余談
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「…ユニ…今日も来たのか…。」
「当たり前でしょ?愛しのリヴァイは今日も寝てるのね。」
「…当たり前だろ…。内臓がズタボロなんだ。」
ジークにやられた傷は、やはり酷いものだった。それでも一度歩けるまでには回復したが、その後の戦いで悪化し、その上アッカーマンの能力も失なわれ、以前のようなスピードでの回復もできなくなってしまった。そして右目ももう、見えなくなってしまったのだという。痛々しい顔の縫い目も、残ってしまうようだ。
「…あのリヴァイが、一番重症なんてね…。」
「もう、人類最強でもなんでもねぇな。お前にやるよ。」
「あはは、いらないよ。でもリヴァイがこの状態なら、確かに私が最強なのかもね。」
「お前は無傷だしな…一体どうなってる。」
「立体機動のプロを舐めないでよね。退団はしたけど、立体機動装置はこっそり使わせてくれるって。」
「…好きもそこまでいくと気持ち悪ぃな。」
「酷い!それが婚約者に言う言葉!?」
「うっ…!お前こそ…怪我人に暴力か?」
そんなに強く叩いてないのだが…私が想像しているよりも、リヴァイの怪我は酷いのかもしれない。
「リヴァイ、痛み止め飲んでる?」
「いや、飲んでねぇ。」
「…!!痛い時はちゃんと飲む!って、いつも言ってるでしょ?」
「…耐えられる痛みだからな。」
「耐えちゃダメなんだって!…痛みを止めて無茶をするのは良くないけど、安静にしてても痛む時は、飲んで。じゃないと、心配で夜しか眠れないよ。」
「……おい、夜は眠れてるじゃねぇか。」
「あははっ!ピークちゃんに教えてもらったの。このお花も、ピークちゃんが一緒に選んでくれたんだ。」
リヴァイに見えるように、花瓶を持ち上げて目の前へと持っていく。今挿さっているのはブルースターという花で、青色が綺麗で、小ぶりでかわいらしい。
「…俺のいねぇところで、楽しんでるな…。」
「ふふ、ヤキモチ?でも正直ピークちゃん、めちゃめちゃ私のタイプなんだよね。」
「あ?…お前、前にヒッチの事もナンパしてなかったか?」
「…よく覚えてるね。そう。私、タレ目の女の子が好きなんだぁ。」
「…そうかよ。」
「あはは、女の子のタイプだよ。自分がツリ目だからって、拗ねないでよ。」
「拗ねてねぇ。」
「安心してよ。私、リヴァイの綺麗な顔、好きだよ。」
「…綺麗…?傷だらけだが。」
「そういう意味じゃなくて。配列とか、小さい口とかさぁ。」
「お前はエルヴィンの顔が好きだと言ってただろ。好みが変わったか?」
「!エルヴィンの顔も好き〜!でもリヴァイの顔も好き!なんでだろうね、不思議!」
「…俺が知るかよ…。…なぁ、ユニ。」
「ん?なに?」
「…今日のキスがまだだが。」
「…ふふ…、いつまでお喋りするのかなぁって、ずっと思ってた。…睨まないで。ごめんごめん。」
椅子から腰を上げ、ベッドに横になったままのリヴァイに口づけた。唇に軽く触れるだけのキスにしようと思ってたのに、リヴァイの舌に舐められて、求められているのが嬉しくて深く口づけてしまった。
「は……。…やりてぇな…。」
「…ダメです。さすがに。」
「分かってる。だが…さすがに俺も辛いんだが、どうしたらいい。」
「…ご、ごめん、分からないや…。」
辛い、とリヴァイに言われると、普段そんな事を言わないリヴァイだから何か力になりたいと思ってしまう。しかし、そのまま要求を呑むわけにもいかないし…。
「…ユニ。頼みがあるんだが。」
「えっ、何…?」
「ここに出入りする医師や看護師だが、全員男にするように言ってくれねぇか?」
「え?」
「お前の事を考えると、どうしても勃っちまう。エロい事を考えてるわけじゃねぇが、もうしばらくシてねぇからな。生理現象だ。」
「!…あの、そんな堂々とそういう事、言わないでくれる…?」
「あ?今さら恥ずかしがる事もねぇし他の言い方しても逆に気持ち悪ぃだろうが。…見られんのも嫌だが、触れようとしてくる奴がいやがるんだ。ここはマーレだし、パラディ島にいる時みてぇに振る舞うわけにもいかねぇだろ。」
「…なるほど…それは由々しき事態だね。すぐに対処するよ。」
私の愛しいリヴァイに触れようとする女がいようとは…到底許せるものではない。やっぱりリヴァイはたとえ傷があろうとも、そんなのは関係なしにモテるという事だ。
「リヴァイ…。リヴァイの貞操は、私が守るからね。」
「あ?何言ってんだお前。」
「…おい、やめろ。構わないでくれ。」
それは、数日後の事だった。退団前に上から「これだけは書け」と言われていた完成済みの大事な報告書をリヴァイの病室に置き忘れ、面会時間を過ぎた後ではあったが無理を言って病棟までは入れてもらった。ここにいる人達はみな私やリヴァイが地鳴らしを止めた英雄だと知っており、英雄なんて大層な呼ばれ方は居心地が悪くて嫌だったが、こうして見逃してもらえるのならたまにはいいかもしれない。とはいえルールを破っているのは忍びないので、そっと入って一言二言言葉を交わしたらすぐに帰るつもりだった。だというのに中からは不穏な声が聞こえてきて…気づかれぬよう、そっとドアの隙間から中を覗き見た。
「…っ!」
リヴァイが…、リヴァイが、襲われている…!!
