851年~
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「エレン。」
「ユニさん。」
これは…夢か、記憶か…。記憶…のような気がするが、こんな事を話した事があっただろうか?
「エレン、会いたかったよ。」
「調査兵団内で、会ってるじゃないですか。」
「違うよ。昔のワンコみたいなエレンに会いたかったの!」
「ワンコ…。ユニさん、俺の事そんな風に思ってたんですか?」
エレンは、犬みたいでかわいい。ついつい遊んであげたくなるし、頭も撫でてあげたくなってしまう。
「エレン…最近元気なさそうで、心配してるんだよ。」
「はは…心配かけて、すみません。」
「無理して笑わないで!あと、謝らないで!」
「……。」
「ふふ…困らせちゃった。…ここにはリヴァイはいないから…エレン、おいで。」
適当な場所に腰掛けて正面に座るように促すと、エレンは大人しくそれに従った。それを包みこむように、エレンの頭を抱き、背中を摩った。
「これ、落ち着くでしょう?」
「…はい。」
「これをすれば、リヴァイもだいたいすぐに落ち着くの。」
「へ、兵長が…。」
「…エレン。私は、エレンの味方だよ。なんでもしてあげたいと思ってる。エレンが死ぬのを助けられるというなら…リヴァイを捨てて、エレンと一緒になれるくらいに。エレンが望んだ場合、だけどね。例え話だよ。」
これは、本心だ。リヴァイだってきっと、エレンを救えるのなら納得してくれるはず。ただ、気持ちだけはどうにもならないが。逆にリヴァイとは気持ちさえ繋がっていれば、私も問題ない。
「…ユニさんは幼馴染でもないし、104期の同期でもない。それなのにどうしても、手放せないんです。ユニさんの優しさは、毒みたいだ…。」
「む…失礼な!」
「ち、中毒性があるって事です!」
「ふふ、冗談。でも手放さないでいてくれた方が嬉しいけどな。私もエレンとお話するの好きだし。」
「…それじゃ、ダメなんです。決心が鈍る…。」
「ぜーんぶ手放さずに取っておけばいいのに。私なんてエルヴィンもリヴァイも、どっちも独占してるんだから。どっちも心から愛してるし、どちらからの愛も有難く受け入れてる。…私の愛は、きっとたくさんあるんだね。だから、エレンにも愛のお裾分けができるよ。正直、恋愛感情は湧かないけど!」
「いいですよ。…俺には、ミカサがいますし…。」
パッと顔を上げたエレンの表情は、もう明るく変わっていた。これなら大丈夫だと、隣へと移動し腰掛けた。
「ようやく自分の気持ちに気づいた?」
「ずっと気づいてます。でも、気づかない振りをして、気づかないようにしてました。」
「めんどくさ!」
「兵長とめんどくさい恋愛をしてるユニさんには、言われたくないです。」
「あはは!言うねぇ、エレン。でもね、そのめんどくさい恋愛も終わりにしようかなって。ねぇエレン、リヴァイはプロポーズしたら、受けてくれるかな?」
「はぁ?知らないですよ!というか、結婚を考えてるなら俺と一緒になるなんて簡単に言わないでくださいよ!」
「えぇ…それは例え話って言ったじゃん…。それくらい、エレンが好きって言ってるの。…恋愛感情抜きでね。」
「それは嬉しいですけど、簡単に男に好きとか一緒になるとか、言わない方が良いですよ。」
「そっかぁ…違う言い方を考えないとね…。って、話をすり替えないで!そもそも私、リヴァイからプロポーズされたいんだけど、してくれると思う?」
「だから知らないですよ!」
「リヴァイから言ってくれないなら、私から言うしかないかぁ…。受け入れてくれるといいんだけど…。」
「…成功するか分かりませんけど、応援してます。ユニさんも兵長も、俺の大事な人なので。」
「…ありがとう。エレンにそう言ってもらえて、嬉しい。エレンと楽しくお話できて、良かった。」
「…俺も、楽しかったです。ユニさん、お幸せに。」
「……リヴァイ…?…私…生きて……。」
目を開けると、リヴァイに支えられるように岩を背に座っていた。私は、巨人になったのではなかったのだろうか。いやそれより、いつかのエレンとの記憶が…。
「…ユニ。」
「!エル、っエルヴィン!!…ハンジさ…!」
私を呼ぶリヴァイの声に顔を上げると、懐かしい調査兵団のメンバー。過去に死んでいった、仲間達だ。その一番前にはエルヴィンがいて、傍らにはハンジさんも立っていた。これは、幻…だろうか。
「…見ていてくれたか?これが結末らしい。お前らが捧げた…心臓の…。」
「…エルヴィン…、地獄に行くのは、もう少しあとでも良いでしょうか…。私は…リヴァイと一緒に…、もう少し生きたいです!だから…、…その時まで、…そこで待っていてくれますか…っ?」
団員達の敬礼と、エルヴィンの優しい微笑み。私は、許されたのだろうか。
「それと、ハンジさん…。もしも来世があるなら…またお友達になってください…。…大好きです…。」
リヴァイが敬礼を返すのに倣って、私も返した。彼らの幻影はもう、今にも消えそうだ。
「…俺の怪我が治ったら、結婚する事にした。祝福してくれるよな?お前ら…。」
消える直前、みんなが笑ってくれた気がした。サァ、と風が吹いて、次の瞬間にはもう見えなくなってしまったが、きっと祝福してくれているに違いない。
ズシ、とリヴァイからの重みが増す。最初からボロボロだった体はとうに限界を迎え、気を失ったのだろう。
戦いはついに、ようやく終わったのだ。
「ルーカス…!無事で良かった!!」
「ママ!」
「キヨミ様…本当にありがとうございます。」
「いえいえ。感謝を申し上げるのは、我々の方でございます。地鳴らしを阻止してくださって…本当に、なんと申し上げたら良いか…。」
リヴァイをマーレの病院へ送り届けたその足で船が沈没したであろう地点まで向かい、ルーカスを含むヒィズル国の方々を救助した。なんと感謝の言葉を紡いでいいか、私には分からない。
「マーレ大陸には甚大な被害を出してしまいましたが…それでも、止めなければこれだけじゃ済まなかった。…みな、命を賭した甲斐があります。」
「…これからまた、忙しくなるでしょうね…。」
「ふふ…そうでもありません。少なくとも私は、ですが。」
「…というと?」
「私、兵士を辞めるんです。元々、エルヴィン・スミスの力になりたくて兵士を続けていただけですし、相方のリヴァイももう兵士ではいられないでしょうから。兵士でいる必要がなくなったんです。…ふふ、新米団長を残してNo.2とNo.3が退団なんて、少し可哀想でしょうか?」
「ホホホ…そうですね。」
「…キヨミ様。ルーカスを助けてくださって、本当にありがとうございます。感謝してもしきれません…。しばらくはこの辺りにおりますので、もしもお力になれる事がありましたらお気軽に申し付けください。」
「お心遣い、いたみいります。」
うまく事が運んで、良かった…。ハンジさんやイェーガー派の死がなければ、成功はなかった。リヴァイもひどい怪我を負ってはいるが、命があっただけでも良かった。そう思うしかない。