第2章
夢小説設定
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リヴァイ兵士長の執務室。
扉を閉めた瞬間、外のざわめきが嘘のように遠ざかった。
──静かだ。
机と、椅子と、いつもと変わらない配置。
ただひとつ──テーブルの上に、畳まれて置かれたものだけが違う。
調査兵団の制服。
一瞬、それが何か理解できなかった。
視線が、そこに縫い止められる。身体が、動かない。
リヴァイ兵士長は、それ以上説明しなかった。
「お前のだ。」
短く。それだけ。
……あぁ。
胸の奥で、何かが崩れる音がした。
私はゆっくりと近づいて、震える指で、その布に触れる。
現実だ。夢じゃない。
畳まれた制服を持ち上げ、そっと広げる。
胸元の紋章。マントを留める金具。使い込まれる前の、まだ硬い生地。
──調査兵団だ。
私はそれを胸の前に引き寄せて、ぎゅっと抱きしめた。
息が詰まる。喉の奥が熱い。視界が滲む。
……駄目だ。
泣くつもりなんて、なかったのに。
でも、抑えきれなかった。
声は出ない。ただ、肩が小さく震える。
リヴァイ兵士長は、何も言わない。
近づいてもこない。背を向ける事もしない。
ただ、そこにいる。
それが──今は、ありがたかった。
どれくらいそうしていたのか。時間の感覚が曖昧になる。
やがて少しだけ呼吸が整ってきて──
私は制服を抱えたまま、恐る恐る、口を開いた。
「……ありがとうございます、リヴァイ兵士長……。」
声は、思ったよりちゃんと出た。
一拍。
それでも、まだ言い足りない。
言いづらくて視線を落としたまま、続ける。
「でも……あの……、」
言葉を探す。
今この空気で、言っていいのか分からない。それでも。
「……これ、」
制服の端を、きゅっと握る。
「少し……大きいです……。」
沈黙。ほんの一瞬。次の瞬間──
「……当たり前だ」と、低い声。
呆れたようで、でもどこか柔らかい。
「すぐ詰める。それまで、我慢しろ。」
私は思わず、目を瞬いた。
……怒られない。
それどころか──
胸の奥に、じんわりと別の熱が広がる。
「……はい。」
小さくそう答えると、リヴァイ兵士長はいつもの調子で言った。
「泣くほどのもんじゃねぇ。お前がここにいるのは──」
一拍。
「当然だ。」
その言葉で──私はもう一度、制服をぎゅっと抱きしめた。
今度は、ちゃんと前を向いて。
調査兵団の制服は、まだ少し大きい。
でも──これから、だ。
この場所で、この服を着て、私は、ここに立つ。