第1章
夢小説設定
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兵舎の廊下は、いつもより少し騒がしかった。
本部へ戻る準備。装備の点検。補給の確認。壁外調査が終わったあとの、独特の慌ただしさ。
その中でふと、視線が集まる場所がある。
リヴァイの少し後ろ。憲兵の制服を着た、小柄な兵士。
──[#da=1]・クライン。
壁外調査に同行した事。それも、リヴァイと行動を共にしていた事。
それだけで、十分すぎるほど目立つ。
「……あー……。」
少し離れた位置からその様子を見ていた私は、無意識に声を漏らした。
好奇の視線。訝しむ目。探るような沈黙。
誰も声には出さない。けれど"違和感"だけが、確かに漂っている。
「これは……ちょっと、面倒な空気かなぁ。」
呟きは、独り言に近い。
リヴァイは気にしていない。少なくとも、そう見える。
ユニも同じだ。視線を浴びている事自体には、反応しない。
ただ、そこにいる。それが、余計に目を引く。
──なんだ、あれは。
──兵長の部下か?
──いや、違うだろ。
──憲兵が、なぜ。
──なぜ、リヴァイ兵長のそばに。
言葉にならない疑問が、あちこちで膨らんでいるのが分かる。
そのとき──リヴァイが、ふっと足を止めた。
ほんの一瞬。
理由を示すような仕草もない。
けれどユニは、反射的に気づく。
一歩、位置を詰める。斜め後ろから、隣へ。
周囲の視線が、僅かにざわめく。
リヴァイは何も言わない。ただ、前を向いたまま、歩き出す。
──それでいい。
そう告げるような、無言の確認だけを残して。
廊下の奥に、エルヴィン・スミスの姿が見えた。
書類を抱えたまま、足を止めずに進む。周囲に目を配ることもなく、ただ前へ。
その背中を見た瞬間、私はほんの少しだけ目を細めた。
「……ふぅん。」
何が、とは言わない。確信でもない。ただ──エルヴィンが、静かに動いている。それだけは、はっきり分かる。
私はもう一度、ユニを見る。
小さな背中。けれどもう─"置かれている"だけの立ち位置じゃない。
「……ま、嵐はこれから、ってとこかな。」
軽く肩をすくめて、歩き出す。
調査兵団は、本部へ戻る。
そしてきっと、この小さな違和感は──静かに、形を変えながら、広がっていく。