短編&リクエスト集
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※片思い中な夢主
※クリア前世界線
今日はクリスマス
この世界ではクリスマスなんてまだ広まっていないから誰も知らないだろうけど
それでもあたしは大好きなあの人と過ごしたくて何度も断られながら今日という日を勝ち取った
『へへ、ギンナンさん!次はあっちのお店みましょ!』
「あー……はいはい」
イチョウ商会のリーダーでもあるギンナンを連れ回しているのは数ヶ月前にギンガ団に入ったナマエという少女だった
普段は調査隊として真面目に働き目立った悪い噂話もでない少女だが一つ問題もあった
それは年が離れすぎているギンナンにお熱という事だ
「せっかくの休みだったんでしょ?……なにもこんなオジサン誘わなくても」
『もう!またそんな事を!あたしが誘いたいのはギンナンさんだけですって何度も言ったじゃないですか!』
「………変わってんね」
ギンナンはやれやれと呆れたように咥えた煙草に火を付けると空へと気怠げに灰色の煙を吐き出した
その何気ない行動さえもナマエにとっては大人の男として魅力的に見えハートを飛ばしている
「(俺のどこがいいんだか…本当に変わった子だな)」
ギンナンは涼しげな青い目に白銀の髪をした見た目の整った男性だった、若い頃も非常に多くの女性から好意を示されてきたが本人は熱くなれず一人を貫いてきた
年をとってからもそれは変わらず、女性から声をかけられても流してきたが今目の前を歩く少女の熱意には流石に負けてしまったようだ
毎日毎日声をかけては嬉しそうに顔を緩ませ
ギンナンが素っ気ない態度をわざととってもめげず旅先で見た事や感じた事を話に来る
「(……若いからな…他の男を知れば俺を見る目も変わるかもな)」
彼女の周りには他にも若い男達がいる
コンゴウ団の若い長や自分の部下である男
それに村にも彼女を好意的に見ているものは何人かいるはずだ
いつかは若い男が彼女の隣に並ぶ事だろう
『因みにですね、元の世界では今日の日付をクリスマスと言って…恋人達には特別な日なんですよ?』
チラチラと顔だけを振り返りつつ彼の反応を確かめるが…
「ふーん」
ギンナンは彼女のわざとらしい好意の匂わせな言葉さえも反応せず、ナマエはしょんぼりと肩を落としてしまう
「(こんなオジサンよりは…それが普通だよね)」
ぼんやりと心此処にあらずなギンナンがそんな事を考えていると茶屋で休んでいた複数の男達がコチラを見て聞こえるように会話を響かせた
「おい見ろ!昼間っから女を買ったオッサンがいるぜ!年考えろってな」
「ハハッ羨ましいな!お嬢ちゃん!そんな枯れた男と眠んごろするならオレとどうだ!金なら払うぞ」
ゲラゲラと下衆な会話をし笑う男達
ギンナンは帽子の影に隠れた瞳を鋭くさせるが
『お断りしまーす!あたしこの人しか興味ないんで!』
ケロリと言い返す彼女の反応にはギンナンも茶屋の男達も驚き言葉を失う
その隙にとナマエはギンナンの手を掴むと少し早めに歩き出しその場を離れようとした
『ギンナンさん甘い物好きですか?この前テルくんに教わったお店が向こうにあるんで一緒に食べましょ?』
コチラを見ずに歩く彼女はどんな顔をしているんだろうか、いつものようにケラケラと笑っているのか
それとも泣きそうな顔をしているのか
声からは分からずギンナンが足を止めるとガクンとバランスを崩した彼女が体を揺らし、倒れ込む前にギンナンがそれを支えた
「ナマエちゃん」
彼女の体を反転させ顔を覗き込むと、その顔は彼の想像とは全く違うものだった
『え?あ…ちょっ、ちょっとそんなに顔見ないでくれませんか?』
ナマエの顔は笑っても泣いてもいない
寧ろ頰を赤くし拗ねているようだった
「どうしたの?こんなに…真っ赤にして」
彼女の頰に指の背で触れると熱く…それでいて柔らかく気持ちがよかった
ナマエは少し冷たい彼の手を感じながら視線を逸らすとポツポツと理由を話し出す
『だって…あの人達、ギンナンさんを侮辱した…こんなに素敵な人なのにっ…』
怒りに震えだす彼女は唇が白くなる程噛み瞳を涙の膜で潤わせる
女性として馬鹿にされたのを悔しがるのではなく自分を気遣ってくれた彼女にギンナンは目を見開き、薄っすらと口角をつり上げた
「気にしなさんな…実際俺と君じゃそう見えても仕方ない」
『っ、そんな事ないです!あたしは本当にギンナンさんの事っ』
言いかけた言葉の先を催促するのは野暮だろう
ギンナンは咥えていた煙草を指の間に挟んで抜き取ると背中を丸め
「………ありがとう」
煙草の匂いと共に感じた肌の熱の気配
彼女が反応するより先に直ぐ側からリップ音が鳴り、僅かにチクチクとした顎髭が彼女の頰を掠めた
『へ?』
顔を離したギンナンはまた煙草を咥え直すとニヤリと笑い、先程触れたばかりの頰を手のひらで抑えるナマエを見下ろした
「……ん…腹減ったな、肉食わない?」
先に歩き出し彼が数歩進んだ頃漸く我に返った彼女は慌ててギンナンの隣に並んだ
『待ってあの!さっきのっ』
「食わないの?」
『いや食べます!お肉も食べます!でも甘いのも食べたいですっ』
「ハハッ…じゃあ、どっちも食おっか」
翻弄されているのはまだ若い少女か
それともそんな少女に心を動かされた大人か
その日からギンナンは彼女の後ろではなく隣を歩くようになった
