創作企画「境界霊姫」
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黒須星鳴は、お茶会をする場所として、喫茶店「童話の国」を選ぶことがある。レトロで素敵な空間だ。
店主であるはじめは、星鳴から見れば、10歳上の優しい大人で。
ひとりで行くことも少なくない。
今日はそんな日で、放課後に「童話の国」を訪れた。
「ご機嫌よう、はじめさん」
「いらっしゃい、星鳴ちゃん」
「まだまだ暑いですわね。冷たいお菓子はありまして?」
席に着きながら、星鳴は言う。
「カッサータがあるわ」
「えっ!? ほ、本当に?!」
「うん」
「おほん。では、カッサータをひとつくださいまし」
一瞬、素に戻ってしまったのを取り繕い、注文をする星鳴。
彼女が驚いたのは、先日「カッサータを食べたいですわ」と漏らしたからである。霊姫たちのために、店主がメニューを追加するのは、ままあることだが、毎回びっくりしてしまう。
「お待たせしました」
「まあ!」
目の前に置かれたイタリアのアイスデザートは、紫色とピンク色の琥珀糖が乗せられており、宝石のように美しい。
「ゆめかわですわ! お写真よろしくて?」
「どうぞ」と、はじめが微笑む。
「ありがとうございますわ」
端末を取り出し、カシャリとカッサータを切り取る。
「冷たいうちに食べてね」
「はい! いただきます」
星鳴は、フォークでカッサータを一口食べた。
琥珀糖の甘さ。クリームチーズ。ドライフルーツ。アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオが口の中に広がる。
「美味しいですわぁ……」
「ふふ。よかった」
しみじみと感動している様子の星鳴を、はじめは暖かく見守った。
「はじめさんは、天才ですわ! 凄過ぎますわ!」
「ありがとう。星鳴ちゃんの笑顔が見られてよかったわ」
「わたくし、本当に感謝しておりましてよ。よかったら、ご一緒にお茶にしませんこと?」
「エプロンのままだけど、いいかしら?」
「もちろん、よくてよ」
ふたりのお茶会が始まる。
それは、他のお客が来るまでの短い時間だったが、星鳴は大層喜んだ。
学校のこと、霊姫機関でのこと、自分の趣味の話など。色々と話した。
「ご馳走さまでしたわ」
会計をする際に、紫色の琥珀糖の小袋をひとつ手に取って買う。
「ありがとうございました」
「とっても美味しかったですわ。また来ますわね!」
手を振って、星鳴は退店した。
帰路。つい、鼻歌を唄う星鳴。
「ただいま」
返事はない。
「ふんふんふーん」
自室へ行き、琥珀糖を机の上に置いて眺めた。
「きらきらだなぁ…………」
指先で小袋をつつき、星鳴は呟く。
両親が帰って来たら、分けて食べよう。
そう思ってから、星鳴は身支度をして、家事を済ませることにした。
食べ終えても消えない魔法が、彼女を包んでいる。
店主であるはじめは、星鳴から見れば、10歳上の優しい大人で。
ひとりで行くことも少なくない。
今日はそんな日で、放課後に「童話の国」を訪れた。
「ご機嫌よう、はじめさん」
「いらっしゃい、星鳴ちゃん」
「まだまだ暑いですわね。冷たいお菓子はありまして?」
席に着きながら、星鳴は言う。
「カッサータがあるわ」
「えっ!? ほ、本当に?!」
「うん」
「おほん。では、カッサータをひとつくださいまし」
一瞬、素に戻ってしまったのを取り繕い、注文をする星鳴。
彼女が驚いたのは、先日「カッサータを食べたいですわ」と漏らしたからである。霊姫たちのために、店主がメニューを追加するのは、ままあることだが、毎回びっくりしてしまう。
「お待たせしました」
「まあ!」
目の前に置かれたイタリアのアイスデザートは、紫色とピンク色の琥珀糖が乗せられており、宝石のように美しい。
「ゆめかわですわ! お写真よろしくて?」
「どうぞ」と、はじめが微笑む。
「ありがとうございますわ」
端末を取り出し、カシャリとカッサータを切り取る。
「冷たいうちに食べてね」
「はい! いただきます」
星鳴は、フォークでカッサータを一口食べた。
琥珀糖の甘さ。クリームチーズ。ドライフルーツ。アーモンド、ヘーゼルナッツ、ピスタチオが口の中に広がる。
「美味しいですわぁ……」
「ふふ。よかった」
しみじみと感動している様子の星鳴を、はじめは暖かく見守った。
「はじめさんは、天才ですわ! 凄過ぎますわ!」
「ありがとう。星鳴ちゃんの笑顔が見られてよかったわ」
「わたくし、本当に感謝しておりましてよ。よかったら、ご一緒にお茶にしませんこと?」
「エプロンのままだけど、いいかしら?」
「もちろん、よくてよ」
ふたりのお茶会が始まる。
それは、他のお客が来るまでの短い時間だったが、星鳴は大層喜んだ。
学校のこと、霊姫機関でのこと、自分の趣味の話など。色々と話した。
「ご馳走さまでしたわ」
会計をする際に、紫色の琥珀糖の小袋をひとつ手に取って買う。
「ありがとうございました」
「とっても美味しかったですわ。また来ますわね!」
手を振って、星鳴は退店した。
帰路。つい、鼻歌を唄う星鳴。
「ただいま」
返事はない。
「ふんふんふーん」
自室へ行き、琥珀糖を机の上に置いて眺めた。
「きらきらだなぁ…………」
指先で小袋をつつき、星鳴は呟く。
両親が帰って来たら、分けて食べよう。
そう思ってから、星鳴は身支度をして、家事を済ませることにした。
食べ終えても消えない魔法が、彼女を包んでいる。
