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明星
かわいそう、 (復唱する、白い“何か”は音も立てずこちらに迫ってくる) 誰が可哀想だ、何が可哀想だ？ 俺が今まで殺してきた人間共か？ それとも、
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明星
(──返事は無い。白い“何か”が彼に触れようとした瞬間、眩い光が視界を奪う。彼が目を開けた時、そこにはもう何も無かった) はぁ……一体、何だったんだ……??
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明星
湯……？ 鍋で煮るの間違いではなくてか?? (頭の中でとある料理店の話を思い浮かべながら訝しむが、女性は大きな声で笑い飛ばした)
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明星
(アンタも相当な苦労してきたんだね、と笑う女性を見て、確かに彼女には敵意が無いと確認し。ついでに、アンタちょっと血なまぐさいよと揶揄もされ) ……わ、わかった……
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明星
(──浴室で身体を洗い、湯船に浸かる。これまでの地獄が嘘のような心地良さに彼はゆるりと目を細め) ……俺、何してんだろうな……
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明星
(男の指さす先に浮かぶ月を見て眉をひそめ) この町はいつまでも夕暮れだが、向こうは更に日が沈んでいるのか……ふ、“明星(みょうじょう)”が輝くのには良い頃合かもな (皮肉を述べながら彼はその先へと足を踏み入れ──)
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明星
……寒気がする (単純に日が沈んでいるからか、それとも異様な気配を感じ取ってか、震える身体を擦りながら彼は空を見上げた)
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明星
──“宵の明星”か、
(遠く空に浮かぶ一番星に手を翳し、皮肉げな笑みを浮かべた) -
明星
いッて、何だこい、つ (足元を見やると今まさに小鬼がわらわらと群がってくる所で) おい、待て、俺は食い物なんて持ってない、やめろ噛むな離せ、うっ
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明星
(瞬く間に視界が塞がれていく、これはまずいと思ったのも束の間、抵抗する術もなく彼は食い荒らされた)
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明星
は…… (飛び去っていく赤い風船をただ呆然と見つめている、その小さな影が遠く見えなくなるまで、彼はその場に立ち尽くしていた)
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明星
……気持ち悪い (忌々しそうに吐き捨てると触腕らしきものを踏み潰し、側溝の中に火を放つ。虫を焼くような歪な悲鳴と臭いが辺りに広がるが、彼はそれに見向きもせずその場を立ち去った)
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明星
……ハッ、どうした？ 随分と物々しい雰囲気じゃないか。まるでこれから戦争にでも行くみたいだ (──皮肉を並べ立てるが、それは強がりだった。この人数に襲いかかられては流石に手も足も出ないだろう、そして自警団らは確実に彼を殺すつもりだろう、と)
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明星
(有り合わせの武器を持って距離を詰める自警団らを見て、これから起こるであろう惨状を思い浮かべる。嗚呼、何故なら心当たりは山ほどある、“彼らは俺のような化け物を殺す為に来たのだ”と確信が持てる──)
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明星
──だからこそ、弁解はしない。
さぁ、好きなだけ殺すといい。
俺こそが君たちの恨むべき“怪物”だ──！ -
明星
(それでも心の底にどす黒い感情を湛えながら、せめて俺の身体が二つあれば奴らを殺せたのに、などと思い)
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明星
(──妙な感覚があった。常に黄昏時のこの町に時間感覚など無いはずなのに、意識が戻るのがあまりに早いと。前回の死因が何か関係していたのか、と思案して)
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明星
っ、さすがに、あれは、もう…… (凄惨な死に様を思い出し身震いする。込み上げる吐き気を押し止めながらフラフラと歩き出した)
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明星
なぜこんな所に俺の名前が。……いや、俺の名前、か……？ (頭の中がぼんやりとする、思い返す記憶はまるで靄でもかかったように不鮮明で) 確か、そう、星の名前……
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明星
…………、人に名前を呼ばれなくなって、どれほど経っただろうな (そのうち思い出すだろうと、彼は深く考える事をやめた)
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明星
……ふっ、ははははは!!! ついにこの時が来たな!! さあ、今までの恨み、思う存分晴らさせてもらうぞ!!! (邪悪な高笑いを響かせて、彼は竜を迎え撃つ──)
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明星
あぁ、思えば“ここ”に来てから、力の無かった俺は何度お前に屠られた事か。憎いとも、忌々しいとも、だからこそいつか復讐してやろうと思っていたんだ──
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明星
例えそれが、ヒトでなくなる事だとしても。
(──彼の足元に転がる肉塊は、もはや原型を留めてはいない。血の滴る肉を“喰らい”ながら彼は悠々とその場を立ち去った……) -
明星
そうか、死ね
(自身の身体を巨大化させて『巨躯』からの『鬼腕』を振り下ろし、男は一瞬で挽肉になった) -
明星
……しまった、手が汚れてしまった (元の姿に戻ると手身近な民家の庭先でそれを洗い流し、何事も無かったかのようにその場を立ち去った)
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明星
ね、こ…… (それは本当に“猫”なのか、化けた怪物などではないのか、警戒して様子を探るが確かに普通の猫のようだ)
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明星
……誘ってくれるのは嬉しいけど、俺は猫じゃないからな…… (そこを通る事はできないよ、と伝えると、猫は名残惜しげに一声鳴いてからスタスタと立ち去って行った)
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明星
……その道は、一体どこへ続いているんだろうな。まあ、俺には関係ないけど……
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明星
……まさか毒を盛ったりしないだろうな？ (忌々しげに低く呟くが、情報屋はまさかまさかと否定する) まあいい。万が一何かあったら、その“食事”がアンタの身体になるだけだ……
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明星
学校と病院の情報、か。ハッキリ言って死んでばっかだから大した探索情報なんかないが──そこに棲みつく“怪物”の話なら、少しはしてやれるかもな？ (鬼腕と竜尾をちらつかせ、その分報酬は弾めよ？と笑いかけ)
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