肌蹴た病院着からは逞しい身体が覗き、今まさに布団を剥ぎ取られようとしている。以前のリヴァイならば怪我をしていようと、あんなもの片手で難なく対処できただろう。しかし今は…女性相手にギリギリ抵抗しているといったところで、見ていて痛々しい。
気が付いたら私はいつの間にか扉を開け放ち、病室内の二人の3歩ほど手前で、仁王立ちをしていた。
「!…ユニ、お前なんで…。」
「私のかわいいリヴァイに…何してるんですか?」
そうだ。リヴァイは、私の婚約者。私のリヴァイだ。私のかわいいリヴァイに勝手に触れるなんて、相手が看護師だろうと許さない。
「あっ、あの…!」
「…リヴァイが、私に助けて欲しいって、お願いしてきたんです。知らない女に体を触れられるのは、気持ち悪いって。だから私が守ってあげなきゃいけないんです。繰り上がりで人類最強になった、私が。」
「す…すみませんでしたっ…!」
「なに…逃げようとしてるんですか?安心してください。これからもお世話になるんですから、暴力で解決しようだなんて考えてませんよ。ただ…私のリヴァイにまた手を出したらどうなるか、分かってもらうまで教えてあげるだけです。」
「…ユニ。もういい。…こっちに来てくれ。」
「!」
逃げようとする女性看護師の腕を捕まえ淡々と恨み節を呟いていると、聞いた事のない弱々しい声で私を呼ぶ声。もちろんそれはリヴァイの声で、そうなればそちらを優先せざるを得なかった。
「お前は…、"私の"だとか"かわいいリヴァイ"だとか、恥ずかしくねぇのか?俺は恥ずかしいぞ。」
「え?全然。」
「…そ、……とにかく、そういう事を言うのはやめろ。…ほら、これを取りに来たんだろ?」
「痛っ!」
照れ隠しか通常通りか、私の忘れた書類はリヴァイがしっかりベッド脇の引き出しに仕舞われており、それを取り出すや否や乱暴に顔に向かって叩きつけた。紙なのでたいして痛くはないが、びっくりするのでやめてほしい。
「…あぁ、そうだった。ありがとう、リヴァイ。じゃあ、また明日ね。」
「は?……いや、何でもねぇ。早く行け。」
「いや…、リヴァイがかわいすぎて無理!今、行って欲しくないと思ったでしょ!」
「うるせぇな。今日はもう会えねぇと思ってたんだ。鬱陶しいから、さっさと出てけ。」
「とか言って、本当に私が帰ったら寂しいくせに。」
「お前……あとで覚えておけよ。」
「ふふ、うん。ちなみに私は、寂しいよ。早くリヴァイに抱きしめてほしいし、甘やかしてほしい。」
「!」
「だから、ちゃんと治してね。」
「……あぁ。…出てけなんて言って、悪かった。もう少し、ここにいてくれ。」
きゅーん。
あぁ、これがピークちゃんから聞いた、キュンキュンするって感情か。心臓を優しく握られているような、苦しいような切ないような、それでいて愛おしいような、そんな感覚。
「うん、いいよ。よしよし。」
「……子供扱いしてくれとは、頼んでねぇが。」
「子供扱いはしてない。ただ、好きだなぁと思って。」
撫でた頭に頬をすり寄せると、今日はちょうど頭を洗ってもらったのかリヴァイの匂いに混じって仄かにシャンプーの香りがした。
「リヴァイ、好き。」
「…あぁ、俺もだ。」
「ふふ、嬉しい…。ようやく、幸せになれるね。」
「…お前が幸せなら、何よりだ。」
「リヴァイの事は、私が幸せにするね。」
「ふ…、…あぁ、頼んだ。」
リヴァイの私にだけ見せる、この優しい微笑みが好き。私を見る真っ直ぐな瞳が好き。リヴァイの全部が、好き。大好き。
怪我が治ったらみんなに色々と報告をして、また家を買い直して、結婚式の準備をして、そうしたら、ようやく本当の意味で一区切りつく。そうなれば、あとはリヴァイとルーカスと私とで、幸せな家庭まっしぐらだ。
やっと手に入れた私達の未来は、きっと明るい。
この先何が起ころうとも、これまで以上の苦難なんて訪れる事はないだろう。
「…おやすみ、リヴァイ。また明日来るね。」
私達には、未来があるから。