第2章
夢小説設定
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調査兵団本部が見えた瞬間、胸の奥が僅かに静まった。
二度目だ。見学として訪れた、あの日以来。
その時は、ただの外部の人間だった。憲兵の制服を着て、足を踏み入れていい場所とそうでない場所の境目を、無意識に測り続けていた。
──憲兵のままで、踏み込む場所じゃない。
低く、短い声が脳裏を掠める。
あの時、真正面から向けられた言葉。
私は、歩きながら視線を落とす。今はもう、同じ意味では響かない。
隣を行くリヴァイ兵士長の背中は、相変わらず無駄がない。削ぎ落とされた輪郭。距離を誤れば、許されない人。
それでも──私は、ここにいる。
見学の時、私は考えていた。
この場所に"向いている"のか。この人たちに"必要とされる"のか。
エルヴィン団長はあの時、答えをくれなかった。
──人を選ぶ時、必ずしも理由はひとつじゃない。
──私は君に向いているとも、必要だとも、まだ判断していない。
ただ、ひとつだけ、はっきり言われた。
──疑問を抱えたまま留まり続けるのは、簡単な事じゃない。
今なら分かる。
疑問はもうない。不安はある。怖さも、消えてはいない。
それでも私はこの背中から、離れないと決めた。
見誤られないために。そして自分自身から、目を逸らさないために。
「覚悟は、いいな。」
問いではない。確認だ。
私は一拍だけ置いてから、答える。
「……はい。」
本部の空気が、静かに肺に入る。
二回目の調査兵団本部。
けれどこれは、見学じゃない。
私は、ここに"戻ってきた"。
そう思った瞬間、足取りがほんの少しだけ確かになった。