第一章
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今日はダンデとのデートの日だ
キバナとのアクシデントを引っ張りながらも約束した日にシュートシティでダンデと会うと予想外な事が起こる
「映画のチケットを用意しといたぜ!ポップコーンとチョコも買おうと思うんだが君は好きなものはあるか?遠慮なく言ってくれ」
「雑貨屋が町に来ているな…少し見ていくか?」
「そろそろ歩き疲れたろ、そこの喫茶店に寄らないか?ケーキが美味いって評判なんだ」
『(あれ?なんかこれ普通のデートじゃない?)』
ダンデの事だから会うなりバトルを申し込まれるかと思って来たのだが、彼はいつものユニフォーム姿ではなく黒いタートルにジャケットを羽織った私服姿だった
そのままエスコートされ定番のデートコースを周る事になり、こちらの方がソワソワと落ち着かず不思議な気分だ
『ダンデくんってデートよくするの?なんか慣れてない?』
喫茶店で紅茶とケーキがテーブルに並ぶ頃、聞いて見ると向かい側に座る彼は恥ずかしがる事もなく
「いや?ちゃんとしたデートはこれが初めてだぜ?前の日に雑誌で勉強しただけだ」
『え?そうなの?』
「ああ、でも君がそう聞いてきたって事は成功したという事だよな?」
ケロリとした顔で答える彼にナマエの方が気不味くなりそうだった
初めてのデートを成功させようと頑張っていた健気さは正直キュンとくるものがある
『(真剣に雑誌を読むダンデくんを想像すると可愛いな…キバナくんはこういう初々しさなさそうだもんね)』
キバナを頭に思い浮かべるとつい自慰をしていた姿まで思い出してしまう、紅茶を飲んで気を紛らわせようとすると前に座るダンデは窓の外を眺め瞳を細めだした
天気のいい温かい日差しが彼の長い睫毛が影を落とす金色の瞳を輝かせ美しい、まるで一枚の絵でも見ているようにナマエは目を奪われそうになった
「今までの俺はバトルばかりで、休みの日に誰かと出掛けるなんて考えもしなかったが……思ったより悪くないな」
『そう?なんかあたしに気を使って映画とか店も選んでたようだし疲れてない?』
恋愛ものの映画に女性が好きそうな小物雑貨店
ダンデの趣味とは思えず問いかけると彼はテーブルに頬杖をつきながらこちらに微笑んだ
「疲れたりしないさ、君の反応を見ていると俺まで楽しくて…バトルでは味わえない不思議な満足感を得られているんだ」
『あたしの反応って…そんなに変だった?』
「ハハッそうじゃない、君は俺が思っていたより涙脆いし可愛い物が好きだろ?普段はクールな君の意外な一面が見れて楽しかったぜ」
彼の柔らかい笑顔を初めてみた
バトル時の勝利に笑った少年のような笑顔でもなく男の色気を含ませた微笑みは心臓に悪く意識した途端、うぐっと喉が詰まる
恥ずかしさに紅茶へと意識を向けるが頰は赤くなっており、ダンデからはバレバレだろう
「照れてるのか?顔が赤いぜ?」
『違うから!日差しが暑いだけ!』
紅茶を飲み干しケーキを乱暴に口に運ぶとナマエは勢いよく立ち上がり
『次はダンデくんの好きなとこに行こう!』
「俺の?……そうだなぁ」
なんとか雰囲気を元に戻そうと店を出ると何処からか子供の泣く声が聞こえた
二人は顔を見合わせると直ぐ様泣き声の方へと走り出し次第に公園が見えてきた
まだ幼い少年はグズグズと鼻を鳴らしながら鳴いておりナマエは怖がらせないようゆっくりと側へ近寄る
『どうしたの?迷子?』
「ちがっ、ぼくの、マリーが、落ちちゃって」
『マリー?』
彼の指さす方を見てみると小さな穴が見え恐る恐るダンデとナマエは穴を覗き込む
公園には必要ない筈のぽっかりとした穴、その暗い奥には水色の何かがか弱い声を出し助けを求めていた
「これはディグダの掘った穴だな、間違って落ちたのかもしれない」
『大変!なんとかしないと!』
ナマエは直ぐ様自分の袖を捲り穴へと腕を入れようとするが、その手をダンデは掴み動きを止める
「俺がやろう」
