~844年
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「……うん、もう動いても問題ないでしょう。立体機動装置も、着けて大丈夫なはずです。」
「そうか…。ではユニ。君を正式に、分隊長へと任命する。明日にでも文書にして、各所に公表する。それと…立体機動装置の使用も許可しよう。」
エルヴィン分隊長と向かった医務室で、医師から完治と診断されたそのままの流れで分隊長への任命、立体機動装置の使用の許可が下された。治りが少々遅かった上に大事をとって長めに安静期間を取っていたため、怪我をしてから3週間かかった。その間、立体機動装置には一度も触れていない。もちろん、メンテナンスすらしていない。しかし使わないと劣化してしまうと、リヴァイが定期的に私の立体機動装置を使用し、綺麗にメンテナンスをしてくれていた。壁外調査がない期間の調査兵団は、上官以外は訓練以外ほぼする事がないため「暇だからな」と快く引き受けてくれたリヴァイには感謝しかない。
ようやく…ようやく、立体機動装置が触れる!
「エルヴィン分隊長、立体機動訓練に行ってきてもいいですか?」
「あぁ、行ってきなさい。だがくれぐれも、無茶はするなよ。徐々に慣らしていくんだ。30分で戻りなさい。」
「分かりました!行ってきます!」
この3週間立体機動どころか運動すらしていなかったため、まずは入念なストレッチをしてからでないと筋肉痛になってしまうだろう。ベルトを着けるのも、ずいぶんと久しぶりだ。
「!…ユニ。もういいのか?」
体を解し終えて立体機動装置を装着しているところにタイミング良く通りがかったのは、リヴァイ。本当にタイミングが良い。どうせここにいるだろうから装備を着けてから探そうと思っていたのだが、探す手間が省けた。
「リヴァイ!うん、さっきエルヴィン分隊長に許可をもらったの。ねぇ、私のリハビリに付き合ってよ。」
誰かと立体機動訓練をするのなら、リヴァイが良い。彼は私と同等かそれ以上に上手いので、余計な気を遣わずに自身が自由に動けるから。
「あぁ、構わねぇ。」
そう言ったリヴァイも、心做しか嬉しそうに見えた。
「うーん…グリップを握る感じが、やっぱり違うなぁ…。」
「当たり前だろうが。およそ1ヶ月もの間飛んでねぇんだ。それが今、前みてぇに飛び回れちまったら、隠れてコソコソ訓練していたと疑われるだろうよ。」
「そっか…、それもそうね。」
「エルヴィンには30分だけと言われているんだったな。…楽しまねぇと損だと思わねぇか?」
「!ふふ、そうだね。」
やっぱり、立体機動の訓練が一番楽しい。それに、リヴァイとの訓練も。
30分という短い時間ギリギリまで立体機動訓練をやりきり地面へと戻ってきた頃には、体には疲労感を感じていた。だが、まだ飛んでいたかったと思った。それだけ、私は今の時間を楽しんだのだ。
「じゃあ、私はもう戻るから。付き合ってくれてありがと、リヴァイ。」
「あぁ。…ユニ。」
「ん、何?」
「…肩の傷…、悪かった。」
私を呼び止めたリヴァイは、言いづらそうに謝罪の言葉を口にした。全然気にしていなかったが、この傷はリヴァイが付けたもの。責任を感じるのは無理もない。だが、リヴァイにはそうするだけの理由があった事も知っている。
「いいよ。その代わり、巨人捕縛作戦では頼りにしてるから。」
「は…?巨人捕縛…、オイ、何だそれは。」
「まだ決定段階じゃないから詳しくは言えないの。でも近々会議を開くから、あとでね。」
エルヴィン分隊長のとこに戻るから、と逃げるようにその場を立ち去った。背後から舌打ちが聞こえた気がしないでもないが、特段気にしなくとも大丈夫だろう。きっと私が一から丁寧に説明してやれば、最終的には納得してくれるだろうから。
「ハンジ分隊長。怪我の完治と、正式に分隊長に任命された事も合わせてご報告致します。」
エルヴィン分隊長の部屋へと向かう道すがらハンジ分隊長を見つけ、部屋に行くと話が長くなるだろうからとその場で諸々の報告をした。そうしたらハンジ分隊長は私の怪我の完治と昇進を少々大袈裟に喜んでくれ、話しづらいと感じている事に罪悪感を感じた。うーん、いい人ではあるんだけど。
「つきましては、巨人捕縛作戦の会議を開きたく…日程の候補日をいくつかご提示頂けますか?私は今エルヴィン分隊長の元へ行かなければならないので、後ほどお返事させて頂きます。」
「いつでも!なんなら私は今からでも構わないよ!」
「え、えぇと…では、明日はいかがでしょう?立体機動訓練の前後でしたら、時間が取れます。」
「OK!じゃあ明日の朝に。よろしくね!」
…本当、元気な人だな…。その代わりと言ってはなんだが、隣にいるモブリットは疲れ切っているように見えるが。
「あぁそうだ。ユニ、私達はもう、同じ分隊長だ。名前で呼んでくれて構わないよ。ハンジで良い。」
「え…、それは、ちょっと…。」
確かに組織内で同じ肩書きを持っている相手を役職で呼び合うのはおかしいのかもしれない。だが、私はついさっき任命されたばかりで…それをいきなり呼び捨てなんて、できるはずもない。
「…ハンジさん、で良いですか?」
「んー、まぁ、許容範囲か。」
「では、ハンジさん。」
「うん、何かな?」
「明日、よろしくお願いしますね。」
許されて、良かった。私にはまだ、ハンジさんとの関わり方が分からない。考えてみれば、私は団員達との関わりを大事にしているはずなのにエルヴィン分隊長以外の上官とはあまり関わってはこなかった。自身も上官の立場になったのだから、今後はもう少し、他の分隊長や団長とも関わっていこうと、心の中で密かに誓った。