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月守カナエ
サイコロ……またサイコロか。良いだろう、振ってやるとも！ (半ばヤケになりながらも袖を捲る、その瞳にはやはり期待と興奮が揺らめいている)
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月守カナエ
っっっしゃオラ!!! (反射的に大きくガッツポーズをする、しかし占い師にじっと見つめられている事に気付くと慌てて居直って) ……す、済まない。つい興奮してしまった。
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月守カナエ
ああ、ダメだな、賭け事となるとすぐ興奮してしまう、こんなのは悪いと分かっているんだが…… (照れ臭そうに弁解するも占い師はただ彼を見つめている)
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月守カナエ
(言う事は無し、という事なのだろうか、何も答えぬ占い師に彼は気まずさを感じて、そそくさとその場を立ち去った……)
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月守カナエ
飴細工！ (心做しか瞳をきらきらと輝かせながらそれを見ている、差し出された飴を受け取るといかにも嬉しそうな笑顔を浮かべ) いやぁ〜、楽しいなぁ、縁日……
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月守カナエ
……んﾞっ、ゴホンゴホン。そうか、サイコロか、いいぞ、振るとも (──ふと咳払いをして我に返り)
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月守カナエ
あー……うん、まあいいだろう、飴を貰えただけで充分嬉しいからな！ (かくして出目は無慈悲だったが、飴細工を手にした彼はあまりにも機嫌が良いためその結果を快く受け入れた)
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月守カナエ
ほお、射的か、こう見えても俺は射的がそれなりに得意でな、 (楽しげに語りながら店主に硬貨を手渡す。顔にかかる前髪を退けながらコルク銃を手に取ると、それを構えて全神経を集中させ──)
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月守カナエ
(──額に宿る『三ツ目』が開く。妖しい光を放つ瞳は的の“弱点”を的確に捉え、そして──射抜いた)
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月守カナエ
……ふふ、俺の“勝ち”だな (得意げな表情を隠しもせずに報酬の駄菓子を受け取り、上機嫌のままそれをひとつ頬張った)
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月守カナエ
……う、うまそうだな…… (どっぷりとした肉を揺らしながら踊る狸を見て思わず腹が鳴る、いやしかしこんな賑わいの中で騒動を起こせばどうなるか──)
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月守カナエ
(そんな事をすれば間違いなくこの祭りは消え失せるだろう、楽しげな雰囲気は直ぐに血に塗れて混沌に沈むだろう、そう思えばこそ理性が彼の手を止めていた)
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月守カナエ
(──結局、彼はそのちんどん屋が通り過ぎるまで延々と悩み続けていた……)
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月守カナエ
ふ、美味しそうなりんご飴だ…… (きらきらと光を反射する飴と同じく目を輝かせながら、先日の気の迷いに打ち勝って良かったと内心安堵して)
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月守カナエ
お生憎さま、俺の所持金はこれで最後なのでね。真っ赤なりんごを一つ頂こう (硬貨を渡し飴を受け取ると、にこりと満足そうな笑みを浮かべて──)
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月守カナエ
──俺は林檎が好きなんだ。だから最期にここへ寄れて良かった。ありがとう。
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月守カナエ
(真っ赤なりんご飴に牙を突き立て目一杯頬張りながら、彼は祭囃子の中へ“消えて”いく……)
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月守カナエ
ッ、ンだよ、コレ──!! (拘束具を一瞥して舌打ちすると、手足に雷を纏わせてそれを破壊し) ……よし、これでいいな
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月守カナエ
はぁ、何だ……？ (現れた“鬼”は彼が拘束されていない事に気付くと、禍々しい拷問器具を手に迫り来る)
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月守カナエ
オイオイ、そんな物騒なモノ使う気か。脳筋な見た目の割に随分とエゲツないんだな？ (皮肉を並べ立てながらバチバチと鳴り響くネオンピンクの『纏雷』が彼の身を包んでいく、そして──)
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月守カナエ
仮にこの身が“無力”であれば、まあ死を受け入れる事も致し方ないとは思うものだが。
お生憎さま今の俺は“そうでは無い”のでね──！ -
月守カナエ
(狭い病室に、雷鳴轟く。その部屋からは誰も出て来る事は無かった──)
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月守カナエ
ねこ…… (思わず伸ばした手を見てふと気付く、青色に変色した皮膚はまるで) ……“鬼の腕”、か？
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月守カナエ
(それはいつか見た光景だ、己の無力を悔やみながらも見送った愛くるしい姿、だが)
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月守カナエ
──あぁ、もちろん。俺で良ければ手を貸そう (今の彼には確かな“力”がある、彼は力強く頷くとかつての願いを叶える為にその場所へと向かった──)
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月守カナエ
……気味の悪い所だな。まあ分かってはいたが、こういうのはあまり……好きではない (何処かから響く不協和音に、僅かに顔を顰めて)
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月守カナエ
あっ、オイ！ 危ねぇだ、ろッ!! (兎を追って飛び出すと、両腕に目一杯の力を込めて汽車を押さえ込み──そのまま横転させた)
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月守カナエ
ふう、間一髪だったな……あぁ、俺は君の兄弟に頼まれてここへ来た者だ。もう心配は要らない (膝をつきゆるりと微笑むと、ふわふわの毛を一撫でした)
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