845年~851年
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ユニさんは、リヴァイ兵長とお付き合いをしているんですか?」
「………はぁ?」
エレンと2人外へと抜け出してしばらくして開口一番にエレンが話し始めたのは、それ。思わず口から出たのは「はぁ?」だった。だってそれ以外に、思いつかなかった。
「す、すみません!仲が良いので、てっきり…!」
慌てて頭を下げる、エレン。別に謝らなくて良いが、私とリヴァイは、そういう関係に見えるだろうか?いや、確かに前にも聞かれた事がある。そう、ペトラに。その時も私は、同じ反応だったはずだ。
「リヴァイはね、私のかわいい部下なの。それ以上でもそれ以下でも…、……いや、強いて言えば友人…とか?戦友、とかかな。」
「じゃあ、エルヴィン団長は?」
「団長は……、私にとって団長は、指標…かな。神様とか教祖とか、そういうのに近いかも。あの人こそが道標で、あの人に導かれて、私はここにいる。私の生きる意味そのものだよ。」
彼が私を必要としてくれているから、生きている。それくらい私にとってエルヴィン団長は何よりも大切で、いつまでもそばにいたいと思えるような人。
「…なんか、難しいですね。」
「ふふ…私のはちょっと、特殊かもね。…でも、エレンにもいるでしょう?絶対に失いたくない、大切な人。」
この辺りの地理は、まだ覚えている。記憶を頼りに草を掻き分け、歩を進める。エレンは少し遅れて、後ろを着いてきている。
「はい。…ミカサやアルミン…104期生のみんなは、元気にやっていますか?」
「……うん、元気だよ。」
サァァア─と吹き抜ける風が、草を揺らす。エレンにとって104期生の仲間は、大切な人達に含まれるらしい。
「…ここ、昔訓練場だったんだ。あの日も、私とリヴァイはここで、立体機動の訓練をしていてね。」
「…あの日、ですか…?」
「うん。…初めて巨人が、壁を破壊した日。」
「!…そう、なんですね…。」
轟音と地響き。ただ事じゃないほどの衝撃を受け、私はバランスを崩しリヴァイの上へと落下した。それが、この森だ。あの日、私達はここにいた。今は使われなくなった古い建物の隣の、狭い森。建物は朽ちていく一方だが、ここだけはまだ生きていて、時間が進んでいるようだ。
「…エレン。壁外調査、がんばろうね。私も、がんばるから。」
「…ユニさんにも、がんばる事があるんですか?」
「もちろん。エルヴィン団長の期待に応えなきゃ。だから絶対に、次の壁外調査は成功させなきゃならないの。…もし失敗したら、あなたの身柄も憲兵団に引き渡さなきゃならなくなるかもしれない。そうなるのは、エレンも嫌でしょ?」
「そうなんですか!?…っ、がんばります、俺!!」
「ふふ…いい子ね。」
本当に、いい子。いい子すぎて、可哀想だ。大切だと言った104期生の中に潜む敵に、騙されて。エルヴィン団長によって、その敵をおびき出すための、囮にされて。
「…さ、もう帰ろう。あんまり遅いと、リヴァイが心配するから。」
「…心配、ですか?リヴァイ兵長が俺を心配するなんて、しないと思いますが…。」
「あははっ!ごめんごめん。私の心配をするって意味。」
「あっ…!すみませんっ、そうですよね…!」
再び草を掻き分けて正面玄関へと戻ると、案の定腕を組み壁に背を持たれるリヴァイの姿があった。そんなに長い時間出ていたわけではないというのに、心配性にも程がある。
「…エレン。ミカサやアルミンを、大事にしてね。」
「?はいっ。」
別れ際に、伝え残した事を伝えてから別れた。ミカサとアルミンは我々の敵ではないと、思っていたからだ。あの子達は心から、エレンの事を大切に想っている。
「お待たせ、リヴァイ。」
「遅ぇ。紅茶が冷めちまった。淹れ直せ。」
「え…?…もしかしてあれって、一緒に飲みたかったって事!?」
