第3章
夢小説設定
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昼。
訓練を終え装備を戻してから、私は1人で食堂へ向かった。
混雑する時間帯。ざわめきと、食器の音。いつもと変わらない光景。
配膳を受け取り空いている席を探そうとした、そのとき。
「──ユニ。」
呼び止められて、足を止める。
振り向くと、見覚えのある一般兵士が数人、同じ卓に集まっていた。
訓練場で何度か顔を合わせた兵士だ。
「良かったら、一緒に食わないか?」
言い方は軽い。探るようでも、遠慮がちでもない。ただの誘い。
一瞬、考える。
断る理由は──特にない。
「……はい。」
そう答えると、彼らは少しだけ驚いた顔をしてから笑った。
「よかった。ここ、空いてる。」
席に着き、食事を並べる。
会話は、取り留めもない事ばかりだった。
訓練の話。立体機動の癖。最近の配給の味。
誰も、過去の事には触れない。
それが少しだけありがたかった。
私はスプーンを動かしながら、その輪の中にいた。
無理をしている感じはない。頑張って溶け込もうとしているわけでもない。
ただ、一緒に食事をしている。それだけの時間。
──悪くない。
そう思った自分に、ほんの少しだけ驚きながら。
──────────────
少し離れた位置。
俺は、トレイを持ったまま立ち止まっていた。
視線の先には、ひとつの卓。そこに、ユニがいる。
一般兵士に囲まれて、普通に食事をしている。
笑っているわけじゃない。だが、拒絶もしていない。
──そうか。
いつの間にか、ここまで来たか。
「……へぇ。」
横から、間延びした声が落ちてきた。
「見てるねぇ、リヴァイ。」
ハンジだ。
いつの間にか隣に立ち、同じ方向を眺めている。
「前ならあんな席、絶対に座らなかったでしょ。」
俺は、視線を外さないまま答えた。
「必要な距離が、変わっただけだ。」
「ふぅん。」
ハンジは、面白そうに口角を上げる。
「でもさ。誰がそこまで"場"を作ったんだっけ?」
……うるせぇな。
俺は、トレイを持ち直す。
「訓練で結果を見せた。それだけだ。」
「それだけ、ねぇ。」
ハンジは、わざとらしく肩をすくめた。
「鬼ごっこまで付き合っておいて?しかも引き分け。」
「余計な事を言うな。」
「はいはい。」
それでも、視線は戻らない。
ユニはパンをちぎって、小さく口に運んでいる。相変わらず、一口が小さい。
無駄に取らない。無駄に居座らない。だが──逃げもしない。
「……悪くねぇ。」
ぽつりと、口から漏れた。
ハンジが、聞き逃すはずもない。
「へぇ。それ、"良い"って意味?」
俺は、トレイを持って歩き出す。
「解釈は任せる。」
背後で、くすくすと笑う気配。
……放っておけ。
あの卓に、俺が座る必要はない。
今はユニが自分の足で、そこに座っている。
それで──十分だ。