845年~851年
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「そうか…その地下室に行けば、すべてが分かると…。」
「はい…。…信じてもらえますか?」
「お主自身が確証を得られん以上は、とりあえず頭に入れておく、といったところかの…。しかし…物事の真意を見極める程度の事はできるつもりじゃ。お主らの命は、ワシが保証しよう。」
「…ピクシス司令。お言葉ですが、彼らの命は我々調査兵団がすでに保証しています。」
「おぉ、そうか。これはこれは、失礼した!」
ハッハッハ!と笑う司令の声に、続く者はいない。先ほどまで生きるか死ぬかの状況に身を置いていたのだ。いきなりこんなほのぼのとした雰囲気になったら、頭がついてこないだろう。
「ところでユニ。お主いつ結婚するんじゃ?」
「…司令?それは今しなければならないお話ですか?」
「まさかエルヴィンが渋っておるのか?あやつは頭が賢い分、何事も難しく考えるところがあるからのぅ。」
「司令。」
「!…まさかエルヴィンではなく、リヴァイの方か!?エルヴィンの奴、あれほど早く結婚しろと念を押していたのに…。」
「ドット・ピクシス司令。…私はどちらとも結婚しません。…今はそれよりも、彼の話を。」
全く、すぐ話を脱線させる癖を早くどうにかしてほしい。それに会う度にこの話題を出されては、たまったもんじゃない。
「おぉ、そうじゃな。アルミン訓練兵…じゃったかの?お主は先ほど、巨人の力とやらを使えばトロスト区の奪還も可能だと申したな。あれは本当にそう思ったのか?それとも、苦し紛れの命乞いか?」
「それは…、両方です。」
アルミンに向き直り話し始めたピクシス司令は、途端に仕事モードで話し始める。…いつもこうだったら、尊敬できる人なのに。
「あの時僕が言おうとした事は、巨人になったエレンが、破壊された扉まであの大岩を運んで扉を塞ぐという事でした。」
「!」
「…ただ単純に思いついただけですが…せめてエレンの持った力に、現状を打開できる可能性を感じてもらえないかと…。もちろん、助かりたい一心で、ですが…。」
「…エレン訓練兵よ。…穴を塞ぐ事が、できるのか?」
「……、塞いでみせます!何があっても…!!」
…驚いた。私が思っていた何倍も、彼は頭の回転が早い。
希望が、見えてきた…!!
「参謀を呼ぼう!作戦を立てようぞ!ユニ、お主も一緒に。」
「…承知しました。」
"トロスト区奪還作戦"
ピクシス司令はどうやらそれを、今すぐに開始するつもりらしい。司令の合図で、私達の元には数名の兵士が集められた。しかし私の知らぬ者たちばかりで、若干、居心地の悪さを感じる。私はどの立場でこの作戦に参加しようかと、考えを巡らせた。
「アルミン…やっぱりあなたってすごい!まるでエルヴィン団長みたい!」
トロスト区奪還作戦の概要を司令が説明している間、私達は詳細な作戦の見直しをしていた。そこでアルミンが提案したのは、巨人との戦闘を極力避ける作戦であった。それは今即興で考えたとは思えないもので、それも現在の調査兵団が目指している思想に近しいものだった。
私が率直にそれを褒めると照れくさそうにはにかんで、感じた事のない感情が芽生えた。…かわいい。
作戦が、間もなく開始する。私が任されたのは、やはりというべきかエレンの護衛。少数精鋭の隊が即席で組まれ、そこの指揮を担う。つい先ほど会ったばかりの駐屯兵と隊を組むなんて、連携が取れるか不安だが…変に気負うのはやめよう。私はいつも通り、やれば良い。
「…極秘人間兵器とか言っていたが…穴を塞げればなんでも良い…。お前を最優先で守る。頼んだぞ!」
「は…はい!」
「…がんばるのはいい事だけど…みんな私の隊に入った以上、単身無茶はせず、自分の命を最優先にするように。」
「…今さら何を言っているんだ。この作戦は、壁の穴を塞ぐのが目的。それに、我々は心臓を捧げた兵士。穴を塞げるのなら、多少の犠牲はやむを得ないだろう。」
「そういう事を言ってるんじゃないの。…もし、誰かが巨人に食われたとする。その状況でむやみに助け出そうと巨人に立ち向かおうとするな、と言っているの。」
「!…だから、何が言いたい!」
あまりに回りくどい言い方だっただろうか?エルヴィン団長やアルミンの真似をしてみたのだが、私にはまだ早かったらしい。
「巨人を倒して、自分が生還できる確証があるのなら立ち向かって構わない。…人の命は、重いの。巨人を前にすると忘れてしまいがちだけど…。あなたが生き残る事で、繋がる未来がきっとあるから。生き残るから"次"があるという事を、胸に刻んで。」
タッタッタッ──
とうとう誰も喋らなくなり、壁上を駆ける足音だけになった。沈黙は、肯定。ちゃんと伝わったのだと捉えて、この話は終わり。
もうすぐ、大岩が見えてくる。
「大岩を目視。周囲には巨人の影無し。…これより、トロスト区奪還作戦を開始する!総員、持ち場につけ!散!」
私の合図で、全員が立体機動で街へと舞い降りた。ずいぶん久しぶりに見たが、街はあの時のまま、埃を被っているようだった。
カッ…!
