851年~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ザッ──
「!」
獣の巨人の項を切ったが、まるで手応えがない。そもそもここに降下してくる間に違和感はあったが、だからといって切らないわけにもいかなかった。コイツは獣の巨人の見た目をしているが、これは戦鎚の巨人だ。それなら、本体を探さなければならない。
「1分後にここを吹き飛ばす!車力の巨人と協力して、ここから離れて!!」
「…了解!」
降りてきてまだ間もないが、一旦距離をとる。団長が、そう判断した。一斉に飛び出す私達を尻目に何かが動いた気がしてそちらに視線をやると、アルミンが見た事のない巨人の口の中に飲み込まれるところであった。
「!っアルミン!!」
飛び退いた矢先の事で、誰も間に合わない。追いかけるにも動きが速く、体勢を整えた頃には既に、距離を取られていた。
「!?な、なにこれ…!!」
突如として巨人が、多数出現。それも無垢の巨人ではなく、見た目からして九つの巨人のどれか。見た事のある奴もいる。これは…なんて厄介な…!
「アルミンは生きてんのかよ!?」
「少しでも傷があれば即座に巨人化したはずだ。つまり傷一つなく、捕獲されている。だが、エレンのケツの方に連れ去られた。無数の巨人に通せんぼされてな…。…俺が万全だとしても、あそこに突撃する選択はしない。だから落ち着け。ミカサ、早まるな。俺が囮になって敵を集団で引きつけるまで。」
「リヴァイ。無理だよ。あれは多分だけど…歴代の九つの巨人を模したもの。戦鎚の巨人が創り出したものだから、倒しても倒しても起き上がってくるはず。…そうでしょう?ピークちゃん。」
「…まさしく、そう。いくら兵長が強くても、無理。」
エレンの持つ戦鎚の巨人、始祖の巨人、そして進撃の巨人は、どれをとっても厄介なものばかりだ。
「私一人なら抜けられるんだろうけど…抜けられるだけで、結局何もできずにやられるでしょうね…。」
「ユニさんも兵長も無理なら…、そんなの…敵うわけ…。」
「そう…だから、そんな悠長な事言ってられない。私…別にエレンと友達じゃないから。」
車力の巨人が、エレンの頭部目掛けて突撃していく。作戦を言ってくれれば、一緒に行ったのに。
「…ジークさーん!どこですか〜?前に思いっきり蹴り飛ばしちゃって、ごめんなさ〜い!!今日はかわいいユニちゃんモードなので、出てきてくれませんか〜?」
「……おいユニ、ふざけてんのか?」
「…ふざけてない。ジークなら、こういうのに反応するかと思ったんだけど…。おかしいな…。」
ザクッ、
「ピークちゃん!」
無策で突っ込んでいくから、車力の巨人は戦鎚の巨人によって串刺し。だが、爆薬はしっかりと巻き付けられた。どこかで隙を見つけ、起爆スイッチを押せば…首を吹き飛ばすくらいは可能だろう。
「!ライナー!後ろ!」
バキッ、
「こっちだライナー!そいつの動きを止めろ!!」
「っ、ジャン!」
背後からジャン目掛けて飛びかかる顎の巨人に向かうリヴァイ。その背中を追い越して、ジャンの体に思いっきりタックルする。そのおかげで、巨人の口はスレスレのところを通り過ぎた。
「クソ…、…急げ!アルミンを取り返すぞ!それ以外に活路はねぇ!さもなくば全員、ここで犬死にだ!!」
獣の巨人は、姿を現さない。それならば、今はアルミンを救うのが急務。
立体機動装置のグリップを、握り直した。
リヴァイは立って動いているが、体の内側は依然、ズタボロのはずだ。その証拠に、ずっと顔色が悪い。ここまで連れてきておいて今さらだが、リヴァイにばかり無理を強いてはいけない。私がリヴァイの分まで、動かなければ。
ギュルルル、ザッ、ザシュッ、
全員後ろを目指し、向かってくる巨人に立ち向かった。
