＊＊＊がそっとルチアーノの目を覗き込む。
「ルチアーノたその目は綺麗な緑でかわいいね……。この奥にカメラがあってそれで見てるの？　でもそれだと黒目が小さすぎるような……。」
「ヘッ、僕らはカメラなんて旧式使ってないよ。未来じゃ薄型で貼り付けるだけでセンサーになるものがあるんだ。ほら、もっと近くで見てみろよ」
ルチアーノが自分の右目を指す。今の状態でもルチアーノとの距離はたったの20cmほど。これでも胸が熱いというのに、まだ距離を縮めるなんて。頑張って半分ほど詰めるが、まだルチアーノが言うものの正体は見えない。「もっとだよ！」と甘いのか辛いのかわからない声が飛んでくる。さらに近付く。これでは息が触れてしまう。なるべくそうならないよう、目だけを近付ける。あとほんの数cm。鼻先が触れ合うぐらいで、ようやくその機構が見えた。
　透明な素材でコーティングされた奥に、ごくごく微細なハニカムが並んでいる。それらが別々に光を受け、瞳全体のグラデーションを形作っている。
「すごい……」
それは最早、神秘的だった。
　翠に吸い込まれそうになる。身体の感覚をなくした心地でいると、ルチアーノが頭突きをしてきた。
「がッ」
彼の動きからして本当に、本当に軽く突かれた。だが薄い肌素材の下の金属の硬さと相まって、人間にとっては大ダメージだ。
「ヒヒヒヒ。生意気に僕の目に見蕩れてるからそうなるんだよ！」
「ルチアーノたそが見てみろって言ったのに……」