第一章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
キバナくんが変だ
変と言うのは失礼かもしれないけど変なものは変なのだ
「お?ナマエにしては珍しく時間通りじゃん」
『失礼な!あたしだって予定が分かれば時間通り動けるの!それをいつもいつもキバナくんが急に呼び寄せるから遅刻するんであって』
ぱっと見はいつもの彼だけど…
「あ〜はいはい、すみませんでしたっと」
『ちょっと……この手は何?』
スキンシップが異常に増えた気がする
今も自然とあたしの腰に手を添えナックルジムへと案内しようとするし、この前も然りげ無く肩を触ったり髪を撫でてくる
子供帰りで甘えたくなったのかな?と最初は思ってたけどなんか違う
「んー?転ばないように念の為ってやつ?」
『転ばないってば、いいからむやみに触らない!キバナくんて他の女の子にもこうだったっけ?』
腰を掴むキバナくんの手の甲を軽く叩くと彼はヘラヘラと笑い大人しく手を下げてくれた
ちょっと痛かったのか手の甲を擦る彼は自分の手を見つめたまま
「いや?触らねぇよ?ナマエだけ」
平然とそんな事を言うからたちが悪い
元々イケメンだから余計に様になってるし変に意識してしまうから心臓に悪い
実際あたしは今も平気な顔をしているけど内心は大声で叫びたい程動揺しまくってます
『(寧ろあたしがその細くて引き締まった腰を掴みたいぐらいよ!あれかな?おばさん相手だから絡みやすいってやつ?眼中にもないからふざけてる?)』
現実世界でもそんなの見た事ある
バイトの若い男の子が中年のおばちゃんに甘えて戯れていて、おばちゃんも照れつつ喜んでたっけなぁ…
『(あ…なんかそう考えると少し気持ちがスンとなって落ち着いた)』
平常心を取り戻しスタジオ内に入るとキバナくんと別れ、あたしはいつものように先にバトルする準備を始めバトルコートへと歩き出した
中央へもうすぐ辿り着くと思った頃
あたしの足元に大きな影がかかり空を見上げると翼を広げたリザードンが見えた
『え?リザードン?』
「やあ!ナマエさん!」
『ってダンデくん!』
降りてくるにつれ見えてきたのはリザードンの背中に乗ったダンデくんだった
彼はリザードンが地面に足をつける前に飛び降り軽い足取りであたしの前へと着地し、徐ろに帽子を脱いでお辞儀した
『え?何?』
「ナマエさん、今日は貴女にデートの申し込みをしに来たぜ!」
「はあぁっっ???」
後からコートに来たキバナくんがあたしより先に大きな声でリアクションをとり大股でダンデくんへと詰め寄った
まるで優等生に絡むヤンキーのような形相に冷や汗が浮かびそうになる
「なんでオマエとナマエがデートしなきゃならねぇんだよ!女の子と遊びたいなら他にもいるだろーが!」
「俺は女の子とデートしたいんじゃない、ナマエさんとデートしたいんだ」
「駄目でーす!オレさまの先生は忙しいからオマエなんかの相手してる暇ねぇの!この間といい流石に図々しいんじゃねぇの?」
子供の喧嘩をみているようでついほのぼのしそうになるけど、自分が関係しているから傍観しているわけにもいかないよね
『えっとダンデくん?なんで急にデートしたいって思ったの?』
「ソニアがしてみろって!あ…いや…前にバトルしてから俺はずっと貴女を忘れられなかったんだ!ずっとここがモヤモヤしてて気がつくと貴女の顔ばかり浮かんで…だからデートすればこの気持ちが何か分かるんじゃないかってソニアが言ってたんだ」
なんともまっすぐな申し込みに驚いてしまう
見た目はこんなに立派な大人の男性なのに彼の心はいつまでも少年のように純粋だ
『デートすればモヤモヤがなくなるの?』
「分からないぜ…でも何か分かるかも知れないなら行動したいんだ!だから俺に協力してくれないか?」
『(んー恋愛感情じゃなくて純粋にモヤモヤを晴らしたいだけみたいだし…ダンデくんがスッキリするならいいかな?)』
一回くらい仮デートならいいかと思い始めていると凄い嫌そうな顔をしているキバナくんと目が合った
彼は何か言いたそうに口を開きかけると言葉を飲み込み代わりにバンダナを脱ぎ自分の頭を乱暴にかいた
『キバナくん?』
「はぁぁ…どうせアンタの事だからダンデの為に一回くらいいいかとか思ってんだろ?」
『う、正解っ』
「あ〜やだやだ、これだからお人好しはっ」
乱暴に頭を触ったせいで彼の長い前髪がはらりと垂れ落ち頰を掠める
いつも後ろに結っているが本当は長く綺麗な黒髪をしている為ギャップがあって萌える
何度か全部下ろした髪型も見たけどアレはヤバい
色気が半端なくておばさんキュンとしたもんね
「……なんか別の事考えてんだろ?」
『うひっ!いっいえ?なんにも?』
「動揺しすぎだっつーの」
なんでそんなにあたしの考えている事分かるのかな?長年の付き合いだから?