「!超大型巨人!!」
突如現れた超大型巨人は鎧の巨人をいとも簡単に掴み、あっという間に首を噛みちぎった。しかし本体が飛び出していくさまを、確かに見た。本体さえ無事なら、問題はない。
「ライナーがそっちに、っ…!!…リッ…!!」
鎧の巨人の体が下へと叩きつけられ、爆風が巻き起こる。ものすごい威力だ。吹き飛ばされぬようアンカーをしっかりと刺し、ようやく目が開いた時に見えたのは、口から血を吐き出す、リヴァイの姿だった。
「リヴァイっ!!」
「ガハッ…、…っ、バカか…お前は…ッぐ、早く…戻れ…。お前にしか救えねぇ命が…、ある…ッ!」
「…、ごめん、リヴァイ…。…でも…私がいま一番生きていて欲しいのは、リヴァイだよ。それだけは、覚えててね。」
息を整えられたなら、すぐに動けるだろう。そう判断して、目の前で気を失うコニーを助けるべく、踵を返した。すると、コニーに到達する前に横から巨人が口を開け突っ込んでくるのが見えた。
アンカーを刺したのは、コニーより向こうにある、骨。このままこの速度でコニーの元まで行けば、二人とも食われる。仕方なくアンカーを巨人目掛けて飛ばして項を切り落とし、コニーを抱えて骨の柱に着地する。
この骨の中は立体機動が可能だが、中心部分は全方位から巨人が現れるし端の方は巨人が密集している。つまりは、戦いづらい地形だという事だ。
「…リヴァイ。…リヴァイ…?っ、コニー起きて!」
「はっ!」
「私がリヴァイを支えるから、コニーはジャンを、──え?」
絶望的状況にも、希望は突然降って湧く。それは今まで幾度となく経験してきた。今回もまた、それが起こったという事だ。
「私は!強い!!ので!!いくらかかってこようと──」
「ミカサ!!あんたちょっと邪魔!!」
「え──」
「捕まって!!」
鳥の、巨人…?獣の巨人の一種?でも戦鎚の巨人の類いではなく生身のようだし、獣の巨人はジークだから……何?
「いや…まさか私も本当に巨人が飛ぶとは思ってなかったんだけど、本当に飛ぶから…もう、行くしかなかった。」
「…アニ!!」
アニ、そしてガビ…。と、いう事は…この飛んでいる巨人は、ファルコ?顎の巨人ではなかったのだろうか?人によって個性が出るにしたって、まさか飛ぶなんて…、…いや、深く考えるのはよそう。
「…リヴァイ、顔色が悪い。…こっちに来て。」
ズリ、と彼の意外に重たい体を引き寄せて、額や頬に手を当てる。汗をかいているのに冷たくて、それが状態の悪さを物語っている。唇の色も悪いし、乾燥している。
「私の呼吸に合わせて、ゆっくり息をして。」
自身の体に凭れさせ、抱きしめるようなかたちで背中を摩って、ゆったりとした呼吸を心掛けた。そうしているうちに落ち着いてきたのか、自ら体を起こした。
「アズマビトの船は沈んだ。」
「…は?」
「…ファルコの巨人化に耐えられなくてね…。安心して。アンタらの子は食料やその他諸々を積んだボートに乗ってるし、キヨミ様もついてる。ちゃんと説明した上で、納得して乗ったんだ。」
「そんなの…4歳児に説明したって、納得するしかないじゃない…。」
あぁ、頭が痛くなってくる。
「はぁ…早くこの戦いを終わらせて、迎えに行かなきゃ。で、どうする?」
「ユニさん…切り替えが早すぎて怖いっす…。」
「まぁね。生き残るためのコツだよ。目的を明確にして、優先順位をつける。そしてそれに従って、体を動かす。戦場での咄嗟な判断ほど、信用できないものはないよ。」
自分にも、そう言い聞かせる。
私は、頭を使う方じゃない。よく観察して、自分の技量に見合った事しかしない。無理だと思ったら、退くのも大事だ。これはすべて、エルヴィン団長の元で身につけたもの。それを今日、すべて出し切るつもりで挑む。
「よし、仕切り直そう。」
もう一度ここから、勝つための算段をつける