。だというのにさらにこちらを振り返ったことで、愛しき瞳と柔らかな輪郭まで見える。誕生日と正月が一気に来たようだ。
***は震えながら、ルチアーノの頭を避けるようにしてデバイスの画面を見る。あまり彼に触れないようにすると、自然少々つらい体勢になる。
「色々モードあるね……どれやればいい?」
「とりあえず普通にデュエルだな。いつも使ってるデッキ再現してやってみろ」
「わかった」
デバイスのカード検索機能は優秀で、絞り込みと名前検索を用いればすぐにデッキを組み立てられる。デッキを再現している最中、何度かルチアーノの体が動き、時おり
「っ……」
と声を漏らしていた。構築に文句があるが、ひとまず我慢しているようだ。
そうしてデュエルが始まる。最初のCPUは通常モンスターばかりのデッキで、さらには低い攻撃力であるにもかかわらず攻撃表示で出し続けるため、難なく勝てた。
「流石にこのぐらいはね」
暇なのか、膝の上でルチアーノが胡座を組みだす。器用なものだが、***は気が気でない。
次は効果モンスターや簡単な魔法・罠を使ってきたが、これもすぐに倒すことができた。
問題は次のレベルからだった。きっちりとデッキのテーマが定まっており、コンボも意識して発動してくる。上級モンスターへの対処が遅れれば大ダメージは免れない。
別に***は弱いわけではない。ただこの辺りが平均的なデュエリストとそうでない者を分けるラインだった。こうなってくると、流石にルチアーノも我慢できずに口出ししてくる。
「お前その罠カード順番逆だろ!」
「えっ……あっ!」
これは緊張しているせいではなく、単純に***のデュエルがその程度ということだ。アカデミアに通うこともなく、なんとなくシティの下の方で暮らしている者の実力は、このぐらいだった。
(捨てられる……)
結局***は勝てなかった。こんな結果では、彼の期待には応えられなかっただろう。ならば、飼っていてもコストばかりかかる自分は捨てられるに違いない。膝の上の温もりも忘れて悲しみに染まる。
「ったく……」
だが、そうはならなかった。
「まずデッキ見直せよ。考え方から教えてやるから」
再びルチアーノが振り返り、厳しく眉は吊り上がりながらも、翠の瞳が***を見据える。
「…………? 僕捨てられるんじゃ……」
「は? 何言ってんだよ。ほらデッキ編集行って、このデッキの動き方から確認しようぜ」
そう言われて、***の目に熱いものがこみ上げてきた。だがこんなことで泣いているとバレてしまっては叱られるだろうと思った。ルチアーノはまた画面の方を向いたため、鼻をすすってぐっとこらえる。しかしその音でルチアーノがまた振り向く。
「お前泣いてんのかよ!? なんで!?」
「え、あ、ゴ、ゴミが入って……」
「絶対違うだろ。なんで泣いてんの?」
「……こんなに優しく教えてもらえるの、初めてかもしれない……」
正直に言っても、ルチアーノは笑いの種にしてくれるかもしれない。そう判断して***は答えたが、予想は半分外れた。
「……そ。ヒャハハハ! まさかデュエル教えられるだけで泣くなんてね! ……まあ、止まんないなら泣きながらでもいいよ」
「ありが、とう…………」
その言葉を聞いて***は余計泣けてくる。
ほんの少し涙を流したあとは、画面が見えるようにルチアーノの背中に体を寄せて、彼の中にあるデュエル論を享受した。