第3章
夢小説設定
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外は、容赦なく冷えていた。冬だ。本格的に。
吐く息が白くなるほどではないが、立体機動の点検や外回りをしているだけで体温は確実に奪われる。だから今日は、ユニを中に置いた。
書類仕事だ。寒がりなのも分かっている。
……合理的な判断だ。
それ以上の意味はない。
執務室に戻ると、ユニが書類をまとめて待っていた。
「これが、今日の分です。」
差し出された紙束を受け取る。
その瞬間──指先が、触れた。
一瞬だ。ほんの一瞬。
だが、その反応ははっきりしていた。
ユニが息を飲む。
俺の方も反射的に視線が落ちる。
……冷えている。
自覚はあったが、改めて突きつけられると少し腹が立つ。
次の瞬間──ぎゅ、とユニが、俺の手を握った。
「つ、冷た……!」
驚いたような声。
思考が、遅れる。
何を──している。
反射で、言葉が出た。
「……そう思うのなら、離せ。」
低く、抑えた声。命令じゃない。忠告に近い。
だが、ユニは離さない。
むしろ少しだけ、力を込める。
「でも……、」
顔を上げて、こちらを見る。
「リヴァイ兵士長は、いつも温かいから……心配で……。」
……。
一瞬、何も言えなくなる。
中は寒くなかったという情報は、握っている手から嫌というほど伝わってくる。
温かい。俺の手より、ずっと。
「……中は、寒くはなかったみてぇだな。」
ようやく出たのは、そんな言葉だった。
「? はい。」
素直な返事。
悪びれた様子も、狙った様子もない。ただ、当然の事をした、という顔。
……厄介だ。
俺は視線を逸らしたまま、小さく息を吐く。
指先に、少しずつ感覚が戻ってくる。十分だ。
「……もういい。」
そう言うと、ユニはようやく、ぱっと手を離した。
名残惜しそうでもなく、あっさりと。
「……いつもと逆ですね。」
ふと、そんなことを言う。
「何がだ。」
「お役に立てて、良かったです。」
そう言って、笑う。
──無防備に。
俺は、書類に視線を落とした。
これ以上顔を見ていたら、何を言うか分からない。
理性は、まだ持っている。だが──
さっきの温もりが指先に残ったまま、消えない。
……くそ。
冬は、厄介な季節だ。