※クリア前世界線
今日はクリスマス
この世界ではクリスマスなんてまだ広まっていないから誰も知らないだろうけど
それでもあたしは大好きなあの人と過ごしたくて何度も断られながら今日という日を勝ち取った
『へへ、ギンナンさん!次はあっちのお店みましょ!』
「あー……はいはい」
イチョウ商会のリーダーでもあるギンナンを連れ回しているのは数ヶ月前にギンガ団に入ったナマエという少女だった
普段は調査隊として真面目に働き目立った悪い噂話もでない少女だが一つ問題もあった
それは年が離れすぎているギンナンにお熱という事だ
「せっかくの休みだったんでしょ?……なにもこんなオジサン誘わなくても」
『もう!またそんな事を!あたしが誘いたいのはギンナンさんだけですって何度も言ったじゃないですか!』
「………変わってんね」
ギンナンはやれやれと呆れたように咥えた煙草に火を付けると空へと気怠げに灰色の煙を吐き出した
その何気ない行動さえもナマエにとっては大人の男として魅力的に見えハートを飛ばしている
「(俺のどこがいいんだか…本当に変わった子だな)」
ギンナンは涼しげな青い目に白銀の髪をした見た目の整った男性だった、若い頃も非常に多くの女性から好意を示されてきたが本人は熱くなれず一人を貫いてきた
年をとってからもそれは変わらず、女性から声をかけられても流してきたが今目の前を歩く少女の熱意には流石に負けてしまったようだ
毎日毎日声をかけては嬉しそうに顔を緩ませ
ギンナンが素っ気ない態度をわざととってもめげず旅先で見た事や感じた事を話に来る
「(……若いからな…他の男を知れば俺を見る目も変わるかもな)」
彼女の周りには他にも若い男達がいる
コンゴウ団の若い長や自分の部下である男
それに村にも彼女を好意的に見ているものは何人かいるはずだ
いつかは若い男が彼女の隣に並ぶ事だろう
『因みにですね、元の世界では今日の日付をクリスマスと言って…恋人達には特別な日なんですよ?』
チラチラと顔だけを振り返りつつ彼の反応を確かめるが…
「ふーん」
ギンナンは彼女のわざとらしい好意の匂わせな言葉さえも反応せず、ナマエはしょんぼりと肩を落としてしまう
「(こんなオジサンよりは…それが普通だよね)」
ぼんやりと心此処にあらずなギンナンがそんな事を考えていると茶屋で休んでいた複数の男達がコチラを見て聞こえるように会話を響かせた
「おい見ろ!昼間っから女を買ったオッサンがいるぜ!年考えろってな」
「ハハッ羨ましいな!お嬢ちゃん!そんな枯れた男と眠んごろするならオレとどうだ!金なら払うぞ」
ゲラゲラと下衆な会話をし笑う男達
ギンナンは帽子の影に隠れた瞳を鋭くさせるが
『お断りしまーす!あたしこの人しか興味ないんで!』
ケロリと言い返す彼女の反応にはギンナンも茶屋の男達も驚き言葉を失う
その隙にとナマエはギンナンの手を掴むと少し早めに歩き出しその場を離れようとした
『ギンナンさん甘い物好きですか?この前テルくんに教わったお店が向こうにあるんで一緒に食べましょ?』
コチラを見ずに歩く彼女はどんな顔をしているんだろうか、いつものようにケラケラと笑っているのか
それとも泣きそうな顔をしているのか
声からは分からずギンナンが足を止めるとガクンとバランスを崩した彼女が体を揺らし、倒れ込む前にギンナンがそれを支えた
「ナマエちゃん」
彼女の体を反転させ顔を覗き込むと、その顔は彼の想像とは全く違うものだった
『え?あ…ちょっ、ちょっとそんなに顔見ないでくれませんか?』
ナマエの顔は笑っても泣いてもいない
寧ろ頰を赤くし拗ねているようだった
「どうしたの?こんなに…真っ赤にして」
彼女の頰に指の背で触れると熱く…それでいて柔らかく気持ちがよかった
ナマエは少し冷たい彼の手を感じながら視線を逸らすとポツポツと理由を話し出す
『だって…あの人達、ギンナンさんを侮辱した…こんなに素敵な人なのにっ…』
怒りに震えだす彼女は唇が白くなる程噛み瞳を涙の膜で潤わせる
女性として馬鹿にされたのを悔しがるのではなく自分を気遣ってくれた彼女にギンナンは目を見開き、薄っすらと口角をつり上げた
「気にしなさんな…実際俺と君じゃそう見えても仕方ない」
『っ、そんな事ないです!あたしは本当にギンナンさんの事っ』
言いかけた言葉の先を催促するのは野暮だろう
ギンナンは咥えていた煙草を指の間に挟んで抜き取ると背中を丸め
「………ありがとう」
煙草の匂いと共に感じた肌の熱の気配
彼女が反応するより先に直ぐ側からリップ音が鳴り、僅かにチクチクとした顎髭が彼女の頰を掠めた
『へ?』
顔を離したギンナンはまた煙草を咥え直すとニヤリと笑い、先程触れたばかりの頰を手のひらで抑えるナマエを見下ろした
「……ん…腹減ったな、肉食わない?」
先に歩き出し彼が数歩進んだ頃漸く我に返った彼女は慌ててギンナンの隣に並んだ
『待ってあの!さっきのっ』
「食わないの?」
『いや食べます!お肉も食べます!でも甘いのも食べたいですっ』
「ハハッ…じゃあ、どっちも食おっか」
翻弄されているのはまだ若い少女か
それともそんな少女に心を動かされた大人か
その日からギンナンは彼女の後ろではなく隣を歩くようになった
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