む……またこの部屋ですか。薬は余る程あるものの、実際にそれが必要な場面に出くわした事はまだないですね？ (薬棚を端からまじまじと眺めていき)

という事は、もしもに備えて持ち歩くよりも“その時”が来てから探す方が良い……？

現状、消耗も激しいですし、次に何か手に入れる機会があったら考えましょう

──ッ!? (硝子片から身を守るように両腕を翳しながらも敵の姿をしかと見据え) またとんでもないのが出てきましたね……!!

さながらケルベロスという奴ですか、全く……“地獄の番犬”を名乗るなら大人しく冥府でお留守番していて欲しいですね!! (そう言いながら彼は対ZV銃を抜き応戦する──)

(いよいよHP一桁のサドンデス状態ですけど……もしこのままゲームオーバーしてしまったら些か呆気ないので、その時は転生──もといニューゲームから再開する予定です)

(こちらは黄昏町と比べて進展があまり感じられないのが難ですね。次は寝袋とか引けますように) (彼は既に死ぬ覚悟を決めている……)

２つの指輪……パスワード？ (落ちていたメモの言葉を一つ一つ噛み締めながら) この舘のどこかに指輪があるんでしょうか？

これは重大な手掛かりだと思うんですが……なにぶん、私の身体はもう傷だらけですし。そこまで辿り着けるかどうか怪しいですね…… (自嘲気味に乾いた笑いを零した)

白骨死体……恐らく女性のものでしょうか。
しかし何故、こんな所に？ 怪物と化す事無く安置されているのには何か理由が……？

(不審に思った彼は周囲をくまなく探索する、するとベッドの下にキラリと光る何かを見つけた) これは──指輪！

やりました！ これは例の電子ロックの鍵ですね！ (小さくガッツポーズをしながら指輪に刻まれた数字を確認し)

……いつ死ぬか分からない体力の中で随分と粘るものです……はは、

これは……メタ視点が必要な謎解きなのでここで答えておきますが、

指輪に刻まれた数字は恐らく「診断メーカーのURL」に入力する事で“扉の先”に進める、いわゆる診断IDでしょう。

……と、“答える方法”が解った所で肝心の“答え”が足りなければ先には進めませんが。
プレイヤーに仕向ける謎解きとしては中々ですね。

──っ……ぅ…… (激しい頭痛に身を屈める、身体が熱い、痒い、咄嗟に首元を掻き毟ると──)

……これ、は…… (──僅かに皮膚片が剥がれ落ちた。近くの窓硝子を鏡代わりに自身の姿を確認すると、出血は殆ど無いが確かに皮膚が剥がれている)

まさか、感染……はっ！ 薬があります!! (かつて少女に貰った薬を慌てて取り出すと、彼はその瓶の中身を飲み干した)

(──すると、身体の異変はピタリと止まり) ……良かった……何故今頃発症したのか分かりませんが、治療できたのでとりあえずは良しとしましょう…… (腑に落ちないものを抱えながらも一先ず胸を撫で下ろした)

この日記は……前にも見た気がしますが (辺りを見回しながら日記の断片を手放して) 私、道に迷ってしまったんでしょうか？

いえ、仮にそうだとしても、ここが以前訪れた場所なら大体の現在地が掴めます。問題ありません。

……実験…… (読み終えた断片を手放すと壁の黒い染みを見る、とうに乾いたそれが何かを理解すると顔を顰めた)

人間に有効な抗体……ですか。それで結局、この人はどうしたんでしょうね？ (皮肉げな笑みを浮かべながら部屋を後にした……)

くぅっ、蜘蛛ですか！ あまり良い思い出がないですね!! (身体に纒わり付く蜘蛛の巣を払いながら対ZV銃を相手に撃ち込んでいく──)

全く……、何でもかんでも怪物化するなんて、この世界は随分……クソッタレ、な……

(──が、敵が動きを止めたのと同時に彼もガクリと膝をつき) ……あれ……おかしいな、私は……ま、だ……

(ふらり、と意識を失ってその場に倒れる。毒に侵された彼の身体は傷口を塞ぐ事ができず、ただその場に赤い血溜まりを広げていく──)

(──そして彼は、眠るように息絶えた)