第3章
夢小説設定
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訓練場を離れて、装備を片付けるために廊下を歩いていると──
「ユニ。」
柔らかい声。
振り向くと、そこに立っていたのはナナバだった。
相変わらず、背筋がまっすぐで、立っているだけなのに目を引く。
「……ナナバ。」
ナナバの前では、自然と敬語が抜ける。
ナナバは私の顔を一度見て、フッと穏やかに笑った。
「君、あれよあれよという間に大抜擢だね。」
驚きも、からかいもない。ただ事実を述べるような口調。
「……ただ真面目に、取り組んでただけで……。」
そう答えると、ナナバは少し首を傾けた。
「それが評価されたんだろ。リヴァイに。」
その名前を出されて、胸の奥が少しだけ動く。
「……うん。多分。」
ナナバは私の反応を見てから、視線を外す。どこか遠くを見るように。
「リヴァイと肩を並べられる兵士は、そう多くない。」
静かな声。誇張も、持ち上げる響きもない。
「君だって、分かってるだろ。」
問いかけだけど、詰める感じはしない。
私は少し考えてから、正直に答えた。
「……何となくは。」
ナナバは、それを否定しなかった。
ただ、微笑んだまま言う。
「だったら大丈夫。」
一拍。
「君はもう少し、自分を信じていい。」
その言葉は励ましというより──許可みたいだった。
「前に出ろ」とも言わない。「気負え」とも言わない。
「ただ、今のままでいい。」
それだけ。
不思議と、肩の力が抜ける。
「……ありがとう。」
そう言うと、ナナバは小さく頷いた。
「無理だけはしないでね。」
優しくて、でもはっきりした声。それから、いつもの落ち着いた表情で続ける。
「これから、忙しくなる。」
断定。
「だからこそ、自分の足元はちゃんと見て。」
私は、素直に頷いた。
「うん。」
ナナバは一瞬だけ微笑みを深くしてから、歩き出す。
「じゃあ、行きな。」
送り出すような口調。
「……行ってくる。」
そう返して、私はその背中を見送った。
ナナバの言葉は、重くない。けれど、静かに残る。胸の奥に、そっと置かれたみたいに。
私は一度深く息を吸って、次の場所へ向かった。