「ルチアーノたそをお姫様だっこしてみたい！」
「いいよ」
「えっ！？」
　あっさりと承諾されて混乱しているうちに、ルチアーノたそは座っている膝の上に横から乗ってきた。その光景に信じられないという感情があふれながら、そっと、ルチアーノたその背と膝の下に腕を添わせる。そうすると、彼も僕の首に腕を回した。
　この光景に、この感触に、感じる全てに精神が追いつかず目が回る。だがこの機を逃したくない一心で力を込める。硬い金属の感触が布越しにぐっと全身に乗ってきた。ルチアーノたその体を膝から離しながら、より自分の方へ引き寄せるうちに、
「おっも！！」
反射的にそんな言葉が漏れた。腰を浮かそうとした瞬間、ずっしりした密度が両腕に襲いかかってきた。
「けぇははははは！　こうなると思ったから許してやったんだよ！」
「そ、そういうことか〜……」
「まあお前じゃ僕のこと持ち上げられないよ」

「ルチアーノたそ！　お姫様だっこリベンジさせて！」
「前回で懲りなかったの？　バカだな！　まあ付き合ってやるよ」
　しばらく前と同じように僕の腕をルチアーノたその背と膝の下に回す。僕の胴体にぐっと近付け、段々と太腿に力を入れて、腕に気合いを出させる。筋トレの成果を活かす時だ！
「やった……！　お姫様だっこできた！」
するとルチアーノたそは無言で僕の顎の下をこしょこしょしてきた。
「ちょっ……やめてやめて！　力抜けちゃう……！」
「きひひひ！」
「こうやって成功してみると、そこまで極端に人間より重くはないんだね」
「まあね。重いと無駄にエネルギー食うし、軽いと衝撃に弱いからさ。僕らの『神』は、最適な重量で僕らを作り上げたんだ」
「すごいなぁ……」
「これで満足したぁ？」
「うん！」