845年~851年
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「エルヴィン団長…素敵です…!よく、お似合いです…!!すごく…!!」
エルヴィン団長にリヴァイ、ミケさん、ハンジさん、そして私。団長を始めとした調査兵団の一部の幹部はいつもの制服を脱ぎ、上等なスーツやドレスに身を包み集まった。例に漏れず、私も。
これから私達は貴族の集まるパーティーへと赴き、女型の巨人を捕獲するための特殊な装置の製作のため資金を出してくれる貴族─いわゆる出資者を探しにいく。主に私はエルヴィン団長のそばで補足をすれば良いとの事だが、立体機動や書類仕事以外は全くといっていいほど自信がない。それを心配し小さくなっていたところに「みんな揃ったか?待たせたな」と言って登場したエルヴィン団長を見るや否や、上記のセリフが飛び出した。いつも制服を着崩さずに着ている彼にスーツが似合わないなんて事はそもそもあるわけがないのだが、思っていたよりも正装というものが似合いすぎていて眩しい。眩しすぎて、気を失うかと思った。つまりは、かっこいいって事。
「あぁ、ありがとう。ユニも、よく似合ってるじゃないか。綺麗だ。」
その姿で優しく微笑み私を褒めるなんて…もはや犯罪なのではないだろうか。
「…ユニ?」
「すみません…気を失っていました。ありがとうございます…。私の事は気にしないでください…話が進まないので…。」
というかできればもう、出発したい。その想いが伝わったのか分からないが「では、出発しよう」とすぐに馬車に乗り、出発する事が叶った。しかし結局馬車の中ではエルヴィン団長と一緒なので、もう逆に開き直って思う存分その姿を目に焼き付けた。
「君は…、調査兵団なのか。」
「…あぁ、私ですか?はい。尊敬するエルヴィン団長の元で、日々精進しています。」
エルヴィン団長が1人の貴族と込み入った話をすると離席したため壁際へ寄ると、突然1人の若い貴族に声を掛けられた。20代か、30代前半だろうか。その若い貴族は私を見て少し、驚いたように目を見開いた。その視線はこのパーティーで特別に配られた、胸元の調査兵団の目印であるブローチへと向けられていた。
「君みたいな華奢な女性までいるなんてな…。いや、すまない。見た目は関係ないな。」
調査兵団の私に「すまない」と謝る彼は、もしかして調査兵団に対して友好的なのかもしれない。そう思って、にこやかに話すように努めた。
「巨人の捕獲装置の話、聞いたよ。この世界には、巨人を捕らえようとする変わった奴らもいるんだなと…驚いたよ。」
「ふふ…巨人の生態が気になって仕方ない、変わった人がいるんですよ。私なんてもう、何が何だかさっぱりで。」
「…君は、巨人を見た事があるんだろう?怖くはないのか?」
内地にいる人間は、生まれてから今まで巨人なんてものを見た事などなく、新聞や人づてに聞くくらいの、おとぎ話のような感覚だろう。対して調査兵団は、その巨人に立ち向かう集団。今、その対局にいる2人が出会った。運命とはなんと、面白いものだろう。
「怖くないと言えば嘘になりますが…私達は巨人を倒さなければ、生きていけませんから。生きるためには、たとえ悪あがきであろうと抗わないと。」
「……そうだな。」
「それに、私にはエルヴィン団長と、リヴァイがいますから。2人がいれば、大抵の事は何とかなります。」
「リヴァイ…?リヴァイって、リヴァイ兵士長の事か?」
「はい。こう見えて、私はリヴァイの上司なんですよ。」
「えっ…!?」
「呼んだか、ユニ。」
ビクッ、と反射的に肩が跳ねる。目の前の貴族の男性なんて、私以上に肩を強ばらせている。声の主であるリヴァイは私の背後から現れ、私の腰に腕を回し隣に立った。私がヒールを履いているためいつもよりも目線が近く、おそらく今は同じ身長なのではないだろうか。
「リヴァイ…びっくりさせないでよ。」
「エルヴィンの奴はどうした。なぜお前が一人でいる。」