上着を脱ぎ捨て同じように袖を捲った彼は迷う事なく腕を穴へと入れ奥を目指した
頬が地面につきそうなほど肩まで押し込むが指先は穴に落ちたポケモンに届かず彼の顔が険しくなる
「っ…駄目だ、何か道具か穴を掘るポケモンが必要だが」
『穴ほり……そうだ!ペルシアン!』
彼女は腰に下げていたボールを取り出すと中から白い毛色をしたペルシアンを呼び出した
ガラルでは珍しいシャムネコポケモンにダンデと少年は驚くが今は構っている暇はない
『ペルシアン、穴に落ちた子を助けて』
一つ鳴き声を上げるとペルシアンは鋭い爪をたて穴へと顔をねじ込み土を掘り出していく
硬い土も物ともせず数分もしないうちにペルシアンの顔が穴の奥へと入れるほど穴は広がり、前足も中へと入りこませる
すると…
「マリー!」
水色のマリルを咥えてペルシアンは穴から顔を出した
土だらけになったマリルを少年は喜んで受け取りペルシアンも褒めろと言わんばかりにナマエの足へと体を寄せ甘える
『ペルシアンありがとう、その子は念の為ポケモンセンターに連れてってね?』
「うん!ありがとう!」
悲しい涙は嬉し泣きへと代わり少年は公園を後にし、ダンデは驚いたようにペルシアンへとしゃがみ込み目を輝かせた
「この姿のペルシアンは珍しいな!どこで捕まえたんだ?」
『この子は預かってるだけ、もう少ししたらカントー地方の依頼人に返すの』
「依頼?仕事で預かってるのか?」
ペルシアンへと浅黒い手を差し伸ばすと鼻先で匂いを確かめた後ダンデに触らせるのを許可したようだ
やっと触らせてくれたペルシアンの毛並みは柔らかく触り心地がよく気持ちがいい
喉を撫でてやるとゴロゴロと気持ちよさそうに声を出し始め、ナマエもそんなペルシアンの頭を撫でだし切なげに眉を下げた
『パートナーに懐かなくて噛みついたらしいの、元々気位が高い子だけど人間への警戒心が抜けなくて……あたしに依頼が来たの』
野生のポケモンは人間と相性がよくない場合慣れるのに時間がかかる
自分を守る為に威嚇や噛み付くなどしてしまうポケモンを人によっては可愛くないという勝手な理由で手放す事がある
一度捕まえたポケモンは野生に逃がしても適応出来なかったり困惑し体を壊すものもいる
ナマエはそれを知ってしまってから問題のあるポケモンを受け入れる事にしていた
『人に慣れないなら捨てる…せっかく出会ったのに簡単にサヨナラなんて嫌じゃない?だからブリーダーの真似事も受けていたの』
今のペルシアンからは想像がつかない
これほど人馴れしているという事はナマエが懸命に世話をしたという事だろ
『あたしのサザンドラを覚えてる?あの子も前のトレーナーへの噛み癖が治らなくて捨てられたんだよ?あんなに強くてカッコいいのに……酷いよね』
ペルシアンをボールに戻すとダンデは立ち上がり何かを言いたそうに口を揺らすが言葉がすぐには出なかった
『ダンデくん、土だらけになっちゃったね』
「あ…ああ、これくらい平気だぜ」
『全く…ダンデくんは後先考えないんだから』
やれやれと優しいため息を吐きながら彼の腕についた土を払ってやる、その手はよく見れば古い小さな傷跡がいくつかありポケモン達と分かり合う為に努力した日々がダンデには見えた
「それは君もだろ?俺が止めなければ君がこうなっていた」
『あたしはいいの、怪我したり汚れたりするのは慣れてるから』
「よくない!俺が側にいる時は君には無理させたくないっ」
思ったより大きな声が出てしまった
しまったと自分の口の前に手のひらを被せるがナマエは怒るでもなく微笑んでくれた
『…ありがとう、ダンデくん』
目を細めふにゃりと笑った顔は年上とは思えない程可愛らしくて…ダンデの胸は飛び跳ねた
「っ!…貴女は本当に……俺の予想を超えていくな」
ぼそりと呟いた声は土を払うのに必死な彼女には聞こえなかったようだ
「(心臓が痛い…なんでこんなにドキドキするんだ?)」
速い心音が…熱いため息が彼女に聞こえてしまわないか不安に感じつつダンデは初めての感情に困惑する
