第3章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
秋。
朝夕の空気が、はっきりと変わり始めた頃。日中はまだ動けば汗ばむが、止まれば一気に冷える。
訓練中の待機時間。整列。
俺は列の前方に立ち、全体を眺めていた。
……違和感。
視線を動かすまでもない。端の方。
ユニだ。
動いていた直後だというのに、肩がわずかに揺れている。歯を食いしばるような仕草。寒さを誤魔化している。
──汗が冷えたな。
判断は早い。
「ユニ。」
短く呼ぶと、視線が上がる。
「上着を持ってこい。」
理由は言わない。必要な事だから言った、それだけだ。
「はい。」
即答。駆け足で戻り、マントを持ってくる。着たのを、確認する。
……よし。
それだけで済ませるつもりだった。それ以上は、余計だ。
だが……風向きが変わった。
冷たい空気が、列を横切る。マント越しでも、体温を奪うやつだ。
無意識に、一歩動いていた。
ユニの、少し前。半歩横。
声は出さない。指示もしない。ただ、立つ。風を受ける位置に、自分の体を置く。
──それだけだ。
視線は前。あくまで、全体を見ている体裁。
近い距離にいる事を、意識しないようにする。……する、つもりだった。
数秒。
ユニの震えが、止まる。
それだけで、胸の奥が僅かに緩む。
……チッ。
まただ。
必要以上の事はしていない。命令でもない。触れてもいない。理性の範囲内だ。
そう、分かっている。それでも──この距離を選んだのは、俺だ。
整列は続く。誰も、何も言わない。
ただ、2人分の影が、少しだけ重なっていた。
俺は前を見たまま、動かない。
……この程度で済ませられるうちは、まだ、引き返せる。
そう言い聞かせながら。