「団長は今、交渉のため席を外してるの。…というか、離してほしいんだけど。」
「1人になるなと言ったろうが。エルヴィンが戻ってくるまで、俺から離れるなよ。」
「えー…と、ユニさん。出資の件、父にお願いしてみるよ。じゃあ…。」
「あっ、あの…!」
名前すら知らない、若い貴族の男性。彼はリヴァイが来るなり、慌てて逃げるようにその場を去っていってしまった。まぁ…出資してくれそうな気配がしたし、あとはエルヴィン団長が何とかしてくれるだろう。
「お前、まさか口説かれてねぇだろうな?」
「は…?こんなところで調査兵団の女を口説く男なんて、いるわけないでしょ?」
「……だといいがな。」
「慣れないヒールで疲れたし、ちょっと休憩してくる。…っわ!」
「馬鹿か。俺も行く。」
バルコニーへ続く扉目指して歩き出した私の腕を掴むリヴァイ。単に引き留めようとしたのだろうが、彼は小柄なくせに力が強すぎるので危うく転びかけた。そして私を支えるようにまた腰に腕を回して……わざとやったんじゃないかと疑ってしまうのは、仕方ないと思う。
「はぁーー……、疲れたね…。」
バルコニーのベンチへ腰掛けて、高いヒールのパンプスを脱ぎ去る。行儀が悪い行いであるというのは何となく分かってはいるが、普段はヒールのないブーツを毎日履いているので、ヒール付きの靴は私の脚に相当なダメージを与えていた。これ以上あれを履いて立っていては明日からの業務に支障が出かねないので、仕方ない。
「リヴァイは品があるし、黙っていれば貴族と見間違いそうね。」
「あ?あんなドブ臭ぇ奴らと一緒にするな。」
「…本当、黙っていればいいのに…。」
何となく言った事ではあったが、実は前からずっと思っていた。リヴァイは整った顔をしているし髪の毛もサラサラだし、手も綺麗だ。身長は男性の中では低い方かもしれないが腕っぷしも強くて、彼に守ってもらいたいと思う女性も少なからずいるのではないかと思う。ただやはり、口から出てくる言葉が乱暴なのが…それだけがとても、邪魔をしている。
「…お前も…、……まぁ、悪くねぇな。」
「……ありがと。」
今のは、彼なりに精一杯褒めたのだろう。ここで素直に「綺麗だ」とか「似合ってる」と出てこないのも、リヴァイの残念ポイントだ。
しばらくそうしてバルコニーで休んでいたら、突然リヴァイが自身の着ていたジャケットを私の肩に乗せ「俺は戻る。体、冷やさねぇようにな」と言い残し立ち去り、それと入れ替わりでエルヴィン団長がバルコニーへやってきたので、おそらくリヴァイが彼の姿を見つけ、呼んできてくれたのだと分かった。
「ユニ、疲れたか?君のおかげで、資金調達の件は無事纏まりそうだ。」
「私のおかげなんて…私は、何もしてないですよ。エルヴィン団長の話し方がお上手なんです。団長のお話を聞いていると、無理難題でも全て納得してしまいそうになるんですから。」
「いいや、君の相槌や補足も、完璧だった。それに、君と一対一で話したという貴族のご子息が出資の提案をしてきたんだ。」
「あぁ…あの人…。微力ながら、お力になれて良かったです。」
言いながら、リヴァイのジャケットが肩から落ちる。それを地面に落とさぬようにと拾い上げると、団長が目の前へとやってきて私の露わになった肩口にちゅ、と音を立ててキスをひとつ落とした。ビクッと肩を跳ねさせると、リヴァイのジャケットは結局地面へと落ちてしまった。が、今はそれどころじゃない…!
「すまない。着飾った君があまりに魅力的で。」
「は……、あ、の…ここ、外…。」
「そうだな。だが、こんな君の姿を見られるのはそうそうないからな。もう帰ろうかと思っていたが…もう少しこうしていようか。」
かっ………こいい……!!!あまりにも……あまりにも素敵すぎる……!!!
この時の私の顔は、目がハートになってどろどろに蕩けていた事だろう。のちに再び合流したハンジさんに「……ユニ、なんかあった?」と勘づかれてしまったほどなのだから。