雑文置き場

コークハイ




甘いものは実のところそんなめちゃくちゃ好きでもなくて、チョコレートケーキは好きだけどたまに食べるならレベルだし、アイスなら甘くてもいいけど、お菓子は食べる習慣ないしお酒は甘くない方がいい。年齢的にもほら、三十路ですから。大好きなビールも太るから封印してハイボールに宗旨替えしたし。
なんだけど。
飲み慣れないひとにはまあ甘いヤツのが入りやすいんだろうなってのはわかる。目の前の可愛いコイビトも、飲むとなったら甘いヤツ選ぶし。
(梅酒とかも好きかもなぁ……去年おかーさんの作ってたやつまだあるよな、今度貰って来ようかな)
そんな風に思いながらグラスを干して、お代りを注ぐ。ペットボトルの無糖炭酸水とウイスキー、そこにレモン果汁をテキトーに垂らして、さっと混ぜたらお手軽カンタンハイボール。家飲みは気楽でいいよね。
かろかろと氷の鳴る音に、緩慢に瞬く目がこちらを見る。
「……ん、にゅ……」
国民的?国宝級?とにかくなんかすごいイケメンと評判の美男子が、首や額をまだらに赤くして、抱えたクッションを半分潰しながらもにもにと弛んだ口を動かしている。目の前には半分ほど減ったコークハイのグラス。わりと薄めに作ってやったんだけどなぁ、やっぱり体質的にアルコール合わないのかねぇ。
ゆら、ふわ、体揺らして、目をこすって、眠気に抗ってもがいてるのが、妙にあどけなくて可愛いね。
ゆうやくんの飲んでるやつ美味しいの?俺も一緒に飲んでいい?なんてのからの、じゃあたまには一緒に飲むかーって晩酌タイム。元々酒に弱い上に連日ハードスケジュールでお疲れさんだったこうへいには覿面だったみたい。一生懸命頑張ってるけどもう寝落ち10秒前ってカンジで、寝なよと言ってもやだぁってむにゃむにゃしてんのカワイイけど、ああほらそんな目んとこごりごりしたら肌傷めるでしょ。
やんわり手を取って止めてやると、むにむに口の中で呟きながら抱きついてくる。肩から胸、ずるずる崩れて、腰に巻きついて膝の上。でっけえ犬にのしかかられてるみたい。
ふわりと鼻先かすめる甘い香り、香水好きなこうへいは外に出る時結構いろんな香りを纏うけど、自宅にいる時はだいたい同じやつをつけてるっぽい。わざわざシャワー浴びてからつけなおすとかオシャレにこだわりある奴は凄いね。
抱き合う時もそうだって、気がついたのはいつ頃だったか。
だからなのか、なんとなく、コイツからこの香りがすると、そわそわするっていうか、うん、まあ、正直、ちょっとだけ、ムラムラは、するけど。酒飲んでるから余計そういう気分だけど。
人の膝の上でまるまって、腰にがっしりしがみついて、口半開きですうすうくうくう寝息たててる無邪気な顔みてると、なんか、まあ、たまにはこういうのも良いかって気分にもなるから。
「かーわいいねぇ」
ほっぺたつまむと、あったかい。もにゅもにゅ口が動いて、耳が赤くて、髪がくしゃっと乱れて、まつ毛は穏やかに伏せられて。沢山の女のコに恋されるのが職業の、今は、俺だけの、こうへいの姿。
おこしてしまわないように、そっと頭を撫でて。半端に残ったコーラ、炭酸抜けたら飲めたもんじゃないし、口をつけると独特の甘さとしゅわしゅわ感、しばらくぶりに飲んだな、学生の頃は好きだったっけ、たまにだと、うん、結構、美味いな。
胸の中ぱちぱちはじける甘い刺激。爽やかであまったるくて、アルコールに慣れた身にはほんの少しだけ物足りないけど、これはこれで心地いい。
膝の上、すやすや眠る可愛いオトコを眺めながら、飲み干したボトルを置いて。グラスの方におかわりを注ぐ。ハイボール、濃いめ。
国宝イケメンの寝顔を肴に飲むとかなかなか贅沢な晩酌だ。

朝になって、勿体ねぇと頭抱えて叫んでた姿にちょっと笑った。
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