スピカ
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いつだって敵わなくて
“あんたがいないとつまんない”って
殺さない程度に手加減してきて
いつだってふざけて、うるさくて、
いい加減で、はちゃめちゃで、
真銀の雪の世界のスピカだったのに
生ぬるい温度やぼやけた色彩に囲まれて
花なんか降らせてるのが許せなかった
そんなふうになるなら
殺してほしかった
そしたらあのひとはなんて言ったっけ
“あんた、私を殺すの諦めちゃったの”
って歌うように言ったのだった
その時の目の色がつめたい恒星みたいで
うれしくなって放った火花は
ふざけた色の花びらにやっぱり変えられちゃったけど
永遠にそこにいると思ってた
いつかわたしが殺しにいくことを
ずっと鼻歌とともに待っていると
それなのに
あとひとはバカみたいにあっけなく石になってた
だれかとやり合ったりもせず
柔らかいだけのかたまりを産んで、そして死んだ
あの日真夜中にあのひとの家に行くと
柔らかいかたまりからすこしだけ進化したみたいな生き物が
不思議そうに窓からわたしを見上げた
わたしはその生き物を真っすぐ見れなかった
こんなちっぽけな命のなかに、
あのひとの面影を見出すなんてごめんだったから
生き物はわたしに向かって手を伸ばした
ひと捻りで潰れてしまいそうな手のひら
そこに虹色の光をはなつ石があった
わたしはかぶりをふって、月のない夜空に飛び立つ
そんなものいらない
わたしは
自分の手であのひとを石にして、それを呑みたかった
勝手にいってしまった抜け殻なんて
欲しくない
どれくらい飛んだのだろう
頬に感じる空気が、鋭いつめたさをはらむものに変わる
わたしが産まれて、あのひとと出会った地
月のない夜空に浮かぶわたしの影は
ちゃんとおそろしいだろうか
ちゃんとうつくしいだろうか
あの日から、
わたしの輪郭は確かさを失ってしまった
夜空に向かって、攻撃魔法を放つ
何度も何度も
あのひとに指先ひとつで花びらに変えられてしまった火花たちは
夜空で弾けて星になる
何度も何度も
星が生まれる
わたしは一晩中それを繰り返していた
だってこの空にはもう
スピカがないのだから
“あんたがいないとつまんない”って
殺さない程度に手加減してきて
いつだってふざけて、うるさくて、
いい加減で、はちゃめちゃで、
真銀の雪の世界のスピカだったのに
生ぬるい温度やぼやけた色彩に囲まれて
花なんか降らせてるのが許せなかった
そんなふうになるなら
殺してほしかった
そしたらあのひとはなんて言ったっけ
“あんた、私を殺すの諦めちゃったの”
って歌うように言ったのだった
その時の目の色がつめたい恒星みたいで
うれしくなって放った火花は
ふざけた色の花びらにやっぱり変えられちゃったけど
永遠にそこにいると思ってた
いつかわたしが殺しにいくことを
ずっと鼻歌とともに待っていると
それなのに
あとひとはバカみたいにあっけなく石になってた
だれかとやり合ったりもせず
柔らかいだけのかたまりを産んで、そして死んだ
あの日真夜中にあのひとの家に行くと
柔らかいかたまりからすこしだけ進化したみたいな生き物が
不思議そうに窓からわたしを見上げた
わたしはその生き物を真っすぐ見れなかった
こんなちっぽけな命のなかに、
あのひとの面影を見出すなんてごめんだったから
生き物はわたしに向かって手を伸ばした
ひと捻りで潰れてしまいそうな手のひら
そこに虹色の光をはなつ石があった
わたしはかぶりをふって、月のない夜空に飛び立つ
そんなものいらない
わたしは
自分の手であのひとを石にして、それを呑みたかった
勝手にいってしまった抜け殻なんて
欲しくない
どれくらい飛んだのだろう
頬に感じる空気が、鋭いつめたさをはらむものに変わる
わたしが産まれて、あのひとと出会った地
月のない夜空に浮かぶわたしの影は
ちゃんとおそろしいだろうか
ちゃんとうつくしいだろうか
あの日から、
わたしの輪郭は確かさを失ってしまった
夜空に向かって、攻撃魔法を放つ
何度も何度も
あのひとに指先ひとつで花びらに変えられてしまった火花たちは
夜空で弾けて星になる
何度も何度も
星が生まれる
わたしは一晩中それを繰り返していた
だってこの空にはもう
スピカがないのだから
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