第一章
夢小説設定
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「取り敢えずハロンを案内しよう、何か思い出せるかもしれない」
そういうとダンデはポケットから小さなモンスターボールを取り出し宙に投げた
光と共に中から出てきたのは彼の相棒であるリザードンだった
『うわぁっ!な、なんですか!この生き物は!』
「リザードンというポケモンだぜ?知らないのか?」
大きなドラゴンのようなリザードン
その迫力に驚きベッドの上で後退りする彼女は本当に初めて見たようだった
『ポケモン?ドラゴンじゃなくて?聞いたことないですが…危なくないんですか?噛まない?食べられない?』
困惑し慌ただしくダンデとリザードンを見比べる彼女にリザードンは興味を持った
自分はまだ何もしていないのにここまで怯える人間は見たことない
少し脅かしてやれと好奇心に満ちたリザードンは瞳を意地悪く細めながら近寄り、わざと鼻息を彼女の額に掛けてやった
『ひっ!』
「こらッ!リザードン!意地悪するな」
喉奥で笑うリザードンはそれ以上はイタズラをせず距離を取り、代わりにダンデが彼女の顔を覗き込んだ
「すまない、いつもはいい子なんだが…君に興味があるようだ」
『ぁ、いえ、噛まないなら…大丈夫です、それにあたしも怖がって…その…ごめんなさい』
素直に謝り怖がりながらも頭を下げるとリザードンとダンデはお互いの目を見て驚いた
本当に彼女はリザードンを見たことがないようだ
「君はもしかして…うん、言葉で聞くより見た方が早いな」
ベッドから腰を上げるとダンデは自分の身長より大きな部屋の窓を開け放ち振り返った
「おいで」
手の平を彼女へと向け呼ぶと彼女はまだ訳が分からないと言った顔で恐る恐るダンデの手を取った
「この世界を見せよう!」
『え?うわぁっ!!』
力任せに引っ張られされるがままに抱き上げられるとダンデはリザードンの背中に飛び乗り大空へと飛び上がった
『やだやだやだっ!死んじゃうっ!落ちるっ!』
突然の浮遊感に怯えてしまい体を小さく縮こませた彼女にダンデは笑ってしまい、自分の腕の中にいる少女に明るく声をかけた
「ハハッ大丈夫だ!君を離しはしないさ!」
横抱きのように背中に腕を回し体を支えてやり、リザードンに平行にゆっくり飛ぶように指示を出す
急な浮遊感が落ち着き肌に感じる風が緩やかになった事に気がつくと彼女は強く閉じていた瞳をゆっくりと開けた
『………ぁ』
そこで見たものはコンクリートジャングルではなく、広い牧草地と色とりどりの家だった
羊に似た生き物が草をのんびりと食べたり子供達が楽しそうに駆け回っていたり
空を飛ぶカラスのような小鳥の群れや大きな蝶々達
何もかも見たことがない世界だった
「どうだ?少しは落ち着いたか?」
『……はい』
そうは言うが彼女は咄嗟にしがみついたダンデの胸の服から手を離そうとはしなかった
いや…しがみついてるのも忘れているのかもしれない
彼女の目はハロンの景色に釘付けとなり見惚れるように真っ黒な瞳を輝かせていた
「俺達はポケモン達と共存して暮らしている、互いに助け合い時にはバトルをし成長を楽しんだりしているんだ」
『………ポケモンと暮らす、言葉が分からないのにそんな事できるんですか?』
「言葉なんかなくても自然とお互いの事が分かってくるのさ、な?相棒!」
ガウッと返事をするかのように鳴くリザードン
パートナーとして絆がある彼らに驚きながら彼女はまた景色に見惚れた
「ところで…君は自分の名前は覚えているのか?」
『あ!はいっ、あたしはチハルです!チハルと言います!えっと…貴方の名前は?』
「俺はダンデだ!」
ガラルで有名な自分の名前も知らない相手にダンデはますます興味を惹かれ笑みを深めた
彼女は言うなれば真っ白なキャンバスだ
何も知らない、何も持っていない
自分が教えた事だけを身につけ染まっていく存在にダンデはゾクゾクとした支配欲を震えさせた
「……一つ確認だが、君はバース検査と言う物は知っているか?」
『いいえ?』
「ならこのまま俺と一緒に調べに行こう、この世界で暮らすなら知らなければならない事だからな」
************************************************
この世界には男と女の他に第三の性別が存在した、アルファにベータそしてオメガだそうだ
空のお散歩の後すぐに病院に連れて行かれ、あたしはその検査を受ける事になった
ダンデさんから説明を受けた医師は随分驚いていて不安になったけど、どうやらこの検査はもっと小さい頃にやるのが義務らしく
あたしの年齢まで検査していないのは異例らしい
簡単な血液検査をし医師とあたし…そしてダンデさんは診察室に通された
結果はオメガ
と、言ってもあたしにはピンッとこない
そうなんだとしか思えず反応に困る
顔を曇らせた医師は何やら言いづらそうにカルテを眺めながら告げるがダンデさんは顔を明るくさせ嬉しそうにしているように見えた
『あの…オメガって何か駄目なんですか?病気になりやすいとか』
「そんな事はありません、ただオメガは希少でしてね?色々と苦労もするかもしれません」
『苦労とはなんですか?』
全く分からず質問を繰り返す
病気が関係しないならば何が問題となるのか
元の世界に帰れない可能性もある為今のうちに聞きたいと前のめりに問いかけた
「オメガは男女関係なく妊娠が可能でしてね?発情期には特殊なフェロモンを出し相手を魅了します…強い媚薬のようなもので貴女の望まない相手をも誘惑してしまうのです」
男女関係なく妊娠できる?
