845年~851年
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「悪魔の末裔が!!根絶やしにしてやる!!」
ザッ──!!
エルヴィン団長が、ベルトルトの目の前に。気持ちいいくらいにタイミングがかち合い、団長が鎧の巨人の前に到達した瞬間にベルトルトが飛び出してきた。運はようやく、こちらへ来始めているのかもしれない。
「エルヴィン団長っ!…ウ、ッ…!!」
真っ直ぐ地面へ向かうクッションになろうと鎧の巨人にアンカーを刺し待ち構えたのだが、その大きな体は想像していたよりも重く衝撃が全身を襲った。それでもトリガーを緩める事はせずに耐え続けているとようやく止まり、緩やかに下へ降りる。今の衝撃で肋にヒビぐらいは入ったかもしれない。が、それで済んで良かった。名誉の負傷だ。
依然伸びてくる巨人の腕。それを掻い潜りながら指笛で馬を呼ぶと2頭ともすぐに来てくれ、先に団長に乗ってもらい、続けて自身も飛び乗った。
エレンはミカサが無事回収したのを、鎧の巨人から降りながらも目視で確認している。
「総員撤退!!」
目的は果たした。だが、ここから壁の中まで、帰らなくてはならない。未だ危機は継続中。今はまだ、山場を越えただけだ。
こうなった敵は次にどう動くだろうかと後ろを振り返ると、案の定、次の危機が迫っていた。
「団長!鎧の巨人が…巨人を投げてッ…!」
ドォッ!!
宙を舞う、巨人。その巨体が地面へと衝突すると、ものすごい衝撃と土埃を舞いあげ、直撃した者は吹き飛ばされた。もう一度後ろを見ると既に次の巨人が放られた直後で、どうやら鎧の巨人はまず、エレンを狙っているようだった。
「エレン…!ミカサ…!」
飛んでくる巨人を避けきれず、衝撃により2人とも落馬した。そしてその2人の元に1体の巨人が向かっていて、すぐさま向かわなければ…!と馬を切り返したところで目の前に巨人が降ってきて、行く手を阻まれる。なるほどこれは……かなり厄介だ。
「…ッ…ぅ…。」
大きく呼吸すると、痛む。ヒビが入ったかもしれないと思ったが、肋は脆い。もしかしたらもしかすると、ヒビだけでは済まないかもしれない。
でも大丈夫。肋が折れたくらいじゃ、死なないから。
「…!」
ヒュ、と少し前を走るエルヴィン団長の頭上を、巨人の腕が通る。それは、ユミルの腕であった。
一体どういうつもりか知らないが、団長の脇にいた巨人を倒してくれた…らしい。だが、期待はしない方が良い。ついさっきまで私達の邪魔をしてきた奴なのだから。痛む胸を抑えた時、私達を呼ぶ声が耳に入ってきた。
「団長っ!ユニさん!」
その声を聞いた時にはもう、宙に舞っていた。団長も、私も。巨人が落下した直後に、私達も地面へと叩きつけられた。
「…っ、団長…!」
そう彼を呼んだつもりだったが、声が出ない。それどころか、息ができない。背中から着地したせいだった。息をしようと無理やり体を動かそうと力を込めると、咳と共に口から血を吐いた。
巨人がいる。動かなければ。倒さなければ。
意識ははっきりしているのに浅い呼吸しかできなくて、体も動かせそうにない。
このままでは、死ぬ。エレンを取り返して、壁の中に帰らなきゃならないのに。壁の中では、リヴァイが待っているのに。
リヴァイ。もしも私が死んだ時彼は、ひどく悲しみ、落ち込み、後悔するだろう。そしてきっとまた、心が蝕まれてしまうだろう。ああ見えて人一倍優しい彼だから、もしかしたら1人静かに、涙を流すかもしれない。…そんなの、嫌だ。
リヴァイの事を思い出したら少し落ち着いてきて、呼吸が安定する。これなら、声が出せるかもしれない。
「…団長…、…エルヴィン団長。」
「ユニ…。」
「怪我は…そんなに酷くありません。ただ…いつもみたいに立体機動装置で巨人を倒すのは…少し、難しいかもしれません。」
グググ、と力を振り絞って体を起こし、エルヴィン団長の側へと体を引き摺った。団長も私も、満身創痍。すぐ側には、巨人。
「団長!ユニさん!」
「…私の代わりはいる…!それより…エレンを連れて離脱しろ!」
「ッ団長…!」
駆け寄ってきた団員も、食われた。目の前には、惨劇。あっちもこっちも、地獄絵図。
「…エルヴィン団長。エルヴィン団長の代わりなんて、いません。エルヴィン団長のように頭の回る人は、います。でもあなたは…それだけじゃない。私達調査兵団の希望で…、私の…、私の、生きる理由なんです…。」
言いながら、涙が流れる。
外では泣かないと、決めているのに。
「だから、団長の代わりなんて、いない…。いないんです…。」
なぜ、今このタイミングで思い出すのだろうか。
もしかしたら私は、死んでしまうのだろうか。
だとしたら今のこれは…いわゆる走馬灯、という事か。
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「第××期訓練兵。今ここに残っている者を、新たな調査兵団員として迎え入れる。心臓を捧げよ!」
8xx年。私を含む第××期訓練兵は無事全過程を修了し、解散式を迎えた。そしてそのまま私は、調査兵団への入団を果たした。
当時の調査兵団は壁外調査での死傷者の数が今の倍以上あり、世間からは穀潰し集団と言われていた。…今よりも、だ。しかし私は、そんな言われようをしてもなお壁外調査へと赴く、自由を求める調査兵団に憧れていた。何かを夢みるその姿が、私は羨ましかった。
しかし調査兵団へ入団したからといって、自分も同じようになれるわけでもない。どんどんと減っていく同期。目の前で巨人に食われていく先輩達。そして、市民から向けられる、罵声。いつからか、壁外調査へ赴くたび、生きて帰ってくるのが辛くなった。それでも本能は生を欲し、私は毎回、生き残り続けた。別に死にたいわけではないが、生きているのも、辛かった。
「お前が噂の、××期のエースか!もう何回壁外に行ったんだ?毎回生き残って、偉いもんだな!」
「噂…ですか?別に…ただ、たまたま生き残っているだけです。」
先輩兵士からそう褒められたのは、調査兵団へ入団してから5回目の壁外調査のあとだった。また私はただ無駄に生き残っただけだと、生き延びたというのに暗い気持ちで兵団内で過ごしていた時だった。心臓を捧げると決めたはずの兵士だというのに、生きているのか死んでいるのかも分からない、本当に文字通りただの穀潰しになっていた頃、当時まだ分隊長になりたての、エルヴィン・スミスに出会った。