ドキドキと冷や汗を浮かべつつ視線を彷徨わせるとキバナくんは一瞬寂しそうな目をしあたし達に背を向けた
『キバナくん?どこ行くの?』
「トイレ」
短く答え背を向けたままバトルコートを後にした彼をずっと見つめるとなんだかあたしの胸がきゅっと締め付けられた気がした
「ナマエさん?返事を貰いたんだが…俺とじゃ嫌か?」
『あ、ううん?そんな事ないよ?ダンデくんはスッキリさせたいだけだもんね?協力するよ』
「本当かっ!やったぜっ!!」
ダンデくんと連絡先を交換し後で日にちを決めようと約束すると彼は満足気にリザードンに乗ってまた何処かへと飛んでいってしまい、あたしはバトルコートでキバナくんが来るのを待っていたけど
いくら待ってても彼は現れなかった
『キーバーナくーん?いつまでそうしているつもりかな?』
時計の針が一周した頃
やっと見つけたキバナくんはフードを深く被り、ジムの選手用控室のすみっこで大きな体をなんとか小さくしようと膝を抱いて座っていた
「………あっち行けよ」
『バトルに誘っといてそれはないんじゃない?先生はキバナくんをそんな生徒に育てた覚えはないけど?』
「…………」
被ったパーカーのフードの紐を力いっぱい引いたのか口が窄まりまるでシビルドンの口みたいで少し不気味だ
顔が見えない彼の前にしゃがみ込みじっと見つめるとキバナくんは自分の手を強く握りポツポツと喋りだした
「………デート………すんのかよ?」
『うん?あ〜うん、スッキリするなら協力しよっかなって思って』
「デートの意味分かってんの?」
『デートと言ってもダンデくんの場合はただ友達と遊ぶような物だし問題ないんじゃない?』
ダンデくんのイメージ的に男友達かポケモンと過ごすような健全な物しか浮かばない
せいぜい食事を一緒にするくらいだろうと予想しているとキバナくんはぎゅっと自分の手を強く握りしめボソリと呟いた
「………もし違ったらどうすんだよ?」
『え?違ったら……て?』
どう言う事かと彼の顔を覗き込もうとするとキバナくんは勢いよくフードを脱ぎ乱れた髪の毛のままあたしに牙を向いて怒った
「っ!だからっ!アイツがナマエの事本当に女として好きで迫ってきたらどうすんだって聞いたんだよっ!」
大きな声を出したせいで彼は軽く乱れた息を整えようとふっ、ふっ、と短く呼吸し肩を揺らした
こんなおばさんでも心配してくれる彼の優しさがちょっと嬉しくてあたしはむず痒い気持ちになる
ニヤけそうになる口元を隠し目を泳がせるとキバナくんはじっとあたしを見ていて次の言葉を待っているようだ
もし…ダンデくんに襲われそうになったら…か
『んー、そしたらキバナくんを呼ぼうかな?助けて〜って』
「………………オレを呼んでくれるの?」
『ん?当たり前でしょ?キバナくんくらいしかあたし頼れる人いないもん』
「………なんだよ…それ…」
苦笑いして見せるとキバナくんは力が抜けたようにその場に胡座をかきなおし、少し目元が腫れた顔をこちらに向けた
あれ?もしかして泣いてた?なんで?
