第3章
夢小説設定
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門は、まだ閉じている。
朝の空気は澄んでいて、冷たさの中に、春の匂いが混じっていた。夜明けの光が、石畳を淡く照らす。
街は、いつも通りだ。家々の窓からは朝の支度の音。遠くの方で、商人が声を張り上げている。
あまりにも、平和だった。
調査兵団の隊列は整い、立体機動装置の金属が、かすかに鳴る。
誰もが前を向いている。不安も、覚悟も、口には出さない。
──その中でふと、視線が合った。
意図したわけじゃない。合図でもない。ただ、そこにいたから。
ユニは、いつもの位置にいる。姿勢はまっすぐで、表情は落ち着いている。
違和感は、ない。それが、かえって胸に引っかかった。
ここから先、何が起きるか分からないのに。
明日かもしれない。明後日かもしれない。
それでも世界は、今日という朝を、何事もなかったかのように迎えている。
不気味なほどに。
門の向こうは、まだ見えない。だが、確実に続いている。
静かに、歯車は回っている。
ユニは一瞬だけ、目を細めた。ほんの僅かに、息を整える仕草。
それを見て、俺は何も言わなかった。
言うべき言葉は、ない。今ここで交わすべき言葉も、ない。
──それでも、視線だけは、外さなかった。
門が、軋む音を立てる。ゆっくりと、開いていく。朝の光が、外へと伸びる。
この平和が、いつまで続くのかは分からない。
だが少なくとも今は──何も壊れていない。
それだけを確認するように、俺は前を向いた。
門の外へ。