おやすみ おはよう
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Good night sweetheart
僕の身体はヒトとは違うから、身体を横たえたすべらかなシーツが体温であたたまることはない。
ということに気付いたのはあなたがいなくなってからで。それまでは共に眠っていたあなたの体温のぬくもりに包まれていたから。
しんとした湖面のような質感のシーツに背中を預けたまま、手を滑らせる。
キングサイズのベッドは僕ら二人で横になっても広々としているのに、子猫のようにまるまって眠る癖のあるあなたが、いつも居たあたり。
そこはやっぱり冷たく静かで、上質なシルクの手触りが澄ましたように僕の手のひらをくすぐるだけ。
それでいい。
あなた以外の体温であたたまるベッドでなんて、眠りたくない。
ねえ、あなたはきっと僕の想像するよりももっと遠くに行ってしまったんでしょうね。
強くて、聡くて、お人好しだった僕の最愛のひと。でもあなたは、暗闇が少し苦手でした。
今日みたいに月も星もない夜、あなたが怖がっていないか心配です。
そこはさみしくないですか?たった一人で、途方に暮れて、涙をこらえていませんか?
今日も僕は、小さな明かりを灯して眠る。
あなたが消えてしまってから、毎日欠かしていません。
あなたが迷い込んだところから僕のいるところまでの道しるべになることができなくても、あなたが見る夢の片隅に差し込むことができたらいい。
僕が知ってる子守唄は、人魚の歌だから、きっとあなたには聞こえないでしょう。
だから、夜光虫のようにほのかな明かりと、ただ一言。
「おやすみ、愛しいひと」
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