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ウタカタ
あぁ、構わないよ (軽く了承し硬貨を差し出すと、お礼の串焼きをもぐもぐと頬張り) なあ、猪の人、確か前にも会わなかったか──“情報屋”、だったか
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ウタカタ
(思わぬ再会に一時の談笑と食事をを楽しむ。最後に男は「サービスだ」と付け加えて、囁いた) ちょうちん……？ そうか、覚えておくよ。ありがとう
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ウタカタ
肝試しか……正直あんまり気乗りしないけどなぁ (と言いつつ呼び込みに半ば強引に腕を引かれ、硬貨を支払い足を踏み入れる。箱の内部は暗くじっとりとした空気が漂っている)
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ウタカタ
そもそも、僕のこの『半透明』の身体が既に幽霊みたいなものであって…… (ぼやいていると、ふと話し声が聞こえてくる、おそらく他の客だろう) “肝試し”なんだよな……それじゃあ、ここはひとつ。
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ウタカタ
(息を潜め、ゆっくりと客に近付いていく、そして──) ……ぅうわあー!!! (大声で叫ぶ、平常時であれば間抜けな叫び声だと揶揄されたかもしれないが、彼の『異形』の姿も相まって客は悲鳴を上げながら大慌てで逃げていく)
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ウタカタ
……ふふっ (情けなくも尻尾を巻いて逃げ出す客達を見て、彼は満足そうに笑みを零した)
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ウタカタ
お、金魚すくいだ。かわいいなぁ (水槽の中で泳ぐ金魚の姿を見て微笑みながら、硬貨を支払いポイを受け取る。袖をまくって器を構えると、水面を切るようにポイを動かして──)
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ウタカタ
(──びちゃり。捕らえようとした金魚が大きく跳ねた拍子に紙が破けてしまった) ああっ……惜しい……金魚が…… (落胆の声を上げながらも渋々と屋台を後にした)
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ウタカタ
…………、 (真剣な眼差しで金魚を見る、しかし──やはりポイは無残に破け散る) うっ……や、やっぱりダメか……
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ウタカタ
あれ、そういえばお金、これで最後── (言い終わるか否か、周囲の景色がぼやけていく。身体が鉛のように重くなり、抗いようのない眠気の中に意識が落ちていく……)
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ウタカタ
……あれ？ 縁日は?? (摘んだ花を胸ポケットに挿しながら辺りを見渡す、そこには見慣れた町が広がっている) そっか、お金がなくなったら終わりなのか……
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ウタカタ
……金魚…… (よほど欲しかったのか、未だに落胆を引きずっている)
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ウタカタ
(自身の身体と、男の角と、視線を交互に巡らせて) 力……、必要だろうか、この透けた身体じゃまともに戦えもしないけど…… (うーん、と頭を捻り)
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ウタカタ
できれば、自ら死を望んで異形化するような真似はしたくない。……けど、そうやって進んだ挙句、また力不足で死ぬようなら……意地を張るほうが無駄、なのかな……
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ウタカタ
──決めた。その力、貰い受けるよ。
(意を決して、数歩下がり、男の角に向かって全力で飛び込んだ。角は狙い通り彼の身体に深々と突き刺さり──) -
ウタカタ
……?? (目覚めて直ぐ口内に広がる甘みに混乱し、しかしそれがキャラメルの味だと分かると安堵して) あまい……
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ウタカタ
──はっ!! え!!? (大きな音と衝撃に目を覚ませばそこは既に池の中、慌てて脱出しようとするが狭い車内に押し寄せる水流のせいで思うように身動き取れず) あ、ぶっ……まっ……
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ウタカタ
(むしろ不用意にもがいたせいで大きく水を吸い込んでしまい、混乱するままに彼は溺れていった……)
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ウタカタ
っ、なん、だっ、これ……!! (流石にこの状態はまずい、と反射的に判断し、手足に力を込めて目一杯暴れると間もなくして拘束具は砕け散り)
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ウタカタ
ふう……あぁ、よく見たら身体がもう透けてない、おかげで助かった (拘束されていた手首をさすりながら、その代わり身体のあちこちに鱗が生えている事に気付くが最早気にもせず)
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ウタカタ
何だ、あの目薬……いかにも怪しい気配がする (近付いてくる気配を感じて咄嗟に身を隠した彼は、物陰からその様子を伺っている) あまり関わらない方が良さそうだな……
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