第3章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
団長室。
夕方の光が、窓から斜めに差し込んでいる。
書類の山は、ようやく"山"と呼べる程度に落ち着いた。
そのタイミングで、ノック。
「入れ。」
扉が開き、リヴァイが入ってくる。
いつも通りの足取り。いつも通りの表情。
だが──俺には、分かる。
「班員の選別は、進んでいるか?」
書類から視線を上げずに、問いかける。
「……粗方はな。」
即答ではない。ほんの僅かな間。それだけで、十分だった。
「珍しいな。」
俺はペンを置き、彼を見る。
「お前が、そんなに悩むなんて。」
リヴァイは、眉をひそめる。
「分かってて聞くのは、性格が悪いな。」
低く、棘のある声。
だがいつもの切れ味よりは、鈍い。
「褒め言葉だな。」
俺は、肩をすくめる。
「選別権は、お前に与えた。だが同時に──"迷う自由"を与えた、という意味でもある。」
リヴァイは、視線を逸らした。
「……要るかどうかは、分かってる。」
ぽつりと。
「腕も、判断も、十分だ。班に入れれば、間違いなく戦力になる。」
それでもその先が、続かない。
俺は、あえて言葉を足す。
「"入れるべきか"と、"入れたいか"は、別だ。」
一瞬。空気が、張り詰める。
リヴァイが、ゆっくりとこちらを見る。
「……相変わらず、嫌なところを突く。」
「お互い様だろう。」
俺は、微かに笑う。
「お前は、現場の人間だ。だからこそ、判断が遅れる時がある。──感情を切り離せない時、だ。」
リヴァイは、何も言わない。否定もしない。それが、答えだった。
「安心しろ。」
俺は椅子の背にもたれ、続ける。
「どんな選択をしても、俺はそれを"正解"にする。」
「班は、お前のために作る。誰のためでもない。」
一拍。
「……だから──」
視線を、真っ直ぐに向ける。
「選べ。兵士長としてでも、1人の人間としてでもいい。」
リヴァイは、しばらく黙っていた。
やがて──
「……分かってる。」
低く、確かな声。
「……少し、時間をくれ。」
それだけ言って、踵を返す。
扉が閉まる。
静けさが戻った団長室で、俺は、窓の外に視線をやった。
中庭の方角。
──やはり、そうか。
「悩むようになった、か。」
それは弱さじゃない。
むしろ──誰かを"背負う覚悟"が、はっきり形を持ち始めた証だ。
俺は、小さく息を吐く。
「……悪くない。」
リヴァイが、どんな選択をするにせよ。
その先で、彼自身が"納得して戦える"なら──それが、最良だ。
ペンを取り直し、俺は次の書類に視線を落とした。
戦いは、まだ続く。
だが──人は、確実に変わっていく。
それもまた、調査兵団という場所の避けられない現実なのだから。