「………本当……アンタって…」
『ん?』
「酷ぇ女だな」
目元を片手で押さえ込み俯く彼にあたしは驚きおろおろと背中を擦ったり顔を覗き込もうとしたけど、泣いているのか笑っているのか結局分からず
「わりぃ…今日は帰ってくれ」
少し落ち着いたのか彼は何でもなかったように立ち上がりバンダナを深く被り直した後、あたしを置いて控室を出ていってしまった
変と言うのは失礼かもしれないけど変なものは変なのだ
「お?ナマエにしては珍しく時間通りじゃん」
『失礼な!あたしだって予定が分かれば時間通り動けるの!それをいつもいつもキバナくんが急に呼び寄せるから遅刻するんであって』
ぱっと見はいつもの彼だけど…
「あ〜はいはい、すみませんでしたっと」
『ちょっと……この手は何?』
スキンシップが異常に増えた気がする
今も自然とあたしの腰に手を添えナックルジムへと案内しようとするし、この前も然りげ無く肩を触ったり髪を撫でてくる
子供帰りで甘えたくなったのかな?と最初は思ってたけどなんか違う
「んー?転ばないように念の為ってやつ?」
『転ばないってば、いいからむやみに触らない!キバナくんて他の女の子にもこうだったっけ?』
腰を掴むキバナくんの手の甲を軽く叩くと彼はヘラヘラと笑い大人しく手を下げてくれた
ちょっと痛かったのか手の甲を擦る彼は自分の手を見つめたまま
「いや?触らねぇよ?ナマエだけ」
平然とそんな事を言うからたちが悪い
元々イケメンだから余計に様になってるし変に意識してしまうから心臓に悪い
実際あたしは今も平気な顔をしているけど内心は大声で叫びたい程動揺しまくってます
『(寧ろあたしがその細くて引き締まった腰を掴みたいぐらいよ!あれかな?おばさん相手だから絡みやすいってやつ?眼中にもないからふざけてる?)』
現実世界でもそんなの見た事ある
バイトの若い男の子が中年のおばちゃんに甘えて戯れていて、おばちゃんも照れつつ喜んでたっけなぁ…
『(あ…なんかそう考えると少し気持ちがスンとなって落ち着いた)』
平常心を取り戻しスタジオ内に入るとキバナくんと別れ、あたしはいつものように先にバトルする準備を始めバトルコートへと歩き出した
中央へもうすぐ辿り着くと思った頃
あたしの足元に大きな影がかかり空を見上げると翼を広げたリザードンが見えた
『え?リザードン?』
「やあ!ナマエさん!」
『ってダンデくん!』
降りてくるにつれ見えてきたのはリザードンの背中に乗ったダンデくんだった
彼はリザードンが地面に足をつける前に飛び降り軽い足取りであたしの前へと着地し、徐ろに帽子を脱いでお辞儀した
『え?何?』
「ナマエさん、今日は貴女にデートの申し込みをしに来たぜ!」
「はあぁっっ???」
後からコートに来たキバナくんがあたしより先に大きな声でリアクションをとり大股でダンデくんへと詰め寄った
まるで優等生に絡むヤンキーのような形相に冷や汗が浮かびそうになる
「なんでオマエとナマエがデートしなきゃならねぇんだよ!女の子と遊びたいなら他にもいるだろーが!」
「俺は女の子とデートしたいんじゃない、ナマエさんとデートしたいんだ」
「駄目でーす!オレさまの先生は忙しいからオマエなんかの相手してる暇ねぇの!この間といい流石に図々しいんじゃねぇの?」
子供の喧嘩をみているようでついほのぼのしそうになるけど、自分が関係しているから傍観しているわけにもいかないよね
『えっとダンデくん?なんで急にデートしたいって思ったの?』
「ソニアがしてみろって!あ…いや…前にバトルしてから俺はずっと貴女を忘れられなかったんだ!ずっとここがモヤモヤしてて気がつくと貴女の顔ばかり浮かんで…だからデートすればこの気持ちが何か分かるんじゃないかってソニアが言ってたんだ」
なんともまっすぐな申し込みに驚いてしまう
見た目はこんなに立派な大人の男性なのに彼の心はいつまでも少年のように純粋だ
『デートすればモヤモヤがなくなるの?』
「分からないぜ…でも何か分かるかも知れないなら行動したいんだ!だから俺に協力してくれないか?」
『(んー恋愛感情じゃなくて純粋にモヤモヤを晴らしたいだけみたいだし…ダンデくんがスッキリするならいいかな?)』
一回くらい仮デートならいいかと思い始めていると凄い嫌そうな顔をしているキバナくんと目が合った
彼は何か言いたそうに口を開きかけると言葉を飲み込み代わりにバンダナを脱ぎ自分の頭を乱暴にかいた
『キバナくん?』
「はぁぁ…どうせアンタの事だからダンデの為に一回くらいいいかとか思ってんだろ?」
『う、正解っ』
「あ〜やだやだ、これだからお人好しはっ」
乱暴に頭を触ったせいで彼の長い前髪がはらりと垂れ落ち頰を掠める
いつも後ろに結っているが本当は長く綺麗な黒髪をしている為ギャップがあって萌える
何度か全部下ろした髪型も見たけどアレはヤバい
色気が半端なくておばさんキュンとしたもんね
「……なんか別の事考えてんだろ?」
『うひっ!いっいえ?なんにも?』
「動揺しすぎだっつーの」
なんでそんなにあたしの考えている事分かるのかな?長年の付き合いだから?