まさか待っていたなんて思いもよらなかった。そりゃ私と一緒に紅茶を飲みたかったリヴァイからしてみたら、私の帰りは遅かったかもしれない。が、ちゃんと口で言え、口で。
「昔飲んだ…眠れねぇ時に飲んだ紅茶はあるか?」
「!…よく、そんなの覚えてたね。もしかして、眠れないの?」
エレンと別れたのち頼まれたのは、昔ここの旧本部で初めてリヴァイに紅茶を振舞った際に淹れたもの。同じものは、残念ながらない。しかし、
「似たようなものならあるよ。」
眠れないの?という問いには答えなかったが、似たようなものならあると言うと「…助かる」と返ってきたので、どうやらリヴァイはここで、あまり眠れていないようだった。
「はぁ…。…分かった、リヴァイの部屋に持って行くから。部屋はどこ?」
「……昔の、てめぇの部屋だ。」
「はぁっ?」
「……たまたまだ。」
元々私の部屋だと知っていてそこで寝泊まりするなんて、言葉にできない、変な気分だ。しかし、私の似たようなものなので何も言えはしない。黙ってしまったリヴァイがそのまま去っていってしまったので、仕方なく私は再度、キッチンへと向かう。本当、私のかわいい部下は、手がかかる。
「ほら、どうぞ。これを飲んだら、ちゃんと寝て。体を休めるのも、兵士として立派な勤めなんだから。」
「……美味い。」
「そりゃ良かったよ。」
紅茶を2人分淹れ、元私の部屋─現リヴァイの部屋へと運びようやくひと息ついた。しかし私はこのあとも、やる事が残っている。
「本当に、リヴァイは飲んだら寝て。エレンの傍には、今夜は私がつくから。」
「あぁ?てめぇ、明日本部に帰るんだろ。」
「明日はお休みなの。エルヴィン団長の計らいでね。戻りは何時でもいいと言われてるから、ゆっくり戻るよ。」
「…そうか…。」
ようやく納得したのか、リヴァイはそれ以降、静かに紅茶を嗜んだ。飲み終わった頃には体も温まり少し眠気がやってきたのかいつにも増して目付きが悪くなっていたので「いい加減寝なさい」と空になったカップを取り上げベッドへと転がした。
「おいてめぇ…ガキ扱いしてんじゃねぇ…。」
「してない。向こう向いてていいから、黙って目を閉じる。」
「……。」
観念したのか何も言わず、大人しく向こうを向くリヴァイ。舌打ちぐらいはされるものだと思っていたが、それをする元気もないくらいには、疲れていたらしい。
その背中に手を当てると、ビク、と一瞬体が強ばったが、次第にそれも解れていった。
「…人類最強の兵士長が夜眠れないなんてね…。エルヴィン団長のために…がんばってくれて、ありがと…リヴァイ。」
「……アイツのためじゃ、ねぇよ…。てめぇの……、」
途切れた言葉は、いくら待ってみても続かなかった。寝たのだと分かったのは、そぉっと顔を覗き込んで、眉間の皺がなくなっているのが確認できたからだ。
「……寝顔は、かわいいのね…。」
頬は柔らかいのだろうかと気になってツン、と触ってみたが全然そんな事はなく、むしろ鬱陶しそうに手を叩き落とされた。…寝ているはずだというのに、なんて力だ。
「おやすみ、リヴァイ。」
「あれ?ユニじゃないか!来てたのか!」
「ハンジさん…おはようございます。朝から元気ですね…。私は昨日リヴァイに代わってエレンの監視をしていて寝ていないので、これから少し眠ります。あとで実験の様子を見に行くので、よろしくお願いしますね。」
寝ていない体でハンジさんに会うのは、なかなか体に堪える。残っていた気力まで全て吸われてしまいそうになるのを、何とか耐えた。
「エルヴィンから聞いたけど、君、今日は休みだろ?」
「分かってますよ。だから立体機動装置は無しで行きます。」
「そう。ならいいか!じゃあ、よろしくね〜!」
本来なら、良くない。しかしハンジさんなら、そう言うと思った。私がちゃんと休んでいるか確認のためにハンジさんをこちらに向かわせたのだろうが、せっかくなら見学くらいしたいのだから仕方がないだろう。