日が暮れる頃、楽しかったデートが終わりを告げようとしていた
シュートシティの駅へ向かう道を二人で歩いているとピタリとダンデの足が止まり、数歩歩いてからナマエも足を自然と止めた
『どうしたの?』
「……なんだかモヤモヤするんだ」
服の上から胸を抑える彼の手は力が込められており苦しそうだ
『今日ずっとそうだったの?』
「いや、さっきまでは平気だったんだ…だが帰ると思ったら急に…また苦しくなってきた」
モヤモヤを晴らす為に今日はデートをした
昼間は明るかった彼の顔は曇りだし、ナマエも心配そうに彼の元へと近寄る
『………ひょっとして寂しい…とか?』
「寂しい?」
『あたしもね?友達と沢山遊んで楽しいとさ、別れた時寂しい気持ちになるんだ、突然周りの空気が寒く感じて一人ぼっちになったみたいに…もしかしたらそれかな?』
「……そうだろうか?……俺は君と別れるのが寂しい…のか?」
『ふふ、それあたしに聞いちゃう?寂しいって思って貰えるほど楽しかったならあたしは嬉しいよ!』
クスクスと笑う彼女は先に駅へと歩き出した、ダンデは彼女の後ろをゆっくりとついていく
自分より小柄な女性はなぜか今だけは大きな存在に見えずっと年上のような安心感を感じた
「(そうか…俺のこの気持ちは寂しいんだ、君ともっと時間を共有したくて…もっと君の側にいたいのかもしれない)」
実感すればする程寂しさを感じダンデは前を歩く彼女に手を伸ばそうとするが
【ロトロトっ!!ネズから連絡ロト!】
ロトムの大きな声に体がビクンッと揺れ触れる前に手を下げてしまった
『ネズくん?珍しいね?どうしたの?』
すぐに通話を始めた彼女はネズから何かを聞かされると一言二言文句をいい、最後には嫌そうに返事をし通話を切った
『ごめん、急用ができちゃったから…ここでさよならしてもいい?』
申し訳なさそうに眉を下げる彼女に嫌だとも言えずダンデは頷くと、ナマエは直ぐ様サザンドラを呼び出し空へと飛び立ってしまった
方向的にスパイクタウンだ
ネズになんの用か気になりながらもダンデは自分の胸をまた強く抑え……唇を静かに噛み締めた
キバナとのアクシデントを引っ張りながらも約束した日にシュートシティでダンデと会うと予想外な事が起こる
「映画のチケットを用意しといたぜ!ポップコーンとチョコも買おうと思うんだが君は好きなものはあるか?遠慮なく言ってくれ」
「雑貨屋が町に来ているな…少し見ていくか?」
「そろそろ歩き疲れたろ、そこの喫茶店に寄らないか?ケーキが美味いって評判なんだ」
『(あれ?なんかこれ普通のデートじゃない?)』
ダンデの事だから会うなりバトルを申し込まれるかと思って来たのだが、彼はいつものユニフォーム姿ではなく黒いタートルにジャケットを羽織った私服姿だった
そのままエスコートされ定番のデートコースを周る事になり、こちらの方がソワソワと落ち着かず不思議な気分だ
『ダンデくんってデートよくするの?なんか慣れてない?』
喫茶店で紅茶とケーキがテーブルに並ぶ頃、聞いて見ると向かい側に座る彼は恥ずかしがる事もなく
「いや?ちゃんとしたデートはこれが初めてだぜ?前の日に雑誌で勉強しただけだ」
『え?そうなの?』
「ああ、でも君がそう聞いてきたって事は成功したという事だよな?」
ケロリとした顔で答える彼にナマエの方が気不味くなりそうだった
初めてのデートを成功させようと頑張っていた健気さは正直キュンとくるものがある
『(真剣に雑誌を読むダンデくんを想像すると可愛いな…キバナくんはこういう初々しさなさそうだもんね)』
キバナを頭に思い浮かべるとつい自慰をしていた姿まで思い出してしまう、紅茶を飲んで気を紛らわせようとすると前に座るダンデは窓の外を眺め瞳を細めだした
天気のいい温かい日差しが彼の長い睫毛が影を落とす金色の瞳を輝かせ美しい、まるで一枚の絵でも見ているようにナマエは目を奪われそうになった
「今までの俺はバトルばかりで、休みの日に誰かと出掛けるなんて考えもしなかったが……思ったより悪くないな」