何を言っているのか分からなくて、これは実はドッキリとかテレビの企画ではないかと辺りを見回したけど何も変わらなかった
「基本的な事が書かれた簡単な本をご用意しますのでご自宅に帰ってからお読みください」
不安に感じ隣に立つダンデさんを見あげると彼はニッコリと微笑みあたしの肩に手を乗せた
「そんなに不安に思う事はないぜ、家に帰ったら俺が詳しく教えよう」
ニコニコと微笑むダンデさんにホッとし先に診察室を出ると後ろから医師がダンデさんに声をかけた
「ダンデさん薬は足りてますか?もし足りないようならすぐにご用意します、もしもの事があってはいけませんからね」
薬とはなんだろう?
彼は何処か具合が悪いのかな?
「…………チハルは先に行っててくれ」
気になりつつもあんまり聞いては失礼かもしれない、言われるままに先に出ていく事にした
数分後少し遅れて診察室を出てきたダンデさんは変わらずニコニコしていたけど後から出た医師は顔を真っ青にし俯いていた
『あのっ』
「疲れただろ?さあ帰ろう」
医師に声をかける前にダンデさんはあたしの手を掴み歩き出し外へと向かった
スニーカーが床を踏むたびにキュッと高い音がしその音を聞きながら振り返ると医師はまだ俯いていた
そういうとダンデはポケットから小さなモンスターボールを取り出し宙に投げた
光と共に中から出てきたのは彼の相棒であるリザードンだった
『うわぁっ!な、なんですか!この生き物は!』
「リザードンというポケモンだぜ?知らないのか?」
大きなドラゴンのようなリザードン
その迫力に驚きベッドの上で後退りする彼女は本当に初めて見たようだった
『ポケモン?ドラゴンじゃなくて?聞いたことないですが…危なくないんですか?噛まない?食べられない?』
困惑し慌ただしくダンデとリザードンを見比べる彼女にリザードンは興味を持った
自分はまだ何もしていないのにここまで怯える人間は見たことない
少し脅かしてやれと好奇心に満ちたリザードンは瞳を意地悪く細めながら近寄り、わざと鼻息を彼女の額に掛けてやった
『ひっ!』
「こらッ!リザードン!意地悪するな」
喉奥で笑うリザードンはそれ以上はイタズラをせず距離を取り、代わりにダンデが彼女の顔を覗き込んだ
「すまない、いつもはいい子なんだが…君に興味があるようだ」
『ぁ、いえ、噛まないなら…大丈夫です、それにあたしも怖がって…その…ごめんなさい』
素直に謝り怖がりながらも頭を下げるとリザードンとダンデはお互いの目を見て驚いた
本当に彼女はリザードンを見たことがないようだ
「君はもしかして…うん、言葉で聞くより見た方が早いな」
ベッドから腰を上げるとダンデは自分の身長より大きな部屋の窓を開け放ち振り返った
「おいで」
手の平を彼女へと向け呼ぶと彼女はまだ訳が分からないと言った顔で恐る恐るダンデの手を取った
「この世界を見せよう!」
『え?うわぁっ!!』
力任せに引っ張られされるがままに抱き上げられるとダンデはリザードンの背中に飛び乗り大空へと飛び上がった
『やだやだやだっ!死んじゃうっ!落ちるっ!』
突然の浮遊感に怯えてしまい体を小さく縮こませた彼女にダンデは笑ってしまい、自分の腕の中にいる少女に明るく声をかけた
「ハハッ大丈夫だ!君を離しはしないさ!」
横抱きのように背中に腕を回し体を支えてやり、リザードンに平行にゆっくり飛ぶように指示を出す
急な浮遊感が落ち着き肌に感じる風が緩やかになった事に気がつくと彼女は強く閉じていた瞳をゆっくりと開けた
『………ぁ』
そこで見たものはコンクリートジャングルではなく、広い牧草地と色とりどりの家だった
羊に似た生き物が草をのんびりと食べたり子供達が楽しそうに駆け回っていたり
空を飛ぶカラスのような小鳥の群れや大きな蝶々達
何もかも見たことがない世界だった
「どうだ?少しは落ち着いたか?」
『……はい』
そうは言うが彼女は咄嗟にしがみついたダンデの胸の服から手を離そうとはしなかった
いや…しがみついてるのも忘れているのかもしれない