一度眩しく発光して、エレンが巨人となる。私の持ち場は、壁の穴に1番近い、エレンの進行方向だ。
アアアアァァァァ──
エレンの巨人は一度大きな雄叫びを上げた。彼はあの大岩を持ち上げられるだろうか。みな固唾を飲んで眺めているとやがてエレンは動き出し───
幼馴染のミカサを、攻撃した。
「ミカサ!!…っ全員、近寄るな!距離を取れ!!」
ミカサは、間一髪攻撃を避けていた。無傷だ。それにすぐさま立体機動に移れている。彼女はエレンにアンカーを刺し、声が聞こえるよう顔の前に着地した。
「エレン!私が分からないの!?私はミカサ!あなたの…家族!あなたはこの大岩で、穴を塞がなくてはならない!!」
ミカサの説得は、届いていないようだった。エレンは自らの頭部を攻撃し、そして破損した。
空には、作戦失敗の信煙弾が打ち上げられた。
やはり、気になっていた事が現実となった。
エレンは何度も巨人化していた。その度にどんどん顔色が悪くなっていくのが、目に見えて分かっていた。おそらくだが巨人になれる回数には制限がある。それが今、目の前で体現されていた。
「隊長!前扉から2体接近!10m級と6m級です!」
「後方からも1体!12m級、こちらに向かって来ます!」
「……。」
「…、隊長!早く指示を!!」
「焦らないで。前方の2体は、私が処理します。後方1体は、リコ班が処理を。ミカサはエレンから離れず、説得を。他の者はその場に待機し、他の巨人がいないか確認を。以上。」
「なっ…!隊長!!」
異議でもあっただろうか?しかし巨人が迫っている今、それをゆっくり聞いている暇などない。
ザザザザ、と地面を滑り、巨人の背後に回り込み頭部にアンカーを突き刺す。そのままワイヤーを巻き取って、項を切り落とした。10m級の巨人の討伐完了。6m級の巨人が10m先まで迫っていたため、一度建物を使い身を隠す。そしてその建物の周りを1周し、討伐。建物がある分立体機動を活かして戦えて、壁外調査に比べるとなんて事ない戦闘であった。
「ミカサ!エレンはまだなの!」
「っ…!…この巨人には、エレンの意志が反映されていない!誰がやっても、意味がない!」
「それは…絶望的状況だね…。…!巨人が…、エレンに向かって…!?」
おかしい。エレンの事ではない。巨人達が、ここへ集まっている。人の多くいる壁際ではなく、ここに。
「総員、距離を保って私達を援護せよ!決して単独で行動するな!討伐は、私とミカサがやる!」
「ユニさん!ミカサ!」
「…アルミン!」
救世主かのようなタイミングでの、アルミンの登場。エレンの事は、アルミンに任せよう。私とミカサは、巨人達をエレンに近づかせないようにしなければ…!
「ミカサ、私は先に行く。アルミンに、現状の説明を!」
アルミンに任せれば、事態は少しでもいい方へと向かうだろう。そう信じて、私はすぐ側まで迫っている13m級の討伐へ向かった。
─あぁ…エルヴィン団長に会いたい…。