『そう?なんかあたしに気を使って映画とか店も選んでたようだし疲れてない?』
恋愛ものの映画に女性が好きそうな小物雑貨店
ダンデの趣味とは思えず問いかけると彼はテーブルに頬杖をつきながらこちらに微笑んだ
「疲れたりしないさ、君の反応を見ていると俺まで楽しくて…バトルでは味わえない不思議な満足感を得られているんだ」
『あたしの反応って…そんなに変だった?』
「ハハッそうじゃない、君は俺が思っていたより涙脆いし可愛い物が好きだろ?普段はクールな君の意外な一面が見れて楽しかったぜ」
彼の柔らかい笑顔を初めてみた
バトル時の勝利に笑った少年のような笑顔でもなく男の色気を含ませた微笑みは心臓に悪く意識した途端、うぐっと喉が詰まる
恥ずかしさに紅茶へと意識を向けるが頰は赤くなっており、ダンデからはバレバレだろう
「照れてるのか?顔が赤いぜ?」
『違うから!日差しが暑いだけ!』
紅茶を飲み干しケーキを乱暴に口に運ぶとナマエは勢いよく立ち上がり
『次はダンデくんの好きなとこに行こう!』
「俺の?……そうだなぁ」
なんとか雰囲気を元に戻そうと店を出ると何処からか子供の泣く声が聞こえた
二人は顔を見合わせると直ぐ様泣き声の方へと走り出し次第に公園が見えてきた
まだ幼い少年はグズグズと鼻を鳴らしながら鳴いておりナマエは怖がらせないようゆっくりと側へ近寄る
『どうしたの?迷子?』
「ちがっ、ぼくの、マリーが、落ちちゃって」
『マリー?』
彼の指さす方を見てみると小さな穴が見え恐る恐るダンデとナマエは穴を覗き込む
公園には必要ない筈のぽっかりとした穴、その暗い奥には水色の何かがか弱い声を出し助けを求めていた
「これはディグダの掘った穴だな、間違って落ちたのかもしれない」
『大変!なんとかしないと!』
ナマエは直ぐ様自分の袖を捲り穴へと腕を入れようとするが、その手をダンデは掴み動きを止める
「俺がやろう」
上着を脱ぎ捨て同じように袖を捲った彼は迷う事なく腕を穴へと入れ奥を目指した
頬が地面につきそうなほど肩まで押し込むが指先は穴に落ちたポケモンに届かず彼の顔が険しくなる
「っ…駄目だ、何か道具か穴を掘るポケモンが必要だが」
『穴ほり……そうだ!ペルシアン!』
彼女は腰に下げていたボールを取り出すと中から白い毛色をしたペルシアンを呼び出した
ガラルでは珍しいシャムネコポケモンにダンデと少年は驚くが今は構っている暇はない
『ペルシアン、穴に落ちた子を助けて』
一つ鳴き声を上げるとペルシアンは鋭い爪をたて穴へと顔をねじ込み土を掘り出していく
硬い土も物ともせず数分もしないうちにペルシアンの顔が穴の奥へと入れるほど穴は広がり、前足も中へと入りこませる
すると…
「マリー!」
水色のマリルを咥えてペルシアンは穴から顔を出した
土だらけになったマリルを少年は喜んで受け取りペルシアンも褒めろと言わんばかりにナマエの足へと体を寄せ甘える
『ペルシアンありがとう、その子は念の為ポケモンセンターに連れてってね?』
「うん!ありがとう!」
悲しい涙は嬉し泣きへと代わり少年は公園を後にし、ダンデは驚いたようにペルシアンへとしゃがみ込み目を輝かせた
「この姿のペルシアンは珍しいな!どこで捕まえたんだ?」
『この子は預かってるだけ、もう少ししたらカントー地方の依頼人に返すの』
「依頼?仕事で預かってるのか?」
ペルシアンへと浅黒い手を差し伸ばすと鼻先で匂いを確かめた後ダンデに触らせるのを許可したようだ
やっと触らせてくれたペルシアンの毛並みは柔らかく触り心地がよく気持ちがいい
喉を撫でてやるとゴロゴロと気持ちよさそうに声を出し始め、ナマエもそんなペルシアンの頭を撫でだし切なげに眉を下げた
『パートナーに懐かなくて噛みついたらしいの、元々気位が高い子だけど人間への警戒心が抜けなくて……あたしに依頼が来たの』
野生のポケモンは人間と相性がよくない場合慣れるのに時間がかかる
自分を守る為に威嚇や噛み付くなどしてしまうポケモンを人によっては可愛くないという勝手な理由で手放す事がある