ドキドキと冷や汗を浮かべつつ視線を彷徨わせるとキバナくんは一瞬寂しそうな目をしあたし達に背を向けた
『キバナくん?どこ行くの?』
「トイレ」
短く答え背を向けたままバトルコートを後にした彼をずっと見つめるとなんだかあたしの胸がきゅっと締め付けられた気がした
「ナマエさん?返事を貰いたんだが…俺とじゃ嫌か?」
『あ、ううん?そんな事ないよ?ダンデくんはスッキリさせたいだけだもんね?協力するよ』
「本当かっ!やったぜっ!!」
ダンデくんと連絡先を交換し後で日にちを決めようと約束すると彼は満足気にリザードンに乗ってまた何処かへと飛んでいってしまい、あたしはバトルコートでキバナくんが来るのを待っていたけど
いくら待ってても彼は現れなかった
『キーバーナくーん?いつまでそうしているつもりかな?』
時計の針が一周した頃
やっと見つけたキバナくんはフードを深く被り、ジムの選手用控室のすみっこで大きな体をなんとか小さくしようと膝を抱いて座っていた
「………あっち行けよ」
『バトルに誘っといてそれはないんじゃない?先生はキバナくんをそんな生徒に育てた覚えはないけど?』
「…………」
被ったパーカーのフードの紐を力いっぱい引いたのか口が窄まりまるでシビルドンの口みたいで少し不気味だ
顔が見えない彼の前にしゃがみ込みじっと見つめるとキバナくんは自分の手を強く握りポツポツと喋りだした
「………デート………すんのかよ?」
『うん?あ〜うん、スッキリするなら協力しよっかなって思って』
「デートの意味分かってんの?」
『デートと言ってもダンデくんの場合はただ友達と遊ぶような物だし問題ないんじゃない?』
ダンデくんのイメージ的に男友達かポケモンと過ごすような健全な物しか浮かばない
せいぜい食事を一緒にするくらいだろうと予想しているとキバナくんはぎゅっと自分の手を強く握りしめボソリと呟いた
「………もし違ったらどうすんだよ?」
『え?違ったら……て?』
どう言う事かと彼の顔を覗き込もうとするとキバナくんは勢いよくフードを脱ぎ乱れた髪の毛のままあたしに牙を向いて怒った
「っ!だからっ!アイツがナマエの事本当に女として好きで迫ってきたらどうすんだって聞いたんだよっ!」
大きな声を出したせいで彼は軽く乱れた息を整えようとふっ、ふっ、と短く呼吸し肩を揺らした
こんなおばさんでも心配してくれる彼の優しさがちょっと嬉しくてあたしはむず痒い気持ちになる
ニヤけそうになる口元を隠し目を泳がせるとキバナくんはじっとあたしを見ていて次の言葉を待っているようだ
もし…ダンデくんに襲われそうになったら…か
『んー、そしたらキバナくんを呼ぼうかな?助けて〜って』
「………………オレを呼んでくれるの?」
『ん?当たり前でしょ?キバナくんくらいしかあたし頼れる人いないもん』
「………なんだよ…それ…」
苦笑いして見せるとキバナくんは力が抜けたようにその場に胡座をかきなおし、少し目元が腫れた顔をこちらに向けた
あれ?もしかして泣いてた?なんで?
「………本当……アンタって…」
『ん?』
「酷ぇ女だな」
目元を片手で押さえ込み俯く彼にあたしは驚きおろおろと背中を擦ったり顔を覗き込もうとしたけど、泣いているのか笑っているのか結局分からず
「わりぃ…今日は帰ってくれ」
少し落ち着いたのか彼は何でもなかったように立ち上がりバンダナを深く被り直した後、あたしを置いて控室を出ていってしまった