845年~851年
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「なに…あれ…。」
巨人が、巨人を攻撃している。初めて見る光景が、目の前で繰り広げられている。ハンジさんが見たら、大興奮間違いなしだろう。いや…さすがにこの状況でそんな事は……うん、するな、絶対に。
とにかく、巨人同士が争っている。何が起こっているのかなんて全く分からないが、ひとつだけ確かなのは…この状況を、無駄にするわけにはいかない、という事だ。
「君達!すぐに屋根の上に上がって!一旦退くよ!」
少女の元には、同期と思われる訓練兵が2人。私の声を聞いてすぐに屋根の上へと避難したため、そこに合流した。
「…何体か討伐はしたけど、今あるブレードじゃ全然足りない。ここからじゃ、駐屯兵団本部は遠すぎるし…。」
「…提案があります。」
「提案?…話してみて。」
「上手くいくかどうかは、分かりませんが…。」
「いいから、話して。判断は私がする。」
一刻を争う今、少年の言う提案とやらを早く聞き出さなくてはと少し強めの力で肩を掴んだ。そうするとやがて彼は意を決したように「あの巨人を、利用できないでしょうか?」と、巨人を殺す巨人を指さした。
あの巨人は、どういうわけか他の巨人を殺そうとしている。1体殺したら、次。殺したらまた次…と次々と標的を変えているのだ。
「…いいね…。うん、やってみよう。」
他に案も出そうにないし、試せるものは試そう。
「万が一の事も考えて、3人は先に行って先導して。私が最後尾を行く。」
「し、しかし、上手くいくかどうか…!」
「…私は、調査兵団団長補佐、ユニ・クラインです。この作戦の一切の責任は、私が取ります。もし上手くいかなかったら、即座に離れて。他に質問や異議がなければ、作戦を決行します。……うん、ないね。じゃあ、作戦スタート。」
有無を言わせない半ば押し切る形で、彼らを説得した。何も言わないのをいい事に作戦をスタートし、私の合図を元に3人が先に飛び出していく。同時に、待機を命じていた残りの訓練兵を呼び「あの巨人の後ろをついてくる事。そして隙ができたら、本部の窓に突っ込め」とだけ伝えて再び巨人の前へと躍り出た。
あの少年は、エルヴィン団長くらい頭がキレそうだ。
「全員、本部の窓に突っ込め!!」
ガシャァァン!!
私の合図で、一斉に補給所の窓へと突っ込む。割れたガラスでいくつか切り傷ができたが、ちゃんと体は動く。全員が本部内へ滑り込んできたのを確認してから、壁側へ寄るよう指示した。
人数の増えた補給所目掛けて、さらに巨人達が群がって来るからだ。
「補給班。あなた達の処遇はあとから審議にかけるとして……補給所内には、何体の巨人がいる。」
「あ…、えぇと…、最後に確認した時は、7体、でした。」
「そう。7体全てが通常種なら、私1人で何とかなるかな…。ブレードを、全て私に集めて。」
「そんな…、いくらなんでも、無茶です…!…そうだ…、ここには、憲兵団の所有する銃がいくつかあるはず…!中央のリフトを使ってその銃で視覚を奪えば、残りの者で簡単に項を狙えます!!」
「……君…、名前は?」
あの時助けた、金髪の少年。随分とかわいらしい顔立ちをしているが、やはりエルヴィン団長の姿が頭を過ぎる。この子は、エルヴィン団長と思考がよく似通っている。
「…あ、アルミン・アルレルトです!」
「アルミン…覚えておくよ。その作戦はとても良いと思う。けど、私は君達を守らなくてはならない。君の作戦よりも、私の作戦の方が君達の生存確率は格段に高い。今の今思いついたとは思えない、良い作戦だけどね。」
「っ…、なら、ミカサ・アッカーマン、彼女を同行させてください!彼女は、第104期生の中でもずば抜けて戦闘能力が高く、今日だって何体も巨人を討伐しています!」
「…よし。では、ミカサ・アッカーマン。あなたの作戦への参加を許可する。すぐにブレードとガスを補給班の兵士から譲り受け、補充するように。装備が完了次第巨人の討伐を開始する。」
「分かりました。」
この子が推薦しているというのなら、正直、期待してしまう。ましてや訓練兵の中で戦闘能力がずば抜けて高いだなんて聞いてしまえば、余計に。
リヴァイとの巨人討伐のように、息が合えば良いのだが。
「お待たせしました。いつでも行けます。」
表情が変わらず言葉少ななところは、リヴァイに似ているかもしれない。そう思ったら何となく、上手く行きそうな気がしてきた。
「広さは…立体機動で飛ぶには、少し狭いな…。手前の角から時計回りに4体、私が処理する。ミカサは、向こうの対角線上から3体の処理をお願い。」
「…承知した。」
上から様子を見ると、巨人の数は補給班に聞いた7体から変わってはいなかった。大まかな作戦だが、実戦でも活躍したのだというミカサならば、上手い事やってくれるだろう。
対角線上にミカサが到着したところで、最後の作戦がスタートした。
「奪還作戦成功!総員直ちに、補給作業に移行。補給完了後は一度、私の元へ集まるように!」
一先ず、窮地は脱した。外では未だ巨人の暴れている音が響いている。補給が終われば今度は、外の巨人達の処理をしてここから脱出しなくてはならない。
やる事がまだまだ、山積みだ。
「あの…、ユニ・クライン団長補佐。」
「…アルミン。団長補佐は間違いではないけど、分隊長でいいよ。…なに?」
「いえ…、先ほどの巨人討伐、見事でした。僕の作戦なんか、必要ないほどに。差し出がましい事を、失礼しました。」
「えぇ…?なんでそうなっちゃうの?いい作戦だって、私言ったじゃない。」
「いえ、しかし…!」
暗い表情で頭を下げるものだから、戸惑った。その姿は威厳もなにもあったもんじゃないだろう。でも、アルミンが謝る必要はない。私には、彼ら訓練兵104期生の実力が分からない。だから、確実な方を選んだというだけなのだ。
「アルミンは…どこに所属するか決めてるの?」
「え…?はい、まぁ…、調査兵団に…。」
「本当!?じゃあぜひとも、私の隊に入ってくれない!?あなたの力を貸してほしいの!いや、嫌だと言っても、エルヴィン団長にお願いして入れてもらうから!」
「えぇ…!?」
今度は私がアルミンを戸惑わせる。だって、私はどうしてもアルミンを引き入れたい。戦闘力の高いミカサよりも、ずっと。エルヴィン団長だってきっと、アルミンを気に入ると思う。
「考えておいてね、アルミン!」
「は、はい…!」
みんなそろそろ、補給作業が終わる頃だろう。棚からぼたもちとはまさにこの事。神様はきっと、アルミンに出会わせてくれるために壁外調査前日に高熱を出させたに違いない!そうじゃなきゃやってられない!