一度捕まえたポケモンは野生に逃がしても適応出来なかったり困惑し体を壊すものもいる
ナマエはそれを知ってしまってから問題のあるポケモンを受け入れる事にしていた
『人に慣れないなら捨てる…せっかく出会ったのに簡単にサヨナラなんて嫌じゃない?だからブリーダーの真似事も受けていたの』
今のペルシアンからは想像がつかない
これほど人馴れしているという事はナマエが懸命に世話をしたという事だろ
『あたしのサザンドラを覚えてる?あの子も前のトレーナーへの噛み癖が治らなくて捨てられたんだよ?あんなに強くてカッコいいのに……酷いよね』
ペルシアンをボールに戻すとダンデは立ち上がり何かを言いたそうに口を揺らすが言葉がすぐには出なかった
『ダンデくん、土だらけになっちゃったね』
「あ…ああ、これくらい平気だぜ」
『全く…ダンデくんは後先考えないんだから』
やれやれと優しいため息を吐きながら彼の腕についた土を払ってやる、その手はよく見れば古い小さな傷跡がいくつかありポケモン達と分かり合う為に努力した日々がダンデには見えた
「それは君もだろ?俺が止めなければ君がこうなっていた」
『あたしはいいの、怪我したり汚れたりするのは慣れてるから』
「よくない!俺が側にいる時は君には無理させたくないっ」
思ったより大きな声が出てしまった
しまったと自分の口の前に手のひらを被せるがナマエは怒るでもなく微笑んでくれた
『…ありがとう、ダンデくん』
目を細めふにゃりと笑った顔は年上とは思えない程可愛らしくて…ダンデの胸は飛び跳ねた
「っ!…貴女は本当に……俺の予想を超えていくな」
ぼそりと呟いた声は土を払うのに必死な彼女には聞こえなかったようだ
「(心臓が痛い…なんでこんなにドキドキするんだ?)」
速い心音が…熱いため息が彼女に聞こえてしまわないか不安に感じつつダンデは初めての感情に困惑する
日が暮れる頃、楽しかったデートが終わりを告げようとしていた
シュートシティの駅へ向かう道を二人で歩いているとピタリとダンデの足が止まり、数歩歩いてからナマエも足を自然と止めた
『どうしたの?』
「……なんだかモヤモヤするんだ」
服の上から胸を抑える彼の手は力が込められており苦しそうだ
『今日ずっとそうだったの?』
「いや、さっきまでは平気だったんだ…だが帰ると思ったら急に…また苦しくなってきた」
モヤモヤを晴らす為に今日はデートをした
昼間は明るかった彼の顔は曇りだし、ナマエも心配そうに彼の元へと近寄る
『………ひょっとして寂しい…とか?』
「寂しい?」
『あたしもね?友達と沢山遊んで楽しいとさ、別れた時寂しい気持ちになるんだ、突然周りの空気が寒く感じて一人ぼっちになったみたいに…もしかしたらそれかな?』
「……そうだろうか?……俺は君と別れるのが寂しい…のか?」
『ふふ、それあたしに聞いちゃう?寂しいって思って貰えるほど楽しかったならあたしは嬉しいよ!』
クスクスと笑う彼女は先に駅へと歩き出した、ダンデは彼女の後ろをゆっくりとついていく
自分より小柄な女性はなぜか今だけは大きな存在に見えずっと年上のような安心感を感じた
「(そうか…俺のこの気持ちは寂しいんだ、君ともっと時間を共有したくて…もっと君の側にいたいのかもしれない)」
実感すればする程寂しさを感じダンデは前を歩く彼女に手を伸ばそうとするが
【ロトロトっ!!ネズから連絡ロト!】
ロトムの大きな声に体がビクンッと揺れ触れる前に手を下げてしまった
『ネズくん?珍しいね?どうしたの?』
すぐに通話を始めた彼女はネズから何かを聞かされると一言二言文句をいい、最後には嫌そうに返事をし通話を切った
『ごめん、急用ができちゃったから…ここでさよならしてもいい?』
申し訳なさそうに眉を下げる彼女に嫌だとも言えずダンデは頷くと、ナマエは直ぐ様サザンドラを呼び出し空へと飛び立ってしまった
方向的にスパイクタウンだ
ネズになんの用か気になりながらもダンデは自分の胸をまた強く抑え……唇を静かに噛み締めた