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月守カナエ
ほーーん、良かろう。童(わっぱ)如きに負ける俺ではないわ！ (彼は自信満々に袖を捲りながらゴーカート乗り場に乗り込んでいく──)
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月守カナエ
──ふふはははは!! それ見たことか!! 大人を舐めるなよォ！ (勝負を終えて戻ってきた彼は兎を腕に抱えながら高笑いを響かせた……)
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月守カナエ
(──その時、彼の集めた兎たちが服の裾をちょんちょんと引っ張って) ……うん？ どうした、何か困り事でも……
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月守カナエ
あぁ、そうか！ 攫われた兎はこれで全員か！ (礼を告げながらぴょんぴょんと跳ねる兎たちを見て彼は頬を緩め) そうか、良かったな……本当に良かった
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月守カナエ
(彼は兎たちに連れられて遊園地の出口に辿り着くと、青い風船を一つ貰って、黄昏色の町に溶けていった──)
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月守カナエ
いッ── (咄嗟に文句を言おうと口を開くが、青年から持ちかけられた“ルール”により直ぐに口を閉じ)
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月守カナエ
……──!!! (無言のまま青年を睨み付けるとその手を力の限り握り潰した、彼の手の内で骨が砕け肉が潰れ、無残な悲鳴が響き渡った)
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月守カナエ
はい死亡〜、くっだらねェ勝負持ちかけンなら相手は選ぼうな〜 (彼は跪く青年を足蹴にすると喉元を踏み潰し、そのまま首をへし折った)
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月守カナエ
お、おい、待て、それは、 (足場の上でじりじりと追いやられていく、後一歩踏み出せば大量の水で満たされたタンクに落ちてしまう──)
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月守カナエ
くそっ、ふざけるな！ こんな所で死んでたま── (叫びながら振り翳した筈の腕は、住民たちの目を見て一瞬躊躇して)
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月守カナエ
(──次の瞬間には、彼の身は水底に沈んでいた)
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月守カナエ
クッソ、またコレかよ (忌々しそうに舌打ちをすると両腕に力を込め、拘束具を引きちぎった)
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月守カナエ
あ……？ 今回は鬼じゃないのか？ (閉じたカーテンの隙間から様子を伺っていた彼は、相手がただのゾンビだと気付くとベッドの下に身を潜めた)
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月守カナエ
……あの薬、どう見てもヤベー奴だろ。このままやり過ごすか…… (腐敗した看護師の足を見ながら、彼はそれが立ち去るのを待った──)
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月守カナエ
……オイ、アレ、大丈夫なのか (物陰に身を潜めていた彼は、並べられた器具と毒々しい色の薬を見て眉をひそめた) まあ、俺の眼の色も似たようなモンだが……
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月守カナエ
……わざわざ得体の知れない“治療”を受ける必要は無いな (彼はそのまま身を潜めてやり過ごした)
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月守カナエ
(重い足音が響く、彼が身を潜めていた病室に現れたのは禍々しい姿をした鬼だ)
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月守カナエ
ハ！ やはりか。だが俺もそう簡単にやられるつもりはないんでな、 (彼は鼻で笑うと袖を捲り来るべき戦いに身構えた──)
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月守カナエ
……なんだ？ これは、 (訝しみながらも一歩足を踏み出すと、ぴちゃり、と水の音が跳ねる)
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月守カナエ
へえ、ふうん、そうか (彼は男の言う事を生返事で受け流すと、その首を掴みあげて──)
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月守カナエ
では、“力ずくで押し通る” (──それを地面へ叩き付けた、僅かに赤色が舞った)
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