第3章
夢小説設定
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自室。
机に広げた資料を読み進めていると、不意に鼻の奥がむず痒くなった。
「……くしゅん。」
小さく、短いくしゃみ。
すぐに袖で口元を押さえ、何事もなかったように紙に視線を戻す。
……春だ。
埃っぽい資料に当たっただけ。
そう思った、その数秒後。
──コン、コン。
控えめなノック。
「……ユニ。」
低い声。胸が、少しだけ跳ねる。
「はい。」
返事をすると扉が開いて、リヴァイ兵士長が立っていた。
「ぶり返してねぇだろうな。」
開口一番、それ。
視線は私の顔色、喉元、姿勢。一瞬で、全部を見る。
「大丈夫ですよ。さっきのは……、」
言いながら、机の上の資料を指差す。
「これ、少し埃っぽかったみたいで。」
くしゃみの理由を説明すると、リヴァイ兵士長はふぅ、と短く息を吐いた。
「……そうか。」
それから、部屋の窓に視線を向ける。
「窓、閉めろ。」
即断。
「換気は、もう十分だ。次に開けるなら、最低でも1時間後。」
言い切り。
私は素直に立ち上がり、窓を閉める。
「春は油断すると、すぐ体調を崩す。特に、お前はな。」
戻ってきた私に、当然のように続く注意。
「はい……。」
返事をしながら、ふと思う。
……今日は、少し多い。気遣いも。言葉も。
「リヴァイ兵士長。」
呼ぶと、視線がこちらを向く。
「なんだ。」
いつもの低い声。けれど──ほんの僅か、柔らかい。
私は少しだけ迷ってから、口にした。
「……いつもより、お喋りですね。」
言った瞬間、しまった、と思う。でも、もう遅い。
リヴァイ兵士長は一瞬間を置いてから──
「……気のせいだ。」
そっけなく言って、視線を逸らした。
否定。だが、速すぎる。私は小さく笑いそうになるのを堪える。
「そうですか。」
そう答えると、彼はもう何も言わなかった。
けれど扉に手をかける前、一度だけこちらを見て「……無理はするな」と、低く。命令でも、叱責でもない。ただの確認みたいな声。
「はい。」
そう答えると、今度こそ扉が閉まった。
部屋に戻った静けさの中で、私は胸の奥が少しだけ温かくなるのを感じていた。
……やっぱり──いつもより、お喋りだと思う。