短編
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野営の夜は、いつも浅い。
風の向き、布の擦れる音、遠くの気配。眠っていても、身体は起きている。
──気配が一つ、近づいた。
反射的に目を開ける。重さ。人の体温。
俺の胸元に、誰かの頭。
「……おい。」
小さく声を出すと、女は喉を鳴らしただけで身じろぎもしない。
「んん…、間違えた…。」
そう言って、だが離れない。
理解が追いつく前に、呼吸が整っていくのが分かる。
──[#da=1]・クライン。
分隊長クラスだ。距離感の壊れ方も、妙に納得がいく。
起こせばいい。どかせばいい。
だが、今この夜にそれをする理由が見当たらない。
仕方なく、視線だけを天幕の外へ戻す。
体温は、悪くない。
二度目は、はっきり意図的だった。
「いい枕だったから。」
悪びれもせずそう言って、同じ場所に収まる。
俺は何も返さない。返す言葉もない。
三度目からは、言葉すらなくなった。
近づく気配。重さ。温度。
それだけ。
何も起きない。
だが、夜は少しだけ、冷えなくなった。
それで十分だ。
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