彼女の目はハロンの景色に釘付けとなり見惚れるように真っ黒な瞳を輝かせていた
「俺達はポケモン達と共存して暮らしている、互いに助け合い時にはバトルをし成長を楽しんだりしているんだ」
『………ポケモンと暮らす、言葉が分からないのにそんな事できるんですか?』
「言葉なんかなくても自然とお互いの事が分かってくるのさ、な?相棒!」
ガウッと返事をするかのように鳴くリザードン
パートナーとして絆がある彼らに驚きながら彼女はまた景色に見惚れた
「ところで…君は自分の名前は覚えているのか?」
『あ!はいっ、あたしはチハルです!チハルと言います!えっと…貴方の名前は?』
「俺はダンデだ!」
ガラルで有名な自分の名前も知らない相手にダンデはますます興味を惹かれ笑みを深めた
彼女は言うなれば真っ白なキャンバスだ
何も知らない、何も持っていない
自分が教えた事だけを身につけ染まっていく存在にダンデはゾクゾクとした支配欲を震えさせた
「……一つ確認だが、君はバース検査と言う物は知っているか?」
『いいえ?』
「ならこのまま俺と一緒に調べに行こう、この世界で暮らすなら知らなければならない事だからな」
************************************************
この世界には男と女の他に第三の性別が存在した、アルファにベータそしてオメガだそうだ
空のお散歩の後すぐに病院に連れて行かれ、あたしはその検査を受ける事になった
ダンデさんから説明を受けた医師は随分驚いていて不安になったけど、どうやらこの検査はもっと小さい頃にやるのが義務らしく
あたしの年齢まで検査していないのは異例らしい
簡単な血液検査をし医師とあたし…そしてダンデさんは診察室に通された
結果はオメガ
と、言ってもあたしにはピンッとこない
そうなんだとしか思えず反応に困る
顔を曇らせた医師は何やら言いづらそうにカルテを眺めながら告げるがダンデさんは顔を明るくさせ嬉しそうにしているように見えた
『あの…オメガって何か駄目なんですか?病気になりやすいとか』
「そんな事はありません、ただオメガは希少でしてね?色々と苦労もするかもしれません」
『苦労とはなんですか?』
全く分からず質問を繰り返す
病気が関係しないならば何が問題となるのか
元の世界に帰れない可能性もある為今のうちに聞きたいと前のめりに問いかけた
「オメガは男女関係なく妊娠が可能でしてね?発情期には特殊なフェロモンを出し相手を魅了します…強い媚薬のようなもので貴女の望まない相手をも誘惑してしまうのです」
男女関係なく妊娠できる?
何を言っているのか分からなくて、これは実はドッキリとかテレビの企画ではないかと辺りを見回したけど何も変わらなかった
「基本的な事が書かれた簡単な本をご用意しますのでご自宅に帰ってからお読みください」
不安に感じ隣に立つダンデさんを見あげると彼はニッコリと微笑みあたしの肩に手を乗せた
「そんなに不安に思う事はないぜ、家に帰ったら俺が詳しく教えよう」
ニコニコと微笑むダンデさんにホッとし先に診察室を出ると後ろから医師がダンデさんに声をかけた
「ダンデさん薬は足りてますか?もし足りないようならすぐにご用意します、もしもの事があってはいけませんからね」
薬とはなんだろう?
彼は何処か具合が悪いのかな?
「…………チハルは先に行っててくれ」
気になりつつもあんまり聞いては失礼かもしれない、言われるままに先に出ていく事にした
数分後少し遅れて診察室を出てきたダンデさんは変わらずニコニコしていたけど後から出た医師は顔を真っ青にし俯いていた
『あのっ』
「疲れただろ?さあ帰ろう」
医師に声をかける前にダンデさんはあたしの手を掴み歩き出し外へと向かった
スニーカーが床を踏むたびにキュッと高い音がしその音を聞きながら振り返ると医師はまだ俯いていた
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