第一章
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「どういう事だリョウタっ、なんでアイツがカントーに行ってんだよ!」
長身の若い男は尖った牙を剥き出しにし部下である青年の胸ぐらを力任せに掴んだ
普段は温厚な男が別人のように顔を険しくさせており今にも殴りかかってきそうだった
だが長い付き合いだからか、部下であるリョウタは怯えるでもなく真っ直ぐな目で彼…キバナを見上げる
「妹はキバナ様に認めて貰う為に行ったのです!カントー地方でワタル様のような強さのヒントを探したいと言ってました、ですが………まさかキバナ様にも秘密にしていたとは」
自分に認めてもらいたい
そう言われては強くは言えない
だが何も言わず遠く離れたカントー地方に行ったのは面白くない
キバナは舌打ちをし、リョウタの胸ぐらから漸く手を離し行き場のない怒りに頭を乱暴にかいた
「はぁ〜ったく、兄貴も兄貴なら妹も妹だ!健気なのと無鉄砲は違ぇって分かんねぇのか!」
シワのできた胸元の服の乱れを直しリョウタはかけていた眼鏡をかけ直す
冷静な部下と違い上司は落ち着かずその場を意味もなく歩き回った
「それほどキバナ様を慕っているという事ですよ」
「んなの分かってんだよっ!」
キバナは直ぐ様ポケットからスマホを取り出し耳にあてるがコール音が鳴り響くだけでお当ての人物は電話にでなかった
「出ねぇし!あのッ野郎ぉっっっ!」
カントー地方
切り立った高い山などはなく平な地形と多くの洞窟が目立つ穏やかな地方
ポケモン達の性格も穏やかで初めてトレーナーになる者達には恵まれた場所であり学園ではバトルだけでなく座学にも力を注いでいる
『へっぷしっ!ぅ〜カントーってこんなに寒いの?ガラルが暖かいだけかな?』
青い草花が咲き乱れている春のカントー地方
ほんのりと暖かくなりつつあるが空気はまだ冷たい
故郷との気温の違いを感じながら少女は制服の上から着たパーカーに首を縮こませる
白い肌のせいか鼻の上が赤くなっているのが目立ち可愛らしい彼女の名はチハル
ガラルにてナックルジムのジムトレーナーをしているリョウタの妹だ
真っ黒な髪は背中まで伸びており瞳も黒く兄とそっくりだ、違うとすればリョウタのようにツリ目ではない事くらいだろう
『(明日からマフラーも着けようかな?春なのにそれは変かな?)』
ぷるりと震え猫のような口元をキュッと結び、寒がりのせいかバス停に着いてもじっとしていられずその場で小さくジャンプし体を温めようとしてしまう
他人から見ればおかしな子かもしれないが寒いのだから仕方ない
『(あ……コラッタだ)』
バス停に先に着いていた一人の生徒の元にコラッタが近寄ってきた、ベンチに一人で座っている少女はコラッタを見つめるが威嚇されてしまい怯えた声を出し他の二人組の生徒は何事もなかったような話を続ける
一人で座る少女は気不味そうにチラチラと二人組の生徒達を見ており話しかけたくても勇気がないようだ
『(あの子も新入生かな?っと、バス来ちゃった)』
全寮制のセキエイ学園は他地方から来る者からすれば有り難い
学べる環境に心身を休められる場所、少し足を伸ばせば自然の中で暮らす野生ポケモン達にも会える
満足気に入学式を終えたチハルは担任の教師に案内されながらとある教室へと他の生徒達に混ざり入っていった
番号順に指定された席に座ると彼女の前に座っている女子生徒に目が止まった
『(あ…コラッタの子だ)』
名前が分からない為変なあだ名をつけ心の中で呼ぶ、その女子生徒は落ち着きなく座ったまま背伸びしたり俯いて何かを祈るような動きをしていた
「次、リコさん」
「はっはい!」
『(リコッて言うんだ…あの子の相棒ポケモンはなんだろう?大人しそうだし草タイプかな?)』
事前に相性の良い相棒ポケモンを調べる為に面接があった、そこで生徒の性格を把握し学園側がポケモンを選んでくれるのだ
戻ってきたリコは大事に両手で持ったボールを落とさないよう慎重に運び席にゆっくりと腰掛けた
「次、チハルさん」
『はいっ!(おっと、まずは自分の相棒だよね)』
ケースに保管されたモンスターボール達、番号の書かれた場所からボールを手に取るとまだ呼び出してもいないと言うのに勝手に中から光と共にポケモンが飛び出した
カゲェッ!
