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＊＊＊…魔神復活の前にヘンドリクセンに何かあった時のため、バックアップとしてドルイドの里から拾われた少女。ヘンドリクセンと同じく禍々しい魔力を宿しており、里では迫害されていた。



ヘンドリクセンに拾われてはや２年、私は８歳になっていた。今まで教えられた魔術は全て習得してきた、これで私を迫害する人々から助け出してくれた恩に報いることはできているのだろうか。
そしてある日、ヘンドリクセンが大きな木箱を抱えて帰ってきた。それは棺に使えそうなほど大きく、私なら余裕で入ることができるだろう。
「今から『死者使役』を行う。よく見ていなさい」
ヘンドリクセンが箱を開けると、ふわっと白バラの香りが広がった。箱の中に横たわっていたのは、生まれて初めて見る、妖精族の少年だった。死者使役は彼に行うのだろうから、彼は死体のはずなのだが、まるでただ眠っているかのように瑞々しい。妖精族の死体は腐らないというのは本当だったのか。
ヘンドリクセンが呪文を唱え、魔力を込め始める。まだ習っていない部分もあるが、大半は今の私でも行うことができる。私を拾った理由の１つは、この術を教えるためなのだろうと、自然に思った。
しばらくして、ヘンドリクセンは呪文を唱え終わった。ほんのわずかだが、あのヘンドリクセンが疲労しているのが見てとれる。少年は濃い睫毛に覆われた目を開き、こちらを不快そうに見た。
「…チミら、誰？ そもそも、俺っちは死んでたハズなんだけど」
端正な顔に似合わない喋り方に私は面食らってしまった。だが、ヘンドリクセンは表情を変えず話を進めていく。