お礼画面




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 (言い逃げ)


「れーーーーんごーーーくさーーーーん!」

突然、遠い所から声が聞こえた。
間違いなく自分を呼んでいることと、聞き覚えのある声であることから迷いなくその方向へ振り返る。
視線を遠くに向けると、少し先の丘の上から大きく手を振る彼女が見えた。

「おーつかーれさーまでーす!任務帰りですかー?」
「そうだ!君もか!?」
「今朝帰ってきたばっかりですー!」

彼女の声はどこから聞いても心地良い。徹夜明けの疲れた体に染み渡る。
彼女のにこやかな笑顔につられて自然と口角が上がるのは自分でも自覚していた。

間違いなく、俺は彼女に惹かれ始めているのだろう。
だからと言ってどうこうするつもりもないのだが。鬼殺隊に身を置く以上、彼女が今日も生きていることを確認出来ただけで充分だと思っている。

「あのー!今言うべきことじゃないかもしれないんですけどー!」

物思いに耽る空気を断ち切る様に彼女がまた声を上げた。
再び視線を送ると、彼女はすぅっと大きく息を吸った。

「あなたをお慕いしてまーーーーす!」

「……は?」

「次また会えるか分からなかったから、伝えたかっただけです!じゃ!」

最後にお気になさらず!とだけ言い捨てて、次の瞬間には姿を消していた。
恐らく、これは言い逃げとやらをされただろうか。

「よもやよもや…どうもしないつもりでいたが」

彼女から踏み込んでくるのであれば、俺も覚悟を決めねばなるまい。

そうして、彼女を追いかけるべくつま先をトントンと地面に叩いた。


「逃がさんぞっ」
「わーーーー!はやーーー!!」
「さっきの話、詳しく聞かせてくれないか!」


 <end>

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