第2章
夢小説設定
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本部の掲示板の前に、人だかりができていた。
朝の点呼前。装備を整えた兵達が、足を止めている。
何が貼り出されたのか──近づく前から、分かってしまった。
人事異動。
紙の中央に、見慣れた名前。
──────────
ユニ・クライン
調査兵団所属
──────────
一瞬、音が遠のく。
もう、正式に。誰の目にも、はっきりと。
「……あ。」
誰かが、小さく声を漏らした。
「……調査兵団、だったのか。」
ざわめきは、大きくならない。むしろ、妙に静かだ。視線が、少しずつこちらに向く。
責めるものではない。でも戸惑いと──気まずさが混じっている。
1人の兵が、意を決したように口を開いた。
「……あの、」
私を見る。
「前に……ひどい事、言った。」
言葉を探すように、一度、息を吸って。
「……すまなかった。」
それを皮切りに、ぽつり、ぽつりと声が続く。
「悪かった。」
「知らなかった。」
「……すまない。」
私はどう返せばいいのか分からず、ただ、立っていた。
そのとき、靴音が近づく。
一定の速さ。迷いのない足取り。振り向く前から、空気が変わった。
「──何してる。」
低い声。
人だかりの向こうに、リヴァイ兵士長が立っていた。
兵士達が、反射的に背筋を伸ばす。
リヴァイ兵士長は掲示板を一瞥してから、こちらを見る。
それから──兵士達の方へ、視線を戻した。
「謝る必要はねぇ。」
短く。だが否定でも、庇いでもない。
「お前らが言った事もした事も、間違ってなかった。」
ざわり、と空気が揺れる。
「状況を見て、判断して、そう動いた。兵士としては当然だ。」
一拍。その上で──
「……だが、」
声が、少しだけ低くなる。
「それでユニが追い詰められたのも、事実だ。」
誰も、口を開けない。
「それを"すまなかった"の一言で、済ませようとするな。」
視線が、鋭く走る。
「謝罪は、終わりにするための言葉じゃねぇ。次どうするかを、考えるためのもんだ。」
沈黙。逃げ道はない。
でも──叩き潰すような言い方でもない。
「分かったら、自分の持ち場に戻れ。」
それだけ言って、私の方を見た。
「……来い。」
命令。
私は小さく頷き、掲示板の前を離れる。背中にまだ、視線を感じながら。リヴァイ兵士長の後ろを、黙って歩く。
執務室の方向。
扉の前で、彼が立ち止まる。
「……気にするな。」
前を向いたまま。
「お前がやった事は、もう結果で証明されてる。」
それ以上は、何も言わなかった。
扉が開く。
中に入ると、外のざわめきがすっと、切り離された。
私は、胸の奥で小さく息を吐く。
──ここまで来た。
もう、戻る場所じゃない。
ここが、今の居場所なんだと。
そう、静かに実感していた。