第3章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
机の上に、紙を並べ直す。
昨日までに書き出した内容を、もう一度、ゆっくり読み返す。
出来事。その時の感情。引っかかった言葉。身体の反応。
分類は、もう終わっている。
「不安」
「安心」
「戸惑い」
「嬉しさ」
「説明できない違和感」
そうやって分けていくと、あるひとつの項目だけがどうしても分厚くなった。
──リヴァイ兵士長。
名前を書いたつもりはないのに、ほとんどの紙に結果的にその人が関わっている。
視線。距離。声の低さ。触れた時の温度。行動のタイミング。
ひとつひとつは、上司として説明できなくもない。
兵士として。部下として。体調管理。安全確保。効率。
でも──
紙を指先で揃えながら、ふと、思う。
(……多いな。)
これは、"上司としては過剰かもしれない"と、そう感じた回数が明らかに増えている。
それを不快だと思った記述は、ひとつもない。
むしろ——安心した、落ち着いた、助かった。
そう書いてある。
ペンを持つ指が、止まる。
(前の私なら。)
そう思いかけて、途中でやめた。
比べる必要はない。もう、分かっている。
私は今、"前と同じ基準"では見ていない。
それだけだ。
ノートの余白に、小さく書き足す。
「上司としての行動かどうか」ではなく「それを私がどう受け取っているか」
書いた瞬間、胸の奥が少しだけ静かになった。
答えは、まだ出ていない。
けれど何に引っかかっているのかは、はっきりしてきた。
私は紙を丁寧にまとめて、ノートを閉じる。
──溜まってきた。
違和感も、安心も、考える材料も。
でもそれは、悪い事じゃない。
むしろちゃんと"自分の感情"として、残せている証拠だ。
ノートを引き出しにしまい、小さく息を吐く。
今日は、ここまで。
次に書く時は、もう少し踏み込めそうな気がした。
静かに、でも確実に、一歩ずつ進んでいる。
そんな実感だけが、手元に残っていた。