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月守カナエ
……正直、あまり美味そうには見えないが (苦笑いを返すものの、彼の視線はその鮮烈な赤色に捕えられている──)
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月守カナエ
(ごくり、と生唾を呑む。“鉄の味”は知っている、だが何故かその肉塊が甘美なものに見えて仕方が無い)
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月守カナエ
(そんな彼の視線を察してか青年が肉塊の一部を差し出して来る、彼は一瞬躊躇った後、その肉に鋭い『牙』を突き立てた──)
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月守カナエ
へえ……まあ、構わないが (彼は怪訝な顔をしながらも猪の隣に座り、腕を組んだ)
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月守カナエ
廃ビルに、裏町、か……いや、どちらも見た事がないな。ふむ、そういう場所があるのか？ (首を捻りながら問いかけるが、猪は言葉を濁しながら串焼きを一つ差し出した)
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月守カナエ
ん？ この串焼き、縁日で似たものを見たような気がするが……まあいいか (彼は息を一つ吐くと、それを受け取って頬張った)
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月守カナエ
ハ！ 随分とデカい図体だな、ちゃんと足元見えてるのか？ (──彼はそう言いながら怪物の足元を駆け抜けると、背後から飛び掛ってその頭部を殴りつけた)
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月守カナエ
(轟音と共に怪物の巨体が幾らか吹き飛び、そして地に沈んだ。それが起き上がらない事を確認すると、彼は一つ鼻で笑いその場を後にした)
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月守カナエ
うえっ！ な、なんだァ？ (液体の降ってきた元を確認すると、逆行に佇む影の中に灯火が一つ──)
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月守カナエ
……おい、クソガキ。そいつをどうするつもりだ？ (自身の被った液体が燃料である事を理解した彼は、威圧的な態度で少年達に声を掛けるが)
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月守カナエ
(──少年達はそれを気にも留めず、火のついたマッチを一つ、投げ落とした)
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月守カナエ
……チッ (舌打ちを零すと両腕に力を込め、拘束具を破壊した)
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月守カナエ
……いい加減、病院が嫌いになりそうだ (彼は皮肉げな笑みを浮かべながら、振り下ろされる金棒を『鬼腕』で受け止めた──)
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月守カナエ
ッ、あァ!? またかよ!!! (彼は苛立ちのままに暴れまわり拘束衣を破壊して脱出した)
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月守カナエ
……へえ、それで、アンタはここを“出たい”のか？ (毒々しい色の瞳を細めながら彼はニヤリと笑みを浮かべる、顔色の悪い男の目の前まで詰め寄って──)
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月守カナエ
(──その男の首筋に、『牙』を突き立てた)
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月守カナエ
む、またアレか…… (再びベッドの下に身を潜めると、謎の検査が過ぎ去るのを待つ事にした)
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月守カナエ
(しばらくして男の悲鳴が辺りに響き渡ったが、彼は素知らぬ顔をしてその場を立ち去った)
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