『ヒトカゲ?え?でも……黒』
飛び出したのはヒトカゲ、だが普通のヒトカゲよりも小さく色もオレンジではなく黒かった
本当にこの子かと教師に目を向けるがにっこりと微笑み返されるだけだった
『よろしくヒトカゲ、言っとくけどあたしは強くなりたいの!君も協力してくれる?』
任せろと笑顔で飛びついてきたヒトカゲはチハルの頭にしがみつき勢いよく尻尾を左右に振った
赤やオレンジではなく青白い炎を持つヒトカゲ
爬虫類独特の冷たい肌ではなく温かい体は気持ちよくてお腹はふわふわで柔らかい
頭に乗ったまま席に戻ると調度リコの相棒ポケモンが教室から飛び出したところだった
緑色の子猫のようなポケモンだ
『(ニャオハ…確か草タイプだっけ?)』
「あ!待って!」
チャイムが鳴り響きニャオハを追いかけていくリコ、パートナーになったばかりだというのに振り回されているようだ
『そうだ!お兄ちゃんに報告、報告っと…』
初のポケモンは黒いヒトカゲだった
兄が聞いたらさぞ驚くだろうとご機嫌にスマホを取り出すが、画面に映ったとんでもない数の着信履歴に顔から血の気が引いた
『キ、キバナ様?え?なんで?あ……もしかしてあたし…言うの忘れてたっ?』
電話だけでなくメールも何十通も送られており殆どが怒りのメールだった
最初の数件に目を通しただけで彼女の背中はだらだらと冷や汗が滝のように流れだす
『んん、見なかった事にしよっかな〜?』
スマホを見ないようにポケットにしまうが鬼のような顔をしたキバナが目に浮かび背筋が凍った気がした
長身の若い男は尖った牙を剥き出しにし部下である青年の胸ぐらを力任せに掴んだ
普段は温厚な男が別人のように顔を険しくさせており今にも殴りかかってきそうだった
だが長い付き合いだからか、部下であるリョウタは怯えるでもなく真っ直ぐな目で彼…キバナを見上げる
「妹はキバナ様に認めて貰う為に行ったのです!カントー地方でワタル様のような強さのヒントを探したいと言ってました、ですが………まさかキバナ様にも秘密にしていたとは」
自分に認めてもらいたい
そう言われては強くは言えない
だが何も言わず遠く離れたカントー地方に行ったのは面白くない
キバナは舌打ちをし、リョウタの胸ぐらから漸く手を離し行き場のない怒りに頭を乱暴にかいた
「はぁ〜ったく、兄貴も兄貴なら妹も妹だ!健気なのと無鉄砲は違ぇって分かんねぇのか!」
シワのできた胸元の服の乱れを直しリョウタはかけていた眼鏡をかけ直す
冷静な部下と違い上司は落ち着かずその場を意味もなく歩き回った
「それほどキバナ様を慕っているという事ですよ」
「んなの分かってんだよっ!」
キバナは直ぐ様ポケットからスマホを取り出し耳にあてるがコール音が鳴り響くだけでお当ての人物は電話にでなかった
「出ねぇし!あのッ野郎ぉっっっ!」
カントー地方
切り立った高い山などはなく平な地形と多くの洞窟が目立つ穏やかな地方
ポケモン達の性格も穏やかで初めてトレーナーになる者達には恵まれた場所であり学園ではバトルだけでなく座学にも力を注いでいる
『へっぷしっ!ぅ〜カントーってこんなに寒いの?ガラルが暖かいだけかな?』
青い草花が咲き乱れている春のカントー地方
ほんのりと暖かくなりつつあるが空気はまだ冷たい
故郷との気温の違いを感じながら少女は制服の上から着たパーカーに首を縮こませる
白い肌のせいか鼻の上が赤くなっているのが目立ち可愛らしい彼女の名はチハル
ガラルにてナックルジムのジムトレーナーをしているリョウタの妹だ
真っ黒な髪は背中まで伸びており瞳も黒く兄とそっくりだ、違うとすればリョウタのようにツリ目ではない事くらいだろう
