小ネタ(終)11
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今年も冬がやってきた。この時期のクエストは寒さが堪える。サーヴァントにはさして問題ないが、マスターは違う。
「…………」
隣にいる***は、寒さそのものを憎むかのような視線を前方へ投げながら、目的地を目指し歩いている。相変わらずこの季節は苦手らしい。
ふと、***の表情が変わった。今ここではないものに対して考えを巡らせる時の、遠くを見る目だ。そしてそう時間はかからず思案は終わり、こっちを見つめて、勢いよく左手を突き出してきた。
「ん!」
「『ん』じゃ分かんないよ」
「手つないで!」
きっと去年、俺が手を温めたことを思い出したのだろう。手をつなぐのはそこから発展した形だ。
俺はその手を取って、するりと自然な位置へ下ろすと、同時に互いの五本の指が絡まり合うように握った。大きさの違う手のひらがぴったりと密着する。いわゆる恋人つなぎだ。
「……!」
***の手の力が抜ける。事態が信じられないように、自信がないように。そうしているうちにぐんぐん指先の熱さは増してきて、冬の寒さを跳ね返す。
(そっ、そっか、そっか……。いいんだ、もん……ね……)
そんな本音が見えた。
段々と、握り返してくる手が、力強く、離れない意志を持ったものになった。
「…………」
隣にいる***は、寒さそのものを憎むかのような視線を前方へ投げながら、目的地を目指し歩いている。相変わらずこの季節は苦手らしい。
ふと、***の表情が変わった。今ここではないものに対して考えを巡らせる時の、遠くを見る目だ。そしてそう時間はかからず思案は終わり、こっちを見つめて、勢いよく左手を突き出してきた。
「ん!」
「『ん』じゃ分かんないよ」
「手つないで!」
きっと去年、俺が手を温めたことを思い出したのだろう。手をつなぐのはそこから発展した形だ。
俺はその手を取って、するりと自然な位置へ下ろすと、同時に互いの五本の指が絡まり合うように握った。大きさの違う手のひらがぴったりと密着する。いわゆる恋人つなぎだ。
「……!」
***の手の力が抜ける。事態が信じられないように、自信がないように。そうしているうちにぐんぐん指先の熱さは増してきて、冬の寒さを跳ね返す。
(そっ、そっか、そっか……。いいんだ、もん……ね……)
そんな本音が見えた。
段々と、握り返してくる手が、力強く、離れない意志を持ったものになった。