『(明日からマフラーも着けようかな?春なのにそれは変かな?)』
ぷるりと震え猫のような口元をキュッと結び、寒がりのせいかバス停に着いてもじっとしていられずその場で小さくジャンプし体を温めようとしてしまう
他人から見ればおかしな子かもしれないが寒いのだから仕方ない
『(あ……コラッタだ)』
バス停に先に着いていた一人の生徒の元にコラッタが近寄ってきた、ベンチに一人で座っている少女はコラッタを見つめるが威嚇されてしまい怯えた声を出し他の二人組の生徒は何事もなかったような話を続ける
一人で座る少女は気不味そうにチラチラと二人組の生徒達を見ており話しかけたくても勇気がないようだ
『(あの子も新入生かな?っと、バス来ちゃった)』
全寮制のセキエイ学園は他地方から来る者からすれば有り難い
学べる環境に心身を休められる場所、少し足を伸ばせば自然の中で暮らす野生ポケモン達にも会える
満足気に入学式を終えたチハルは担任の教師に案内されながらとある教室へと他の生徒達に混ざり入っていった
番号順に指定された席に座ると彼女の前に座っている女子生徒に目が止まった
『(あ…コラッタの子だ)』
名前が分からない為変なあだ名をつけ心の中で呼ぶ、その女子生徒は落ち着きなく座ったまま背伸びしたり俯いて何かを祈るような動きをしていた
「次、リコさん」
「はっはい!」
『(リコッて言うんだ…あの子の相棒ポケモンはなんだろう?大人しそうだし草タイプかな?)』
事前に相性の良い相棒ポケモンを調べる為に面接があった、そこで生徒の性格を把握し学園側がポケモンを選んでくれるのだ
戻ってきたリコは大事に両手で持ったボールを落とさないよう慎重に運び席にゆっくりと腰掛けた
「次、チハルさん」
『はいっ!(おっと、まずは自分の相棒だよね)』
ケースに保管されたモンスターボール達、番号の書かれた場所からボールを手に取るとまだ呼び出してもいないと言うのに勝手に中から光と共にポケモンが飛び出した
カゲェッ!
『ヒトカゲ?え?でも……黒』
飛び出したのはヒトカゲ、だが普通のヒトカゲよりも小さく色もオレンジではなく黒かった
本当にこの子かと教師に目を向けるがにっこりと微笑み返されるだけだった
『よろしくヒトカゲ、言っとくけどあたしは強くなりたいの!君も協力してくれる?』
任せろと笑顔で飛びついてきたヒトカゲはチハルの頭にしがみつき勢いよく尻尾を左右に振った
赤やオレンジではなく青白い炎を持つヒトカゲ
爬虫類独特の冷たい肌ではなく温かい体は気持ちよくてお腹はふわふわで柔らかい
頭に乗ったまま席に戻ると調度リコの相棒ポケモンが教室から飛び出したところだった
緑色の子猫のようなポケモンだ
『(ニャオハ…確か草タイプだっけ?)』
「あ!待って!」
チャイムが鳴り響きニャオハを追いかけていくリコ、パートナーになったばかりだというのに振り回されているようだ
『そうだ!お兄ちゃんに報告、報告っと…』
初のポケモンは黒いヒトカゲだった
兄が聞いたらさぞ驚くだろうとご機嫌にスマホを取り出すが、画面に映ったとんでもない数の着信履歴に顔から血の気が引いた
『キ、キバナ様?え?なんで?あ……もしかしてあたし…言うの忘れてたっ?』
電話だけでなくメールも何十通も送られており殆どが怒りのメールだった
最初の数件に目を通しただけで彼女の背中はだらだらと冷や汗が滝のように流れだす
『んん、見なかった事にしよっかな〜?』
スマホを見ないようにポケットにしまうが鬼のような顔をしたキバナが目に浮かび背筋が凍った気がした
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